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カンヌライオンズ2022 速報 - インダストリークラフト、デジタルクラフト、デザイン部門

カンヌライオンズ2022、2日目は
・インダストリークラフト
・デジタルクラフト
・フィルムクラフト
・デザイン
・エンターテイメント
・エンターテイメント for ミュージック
・エンターテイメント for スポーツ
の7部門の受賞事例が発表された。

この記事では
・インダストリークラフト
・デジタルクラフト
・デザイン
のグランプリを簡単にまとめておく。


Mars|Sheba「Hope Reef」

インダストリークラフト部門グランプリ
Agency:AMV BBDO London

課題解決策やアイデアを美しくアウトプットする上で必要となるクリエイティブにおける芸術性や才能やスキルを称えるインダストリークラフト部門。

今回のグランプリはタイポグラフィカテゴリーでのエントリー、MarsのキャットフードブランドShebaによる「Hope Reef」が受賞した。

Shebaにとって海洋資源やサンゴ礁は、同ブランドのビジネスや原材料の調達を支える重要な存在である。
しかし、気候変動や破壊的な漁業、水質の低下などによって2040年までに最大90%のサンゴ礁が失われると予測され、世界の海洋多様性の25%は絶滅の危機に瀕しているという。

そこでShebaは、「リーフスター」という星形のフレームを海底に並べることでサンゴ礁の欠片が急速に成長するのを助ける低コストでスケーラブルなサンゴ礁復元システムの開発と改良を行ってきた。

「Hope Reef」は、このシステムのサンゴ礁再建能力を示すために、900個のリーフスターと15000のサンゴの幼生を用いてサンゴ礁で描いた「HOPE」という文字を出現させるという企画である。

Shebaの海洋生物学者チームは、2019年にインドネシアの人里離れたボントゥスア島沖の海底に、1文字あたりオリンピックプール2つ分の大きさで「HOPE」の文字を作り出した。

それから2年経ち、サンゴ礁が成長して、文字が太くなったところで、ShebaはGoogleの協力を得て、この巨大な生きた看板がGoogle Earth、Google マップ、Googleストリートビューで見られるようにした。

Shebaはさらに、リーフスターをモチーフにした成長するデジタルフォントを作成し、世界海洋デーにリリースし、屋外キャンペーンやソーシャルメディアや印刷媒体における教育コンテンツを展開した。なお、このフォントではサンゴ礁の成長度合いによって、フォントのウェイト(太さ)が表現されている。

この結果、新たにセイシェル、メキシコ、モルディブ、オーストラリア、アメリカ領ヴァージン諸島の5つの政府がShebaのサンゴ礁建造システムを採用している。


Polycam / Unesco「Backup Ukraine」

デジタルクラフト部門グランプリ
Agency:Virtue Worldwide New York

デジタルクラフト部門のグランプリはPolycamユネスコのデンマーク国家委員会、そしてブルーシールドデンマークによる「Backup Ukraine」が受賞した。

Polycamはスマートフォンで物体を3Dスキャンすることで立体的な形状をデータ化できる同名のアプリを提供するスタートアップで、ブルーシールドは戦争や災害から文化財を保護するために設立された国際組織である。

「Backup Ukraine」は、ロシアとの紛争により破壊の危機にさらされているウクライナの芸術作品やモニュメントなどの文化資産を3Dデータとして保存することをウクライナの民間人に呼びかけるプロジェクトだ。

ウクライナ国内でスキャンされたデータはクラウド内のライブラリに保存され、Polycamの特設ページで閲覧することができる。

なお、実際に保存されたデータには文化資産のほか、破壊された戦車や自動車、日常生活をおくる家族の姿などもあり、ウクライナの現状を伝えている。


Penguin Books「Portuguese (Re)constitution」

デザイン部門グランプリ
Agency:FCB Lisbon

デザイン部門のグランプリは英国に本拠地を置く出版社ペンギン・ブックスがポルトガルで実施した「Portuguese (Re)constitution」が受賞した。

ポルトガルはかつて40年以上の間、ファシストの独裁政権下にあり、何千人もの人が拷問され、殺害された。当時の政府はアーティストの作品を検閲するのに青鉛筆を使っていた。

この独裁政権を終わらせたカーネーション革命の50周年を記念して、ペンギン・ブックスは当時の憲法と青い鉛筆を現代の詩人やイラストレーターに配布。
アーティストはブラックアウト・ポエトリー(一部の単語を残して元の文章を塗りつぶし、新たな詩を浮かび上がらせる手法)の要領で、ファシストの憲法を愛と自由を称える58篇の詩から成る本に生まれ変わらせた。

この結果、100万ドル分のメディア露出を獲得し、この本はかつて政治犯を収監した刑務所を改装したアルジュべ政治歴史博物館の永久コレクションに加えられた。
また、ポルトガルの学校ではアートを通じて革命の歴史を教えるために使用されている。


その他の部門

残りの
・フィルムクラフト

・エンターテイメント
・エンターテイメント for ミュージック
・エンターテイメント for スポーツ
のグランプリについてはこちら。



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