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Gは重力

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怒りとか、怒りにも満たない幼稚な苛立ちとか
不安とか、悶々とした想いとか、悔しさとか嘆きとか

そういう腹の中の石みたいにぐったり重い感情を全部さっさっさっ〜〜♡と吸い取ってくれる

かわいいちゃん
ほんと可愛い………事実、ほんと可愛い

「伊平次とわらわ」でさ
この喋り出し、私アホほどやるけどめちゃくちゃ人を選ぶよな
やっとそんなことがわかり始めたわ
「伊平次とわらわ」でさ(話の腰折っちゃってごめん)
村の共用のゴミ捨て穴を掘ったら魔除けの石がいっぱい出てきて、キモかったから捨ててそのまま使ってたら穴から餓鬼が湧いちゃう話あるじゃん
ああいうことよ
あの穴なのよ
あの穴……
ゴミも死体も吸い込んで、餓鬼がぶわっと広がったかと思うと
同じ穴があちこち増えていくの
「美味しいわ」
カッコい……

吸い込まれて、どんどん地球に落ちて行くとき
これから私が助かることはないのだなぁ、と気づいたときに
すっかり深呼吸ができる
もう友人を責めたり、今までの劣った人生を悔やんだりする必要もなくて、目を落ち着かせて、誰かの真上を通る

私のATフィールドがとれて、バターになって卵黄と混ざる
真っ暗な中落ち続けて、大気と加速度に熱されて(これがタルト)
(タルトの原料見るたびに嘘でしょ??てなる)(バカが考えた美味しいもの)
それがタルト

私のスカートは胞子のように開くよ
暖かい空気のために活発になって、羽化の準備を整えていく

自分の成分の大部分をO2とCO2とNにしてしまったせいで、よく育った蟹のようにむっちり、みっちり空間が詰まってんだ
密室の中、宇宙の外側を繋いだように低く不穏な音がする
温かいプレステ

誰かに、ここから始まりますという手続きをしてもらわないといけない
ちょっとしたattention
重たいビロードの幕を、curtsyみたいに引っ張って
そうしないと、写真を撮ることもできない
スターライトステージ
そうしないと、終わることができないから…

お行儀よく椅子に座っていれば、いよいよ小部屋への入り口が開いて、瞬間、気圧差でぐん と引っ張られる
塩水も、砂浜も、扉も、瓶も、餓鬼も、リスの悪い政治戦略に流されていく
頭の悪い私はプロパガンダに導かれて、とん、
とん、、とんからり、と監視社会で尿路結石を患う
プーチンしかついていけない

何も無いのかと思ったら、鐘の中のように緻密な空気が詰まっていたんだ

月を暗雲でぐっと押し込めば、とんでもない圧力によってカカオバターの柔らかなシロップができる
準備してね
これから儀式に使うんです

始まったら、また、がくんと重力に変動が起きる
私たちが開く

焚き木をじっと見るみたいに、誰かに目をじっと見られるみたいに、安心
後頭部をブン殴るような、唐突で衝撃的な安心
どう考えても大丈夫じゃないのに、
「大丈夫です!!!!!!!!!」てエクスクラメーションマークをつけまくる事でゴリ押し

資生堂から出た無茶苦茶なコンシーラー
交差したつけまつ毛が、有刺鉄線のように警告してくる
どや!
うーん……
近寄りがたくて、いつも何考えてるかわかんないのに
Tシャツをニコニコした顔で着られたらもう、他の居場所が要らなくなるな
ゴリゴリの現代人なのに、月は5時間でも見ていられるのが、怖い…

そんなに親しくなくても不安定さがわかるくらい、どっかゆらゆらした人だよ
幼稚で、単純で、ちょっとバカ
でも額の印があるから、もうそれだけは取れなくて、なにがどんなに揺れてもそれはずっとあるから……
だから安心して、故郷の歌を吹いていられる

知らない家のカーペットにずぶずぶ沈んじゃっても、私の中には原始の旗がある
肉体には鍵穴
私の名前がまだ春子のときへ吸い込まれていく

胃に放り込まれて、溶けて馴染んで、空気を潰さないようにふんわりと広げて
日本人が考えたやたらフワフワした甘いものになって
そこに戻る
戻れる

あ〜もうお腹いっぱい、ね


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