街の課題を解決する「困ってMaaS」を考察
DENSO TENが提供するMaaSソリューションが、スポーツやフェス等のイベント開催後の交通混雑を解決すべく、「困ってMaaS」というサービス名での展開を計画しているそうです。
各種イベントの終了後、電車やバスが混雑して、乗車待ちの行列が出来るという状況は想像できるかと思います。
そこで、30分程度なら待ってもいいという人に、飲食店などのデジタルクーポンなどを配布するというようなソリューションデザインです。
シンプルにWin-Winなデザインですね。イベント終了直後は交通料金をダイナミックプライシングにして、本当に急いでいる人が少し負担を多くするような仕掛けも有効に感じます。
しかし、「金を払えば早く帰れる」というのは、日本では感情的に許容されないデザインかもしれません。例えば下記のように、"お互いさま"の構造にすると受け入れられるかもしれません。
例)
Aさん
今日は30分待てる → 30分時間を潰して次回利用可能なファストパスを入手
次回は早く帰りたい → 前回入手したファストパスを利用
Bさん
今日は1時間待ってもよい → ファストパスと飲食店クーポンを入手
次回も1時間待てる → ファストパスをクーポンに交換
"ファストパス"を買い取る仕組みも作れますが、売買のプロセス上、何かと問題が起こりそうです。
また、データ活用に関しても具体的に考えてみます。ユーザーはアプリを利用するのだと思いますが、データ分析による段階的な行動喚起や提案改善が想定されます。
(前回の結果や天候等、当日の環境分析に基づく人流デザインと行動提案)
初回行動提案に対するユーザーの意思決定分析
ユーザーの意思決定分析結果と過去データ分析に基づく行動確率推計
ユーザー行動予測に基づく操作可能な移動リソース(臨時バスやタクシー等)の配置最適化(出来れば信号等も同時に操作して交通の流れを制御したい)
(数分後)ユーザーの意思決定に基づく、ユーザーの実際の行動分析(出来れば位置情報を活用したい)
(更に数分後)ユーザーの行動結果の集計と検証
ユーザーの行動結果に基づく二次行動提案
上記のようなデザイン自体はできるのですが、実際にステークホルダーに動いてもらうには交渉や運用設計の課題が出てきますので、自治体のトップダウンで実現できるスキーム等を先に整えておきたいところです。
以上、街の課題を解決する「困ってMaaS」を、ユーザー価値、データ分析と行動喚起のデザイン等の観点で、ゆるっと考察してみました。
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