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大好きな記事まとめ

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また読みたい大好きな記事をまとめました。
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#映画感想文

ゆったりとした気持ちになる「カムイユカㇻ」の魅力

映画「カムイのうた」、アイヌ文化と「カムイユカㇻ」  映画「カムイのうた」は、文字を持たないアイヌの口承文学である叙事詩「ユカㇻ」をローマ字と日本語訳で表現した知里幸惠さんの19年の生涯を描いたもの。  印象に残ったのは、想像以上のアイヌの人々への過酷な差別と偏見。 そのやり切れない感情を、竹の板と紐の振動で表現するムックリの不思議な音色。  夜の森から見つめるシマフクロウの神秘的な眼差し、風がやみ、雪や太陽の光で輝くキタキツネやタンチョウの美しさ。  中でも強く残ったの

映画「PERFECT DAYS」〜かけがえのない毎日に、言葉はいらない

やっと観てきました「PERFECT DAYS」 ヴィム・ヴェンダースの映画を観たのはいつぶりだろう…と思い返したら「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」以来だった…。 なんとあれから20年以上も経っており、浦島太郎にでもなったような気分。 上映開始40分前に、いきなり夫が映画に行こうと言い出し、体感温度マイナス20°の中、ツルツルに凍った道を小走りし滑り込む勢いで映画館に到着したものの、慌てて家を出たので、普段はかけてない眼鏡を忘れてきてしまい、スクリーンがぼやけてほとんど見

「PERFECT DAYS」人を幸せにする持続可能なモノ作りの3つのヒント

「PERFECT DAYS」は、シンプルに楽しい至福の映画体験だった。  長年ヴィム・ヴェンダースの映画を観てきたが、これほどわかりやすく心に響いた映画はなかった。  私はこの映画からストレス社会から抜け出し、人を幸せにする持続可能なモノ作りの姿勢や楽しさを改めて教えられた。 ①日常の観察から生まれる心の安定と優しいまなざしを持つ事  「PERFECT DAYS」はトイレ清掃作業員の日常が繰り返し描かれる。 主人公平山の日々の観察から生まれる心の安定と優しいまなざし。その

Chet Baker〜ブルー ヴァレンタイン ジャズ

2月14日は、こちらの国はヴァレンタインデーではなく「友だちの日」だ。 愛を告白する日でも、恋人同士が愛を囁き合う日でもなく、女性から女性、男性から男性、女性から男性またはその逆などなど、親しい友人にクッキーなどほんのちょっとしたものを贈る日なのだ。それもけっこう最近のことで、その前は只の普通の日だったので、そんなに定着もしていない。 あくまでも欧米の商業主義には迎合せず(いちおうヨーロッパなんだけど)我が道をゆくこの国(笑) 日本のヴァレンタインデーは盛り上がってますよね

「パリ、テキサス」と「東京物語」、心の空白と風景(世界)の光の物語

 10月23日(月)から始まる東京国際映画祭「小津安二郎の生誕120年、没後60年記念」で、小津監督の35本の映画がアーカイブで上映されるという。  コンペティション部門の審査委員長は、ヴィム・ヴェンダース。  映画「ベルリン 天使の詩」は「全てのかつての天使、特に安二郎、フランソワ、アンドレイに捧ぐ」と、映画監督:小津安二郎、フランソワ・トリュフォー、アンドレイ・タルコフスキーに捧げられている。  この機会にヴィム・ヴェンダース監督と小津安二郎監督、二人の共通点を「パリ、

映画「怪物」〜人は、見たいものだけを、見たいように見ている

ずっと観たかった映画「怪物」 実は、昨年の一時帰国の際に飛行機の中で観ることが出来たのだけど、途中何度か機内アナウンスが入り画面が中断したりで集中出来なかったこともあり、観終わったあとも混沌として感想がまとまらず…。 今こちらの国ではやっと上映が始まりもう一度観たので、今頃だけど感想を書こうと思う。 あらすじについては、note内でも沢山の感想記事があるので割愛する。 まず2度観た最初の感想は、 "人は無意識に、見たいものだけを、見たいように見ている" ということ。 それ

アキ・カウリスマキと私

私がアキ・カウリスマキの映画に出会ったのは、今からもう30年以上も前のことで、たまたま映画館で「真夜中の虹」を観たのがきっかけだった。 失業した炭鉱夫カスリネン(トゥロ・パヤラ)は、寒々とした北からひたすら南へと向かうが、数々の不運が彼を襲う。しかし、カスリネンは泣きも喚きもせず、当然ながら笑いもしない。のべつまくなし煙草をふかすだけだ。 仏頂面のぱっとしない男は、いくつもの仕事を掛け持ちしている薄幸そうなシングルマザーのイルメリと知り合い、その息子ともども愛情を感じるように

朝6時、夏スープを作りながら・・・君たちはどう生きるか。

こんにちは、ぷるるです。 我が家では9日より、少し早めのお盆休みが始まりました。 窓を開ければ、強すぎる日差しが肌を焼きます。まだ6時なのに・・・ だから私はこう思ったんです。 「よし、パチョるか!」 パチョるとは、「スペインのスープ、ガスパチョを作るぜ!」の略語です。 まあこの言葉を使ってるのは、世界で私一人でしょうけど。 以前も書きましたが、私はちょっと酸味の効いた、この冷製スープが大好き! 簡単なので、夏になるとよく作って飲んでます。 私とガスパチョの出会い

映画ジョーカーと共に来た新しい時代の到来について

今更ですが「ジョーカー」皆さんご覧になりましたか?何故ここまで支持されたのか?私はしっかり感動したので個人的な感想を書きたいと思います。ネットでも色んな解説がありましたが納得できるものが無かったので生意気なようですが書きたくなりました。 ネタバレはありますが、話は随分と翼を広げました。。 思いがけず長くなったもので、お暇な時にでも読んで頂けたら嬉しいです。 凄い映画でしたね。まず、主演のホアキン・フェニックスさんにぶっ飛ばされました。その魅力に。 芸術には少しの狂気は