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エコーチェンバーやフィルターバブルを利用して企画されるWEBプロモーション。

インターネット上でユーザーが受け取る情報はユーザーの意志に関わらず、一律ではありません。つまり一人一人が見ているネットの世界、それぞれのPCやスマホに表示される世界は同じではないのです。

今やほとんどの人がツイッターやインスタグラムなどのSNSを利用し、そこから日常の情報を収集したり、コミュニケーションをとるようになりました。その一方で、個人が繋がっているSNSでは価値観や情報が偏りがちで、自分の気に入ったサイトやいつも見ているサイト、つまり、PCにブックマークしているサイトやスマホに入れているアプリばかりから情報を得ていて、接するメディアや情報が狭くなってくる傾向があります。

特定の情報が増幅されるエコーチェンバー現象

エコーチェンバーとは、直訳すると「音が残響を生じるように整備された閉じた部屋」のことです。そこから転じてマーティング界で比喩(隠喩)的に、「閉鎖的状況でのコミュニケーションによって特定の考え方や価値観が増幅される状況」のことを、エコーチェンバー現象と言っています。

例えば、同年代や同業者など、似た価値観や環境の者同士がつながることが多いSNSでは、同じような言説が繰り返し自分の耳に入るようになり、それが真実であり自分にとってためになる情報だと信じ込んでしまいがちです。
そのようなコミュニティの中では、皆が似た価値観で情報発信するので、自分が発言した意見が、他の同じような意見とともにエコーのよう増幅して返ってきます。これがエコーチェンバー現象です。
このように自分と同じような意見が自分の周りに溢れてくれば、そのうち自分の周りにある言説だけが真実であるような錯覚を起こしたり、特定の考えに凝り固まってしまう危険性があります。

一定の組織やグループではこのような現象はよくあることでしょう。本来、エコーチェンバー現状とはインターネット時代に特有の現象ではないのですが、より簡単に意識集団が生まれるようになったSNS時代の近年では、ネットマーケティングの世界でよく使われる言葉になりました。

ネットを閲覧しているだけでもおなじ状況が起きています。

例えば、ニュースサイトや著名人のブログなどに寄せられるコメントは一方向に偏りがちなことを多くの人が感じているでしょう。

ネットにコメントを残すのは、視聴者の中のわずか数パーセントだと知られていますが、例えば、はじめのほうに着いたコメントが批判的なコメントだとそれに同調する批判的なコメントが多くなり、そのコメントをみている側も、世論の評価がそうであるように感じます。

インターネットは、自分が賛同できるような意見のみを簡単に拡散できる環境です。
特に攻撃的な表現や誤った情報の拡散が引き起こされる時や、いわゆるネット炎上が起きている時なども、このようなエコーチェンバー現象が作用いることが多いと指摘されます。


自分の凝り固まった意識が壁となるフィルターバブル

SNSとば違って世界中の情報を自由に検索できると思いがちなネット検索サービスも、公平ではありません。
たとえばGoogleの検索結果は、Googleパーソナライズド検索機能でユーザーに合わせてカスタマイズされています。過去の閲覧履歴からユーザーが好む結果を表示しており、検索順位にもバイアスがかかっている場合があります。純粋な検索結果とは表示結果が異なっている可能性が高いのです。

このように、自分自身が作り上げた「意識のフィルター」にバブル(泡)のように囲まれ、それ以外の情報から切り離された状態を「フィルターバブル」と言います。
このフィルターバブル状態に気付かずにいると、自分と違った立場や意見、違った視点の情報に触れる機会がなくなってしまいます。

※Googleの検索結果を本当の検索順位通りに表示したい場合は、設定の「検索設定」で「プライベート検索結果を表示しない」にチェックを入れます。


WEBプロモーションは、インターネット世界のフィルターを利用しています。

エコーチェンバーやフィルターバブルのように、情報化社会がより一層個人の視野を狭くしているという現実は、ここまで個人にとってはマイナス要素のように語ってきましたが、実はWEBプロモーションはこの現象を意識して企画されるべきで、実施にそうなっています。

例えば、企業のWEBプロモーションの場合、企業からの一方的な情報配信では自然拡散されることはなかなかありません。発信する情報は、ユーザーの興味・関心や環境にアジャストし、「自分に適した情報である」と認識してもらう必要があります。つまり、発信者(企業)は、インターネットユーザー側(ターゲット)のフィルター環境に入っていかなければなりません。
その具体例が、インフルエンサーの活用やターゲットにマッチしてコンテンツづくりなどです。

ユーザーのフィルターを理解することは、相手を理解すること。

フィルターバブルやエコーチェンバー現象を利用して、情報を拡散させようとするマーケティング活動は、決して悪いことではなく、「相手を分析すること=相手への思いやり」の一つであると筆者は思っています。
同時に、「その企業らしさ、その企業の情報である意味」も大切です。
相手を理解しながら、自分を表現する、というコミュニケーションの基本であり、むしろリアルな(現実的な)コミュニケーションの実力が問われることになるのではないでしょうか。




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