「ゾウの飼育員/21歳」〜自分の”want”に素直に生きる〜【EPISPODE.14】
▶︎プロフィール
しゅうかさん(21)
東京都出身。都内の高校を卒業後、動物の専門学校へ進学。
昨年専門学校を卒業し、現在は動物園でゾウの飼育員として働いている。
▶︎なぜ動物の専門学校へ?
ー高校卒業後、動物の専門学校に進学されたしゅうかさん。まずは、その進路に至った経緯を教えてください!
しゅうかさん:幼稚園時代からずっと、動物が大好きでした。動物園に行ったり、ペットショップに行ったり、とにかく動物愛が積もりに積もる幼少期を過ごしていて、一時期は、『シートン動物記』という本がきっかけで狼の飼育員を夢見ていたこともありました。
動物の専門学校に行こう!と決めたのは、テレビ番組で見たことがきっかけでした笑 とにかくたくさんの動物がいて、すぐさま大好きな動物に関われる!と一目惚れし。ほかの学校の存在は見ていませんでした笑
ー1年間は実家から通い、途中から一人暮らしを始めたと聞きました。大変なことはありましたか?
しゅうかさん:もともと一人暮らしをしたかったのですがお金がなく、1年生の時は家から片道2時間弱、頑張って通っていました。
ですが2年生からはキャンパスが片道3時間かかる方に移動になり、実習も多くなるため、さすがに実家から通うのは厳しくて…。
親は娘と離れたくなくて反対されましたが、入学した頃から1年間ずっと、お金のことなど色々と調べて親にプレゼンし続けましたね笑
▶︎学生生活について
ー専門学校での2年間ではどんなことを学びましたか?どんな学生生活を送っていたのですか?
しゅうかさん:専門学校なので空きコマとかはなく、朝から夕方までみっちり授業がありました。座学は、食肉類学などの専門的な学問と、1年生の時は一般教養や情報などの授業も受けました。
実習は朝から夕方まで、動物の世話や餌の栽培、あとは、動物舎を手作りで作ったりもしました。鉄パイプやパネル、コンクリートを使用して本格的に作るので、生きる能力が身についたと思います。
動いていることが好きなので、2年間とても楽しかったです!
ーかなり専門的なことを学ぶんですね…!中でもとくに印象的だったことはありますか?
しゅうかさん:狼の馴致(人間などに慣れさせること)をしたことです。前足から採血ができるよう、柵から前足を出すことを覚えさせるんです。鶏の頭を餌にして、棒に狼の鼻があたったら餌をあげる。そうしたことを繰り返して、学習させます。
(画像はイメージです)
▶︎動物園の飼育員になって
ー現在は、動物園の飼育員さんとしてお仕事をされているとのことですが、お仕事の内容としてはどのようなことをしているのですか?
しゅうかさん:アジアゾウ3頭の飼育を担当しています。仕事内容は、餌の用意、掃除、象のトレーニングの大きく3つです。
まず餌の用意ですが、ゾウは一頭100キロくらい食べるので、とにかく力仕事です。乾燥した草を運ぶのがめちゃくちゃ重いです笑
そして、食べた半分くらいは糞として出すのですが、それが一塊2キロくらいで…笑 掃除も力仕事。ゾウは体重が3、4トンあるので、足への負担を考慮してゾウ舎の床に砂を敷くのですが、そこの掃除には何時間もかかります。
トレーニングは健康管理のために行ないます。足を洗ったり、爪を削って整えたり、耳の裏の血管から採血をしたり。
大変なことも多いですが、近い距離で毎日関わっていると、象それぞれに個性があることに気がついたり、ゾウも人のことをよく見てるんだなあ感じたりしておもしろいです。
ー飼育員さんが陰ながらやってくれているお仕事が、動物園を支えているんですね…!実際に働いている中で感じたギャップや、大変なことはありましたか?
しゅうかさん:もともとは、もうちょっと普通のサイズの動物を飼育することを想像していたので、イメージと違う部分は多くありました笑
とくに、身体の大きなゾウは飼育員の死亡事故も多く、柵越しの飼育に変えていこうとする傾向もあります。
ただ、檻越しでも、トレーニング時などは距離が近く、部分的にゾウの身体に触れるので、危険がゼロになるわけではありません。ゾウの最大の特徴でもある鼻が長いということが、危険性を増しているように感じます。また、檻越しでも鼻を出すことはできるので、檻があるからと油断していると事故に繋がります。
身体の大きなゾウの飼育は、そういった危険と常に隣り合わせ。そこは大変だと感じる部分ですが、未知な部分が多くておもしろいなあとも思います。
▶︎さいごに
ーしゅうかさん自身が、進路を選ぶ上で大事にしていることはなんですか?
しゅうかさん:専門学校を選ぶときに、「大学に行ってから進路を考えるのでも遅くない」「今決め切らなくてもいい」と周りの人に言われることもありました。もちろん、大学に行って異なる分野のことも勉強していたら、もっと色々なことを知れたかなと思うことはあります。
でも、今もう一度進路選択のときに戻ったとしても、わたしは専門学校を選ぶと思います。
ずっと小さい頃から動物が大好きで、ほかの職業には興味が向かなかった。そのくらい大好きだったことなので、選んだことに迷いや後悔はまったくありません。
「自分は空っぽだなあ」と時々悩むこともありますが、自分の「want」に素直に生きていれば、なんでも頑張れるかなと思います!
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小さい頃からずっと変わらない夢がある。そういう人は、案外多くはないものです。
「好き」と言い続けた道を選ぶことは、「あれ、違ったかも」と思ったときの不安や恥ずかしさややり切れない気持ちが大きいからこそ、思ったよりも勇気のいる選択なのかもしれません。
想像と違うことがあったり、壁にぶつかったりしながらも、前を向いているしゅうかさん。根っこにある「好き」という強い思いがひしひしと伝わってきました。
しゅうかさん、最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございました!
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