見出し画像

鯉が住めない水はない、いざ登竜門。

鯉を愛し、錦鯉を育んだ日本人の心には、自然への愛情、忍耐強さ、そして幸運を願う心が込められています。
鯉は日本の文化や象徴において、非常に重要な位置を占めており、その強靭さや美しさから特別な意味を持っています。

鯉の環境適応能力と忍耐強さ

実は外来種、シルクロードを渡ってやってくるものは皆、お強いのです。
鯉は非常に環境に強い魚であり、汚れた水や寒冷な気候など、厳しい環境にも適応できることで知られています。そしてとても美味しかった。
この強靭な生命力が、日本人の精神性と共鳴し、困難な状況でも粘り強く生き抜く象徴として長く愛されてきました。鯉の強さは、逆境に負けずに生きる姿勢を表しており、特に武士道や農村社会において尊重されました。

錦鯉の誕生と育成

錦鯉(にしきごい)は、江戸時代に新潟県中越地方で生まれた、観賞用に品種改良された鯉です。
もともとは黒い鯉が多かったものの、突然変異で色とりどりの鯉が生まれ、その美しさに魅了された人々が品種改良を重ね、今日の錦鯉が誕生しました。錦鯉はその鮮やかな色彩と美しい模様から「生きる宝石」とも呼ばれ、日本だけでなく世界中で愛されています。錦鯉の飼育は、日本の美意識を反映し、自然と人間の調和を追求する文化の一環となっています。

登竜門の伝説と鯉

中国の古代伝説「登竜門」によると、黄河の上流にある急流を登り切った鯉が龍に変身するとされています。この伝説が日本にも伝わり、鯉は努力と成功、そして出世の象徴として尊ばれるようになりました。
特に、鯉のぼりは男児の健やかな成長と出世を願う象徴として、日本の端午の節句において重要な役割を果たしています。鯉が力強く泳ぐ姿は、逆境に打ち勝つ強さと、夢や目標を達成するための努力の象徴として描かれています。

縁起の良い魚としての鯉

日本の伝統的な庭園や池には錦鯉が飼われ、訪れる人々に幸運をもたらすと信じられています。
錦鯉は、長寿、繁栄、幸運を象徴する存在として知られており、その鮮やかな色彩と美しい模様から、特別な祝い事において縁起が良いとされています。古くから、錦鯉が「吉祥」のシンボルとされてきたことから、新潟など一部の地域では結婚式や新築祝いの贈り物としても広く使われてきました。

鯉と日本文化

鯉は、日本の芸術や文化にも深く根付いています。浮世絵や日本画、陶器、刺繍などで鯉が描かれ、その力強さと美しさが表現されています。鯉の躍動感あふれる姿は、自然のエネルギーや生命力を象徴するものとして、多くのアーティストに愛されています。また、鯉をテーマにした詩や物語も多く、日本人の心に深く根付いた存在であることが伺えます。

現代における錦鯉の人気

現代でも錦鯉は日本国内外で高い人気を誇っています。特に、美しい模様や色彩を持つ錦鯉は、国内外の愛好家にとって非常に価値が高く、品評会なども盛んに行われています。
錦鯉の飼育は、その象徴的な意味合いとともに、日本の伝統文化や美意識を今なお大切に伝える活動として続いています。

一過性のブームに終わらず、鯉を愛する心とともに、日本人の自然への感謝
《困難に打ち勝つ強さや、美しさを追求する姿勢、そして幸運を願う思い》も伝わってほしいものですね。



余談:
うちの父が母と交際していた時、親父様に気に入られるために大きな鯉を釣って持って行ったのですが、母が「鯉こく」にしてしまったんですよ。
大好物の「鯉のあらい」が食べられると思っていた親父様が怒って、母と喧嘩になり、母がキレてちゃぶ台をひっくり返してしまったんだとさ。とっぴんぱらりのぷぅ。(鯉といえばこの話を思い出す私)