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Max Romeoインタビュー(2019)




55年のキャリアの間、レジェンドレゲエスターMax Romeoのたくさんのヒットソングは百万人規模のファンに楽しみを与え、様々なアーティストに影響を及ぼした。ラップの大御所Jay-Zは自身の曲「Lucifer」(2003)にてRomeoの「Chase the Devil」(1976)をサンプルしたのは有名な話である。

多くのリスペクトを集めているラジオ番組「Sounds of the Caribbean」のホストであるSelecta Jerryによるツイートを通してLos Angelesのかの有名なDub Clubでパフォーマンスすることを知った。私はCaliforniaに根付いたレゲエジャーナリストの感性で記事を制作した。5月27日の晩、道路を確認するためにフリーウェイを走る。Dub Clubの外のジャークチキン売りの予想通りに敢行してレゲエの素晴らしい可能性をまるまる目撃するための私の頑張りは実を結んだ。

失望することは無かった。Mr.Romeoのパフォーマンスはセンセーショナルであり結局のところ彼の音楽はルーツ性や正しさを持ち合わせている。そしていつものように革命に灯をともす力を持っていた。驚くべきことにライブ後、私は彼と会う予定は無かったのだが、Mr.Romeoはステージ裏の小さな部屋でインタビューを受けることを承諾してくれた。

そこにはミュージシャン、セキュリティガード、Mr.Romeoにリスペクトを示そうと忍び込むことに成功したスーパーラッキーなファンといった雑多の状態だった。私たちは15分間、主に彼の2017年の曲「The Farmer's Story」と農夫たちを取り巻く搾取、ジャマイカのSaint CatherineにあるRomeoが所有し家族経営がなされているスタジオ「Charmax」について話した。インタビュー中にはRomeoから彼に憧れて音楽ビジネスの世界に足を踏み入れる人たちへの重要なアドバイスもある。天才Lee 'Scratch' Perryとのコラボレーションと交友関係、ジャマイカ政府のレゲエへの投資を阻害するもの、Islnd Recordsとの不満が残る経験、Bob Marleyについてなどなど。ここからがインタビュー本文となるが、内容を明確にするために少しだけ実際の発言に修正を加えてあることをご了承願いたい。

イ: Mr.Romeo, このインタビューが出来て光栄だよ。ついさっきあなたの息子さんのAzizziに会ったよ。彼はとても才能ある若者だね。彼とジャマイカの農夫のストーリーをつづったあなたの曲「The Farmer's Story」のビデオについて話していたんだ。あの曲を制作・リリースしたモチベーションは何だったの?

MR: おれはひとりの農夫だし、ひとりのパートタイムアーティスト、パートタイム農夫なんだ。生きる糧に必死なのさ。牛やヤギを育ててさ。

イ: St. Catherrineのスタジオで?

MR: (頷く)そうだね。とにかくそこで制作に精を出していたね。でもあまり実にならない感じだったからそれを続けることはできなかった。農夫たちはほんの少しの作物をゲットする。そしてマーケットに行って高額の金でそれを売る。これがこの曲をインスパイアしたんだ。

イ: ジャマイカにはマリファナなどの解禁に関するたくさんのニュースがずっとあるよね。「The Farmer's Story」はその問題についても意味してるの?

イ: ええと、この曲はすべての農作物の領域をカバーしてるよ。農業で連想するものはなんでもね。農家は全員搾取され続けているんだ。特にジャマイカではそう。これは世界的なものなんだ。おれは世界中たくさんの場所にいったら、世界中の農夫がおれに賛辞を与えてくれた。おれは彼らのストーリーを語ったのさ。

イ: ラスタたちが長い間マリファナとかで迫害されているけどジャマイカ政府についてどう考える?Pinnacleの時までさかのぼってもそう。その後彼らはラスタファーマーが法改正から利益を得ているってことを知ったよね。

MR: 今はそういう状況じゃないけど、この先はああいう風になる。なぜなら権力はおれら小さな農家を大農家に奉公させようとしてるんだ。徹頭徹尾ね。零細農家はなにも得することが無い。全部大農家のポケットの肥やしになるのさ。マリファナが違法だったり、合法化だったりをあざ笑ってるんだ。だって畑でハーブを焚いたらまだ捕まるっしょ。one step forward, two steps backwardみたいなことだよ。

イ: 「The Farmer's Story」のビデオはあなたの息子さんと作ったやつだけど、美しいビデオだよね。50年以上のキャリアで初のミュージックビデオだよね。

MR: 55年。

イ: ビデオを作るの楽しかった?他のビデオを作る予定は?

MR: Yeah 楽しかったよ。満足いく制作ができたんだ。「The Farmer's Story」は他の人が関わってない。すべておれがコントロールしている。アルバム全体もおれが仕切ったんだ。

イ: あなたのレーベル「Chaemax」でいいんだよね?

MR: Yeah.

イ: あなたには音楽産業の仕事をしている子供たちがたくさんいるけど、そのことを今夜のステージを話していたね。

MR: Yeah.

イ: あなたのレーベル「Charmax」は家族だけのレーベルだけなのか、それとも他のレゲエアーティストもプロモーションするの?

MR: どっちもだね。プライベートスタジオでもあるし、ポテンシャルがあるコミュニティーの若い人間にも利用してもらってる。その一人にIba MaHrがいる。彼はそれの代表例だね。それからJallanzo(Dubtonic Kru'sのギタリスト•ボーカリスト)がエンジニアをしてくれてるんだ。Iba MaHrは彼に動揺してなかった。彼のサウンドはJacob Millerのサウンドみが少しある。ジャマイカの人はJacob Millerが大好きなんだ。Iba MaHrは現代のJacob Millerってこと。

イ: スタジオベースなの?

MR: St. Catherineのね。

イ: 音楽産業まであなたの背中を追っていった子供たちにあなたが与えた重要な教えはなに?

MR: 子供たちに話した言い聞かせてることのメインは、おれみたいに音楽産業で立ち振る舞いたいなら、金よりも音楽を大事にしろってことだね。

イ: Nice.

MR: それが30年間もMax Romeoでいさせてくれたんだ。25年前ぐらいからリスペクトを得だしたのさ。

イ: 紺やあなたは何曲かヒット曲を歌った。レゲエ史では伝説となってる「War Ina Babylon」「Chase the Devil」「Three Blind Mice」のような曲たちをね。これらの曲は1970年代にLee Scratch Perryと共に制作されたよね。Scratchはまだ新たな音楽を作ってツアーもやってる。今あなたはScratchとコラボしたり一緒に新作を作りたい気持ちはある?

MR: 今でもコラボレートしてるよ。去年出たおれのアルバム「Horror Zone」でやってる。

イ: マジか。知らなかった。絶対にチェックするよ。あなたは今日もScratchとはいい関係を保ってるってことだ。

MR: Yeah. 彼はおれのブラザーだぜ。man.(笑)

イ: あなたはScratchと友好関係にあって、あなたたちはこんな素晴らしい音楽を一緒に制作したんだけど、なぜあなたたちは70年代にあまりタッグを組まなくなったの?何がそうさせたの?

MR: 彼は変わってしまったんだ。コメディアンになっちゃったよ。イカれた男のイメージがあるっしょ?あれだよ。あのころ彼は幻聴を聴き始めたんだ。それは彼に正しいことを話さない。だから彼は迷曲を量産し出したんだ。おれらが彼から離れたんじゃない、彼がおれらから離れたんだ。それでもおれは彼から離れなかった。ある時期、おれは彼に接触して "What's up, Scratch" 言える唯一のレゲエアーティストだった。ほとんどのアーティストはそういうことをできなかったね。

イ: ジャマイカ政府がレゲエミュージックの発展やプロモーションに金を使わない一番の理由は何?

MR: これは難しい質問だな。彼らは予測できないんだ。彼らの考えてることを覗き見ることはできないぜ。

イ: 政府のこと?

MR: Yeah. 彼らはレゲエミュージックを終わったものと感じてる。ダンスホールミュージックはちゃんとしたものじゃない、とかね。そんな感じで政府はこの音楽をハイリスクビジネスと考えている。誰も興味を持たれてない。数か月前ジャマイカはレゲエ産業の900万ドルも儲けているんだろ?おれにはそれに見合った見返りがないように見えるな。

イ: Buju Bantonのナショナルスタジアムでやった最近のコンサートはどう思う?あのコンサートはたくさんのワールドワイドな注目を集めていたね。あのコンサートによってジャマイカ政府がレゲエミュージックに参加したり、もっとレゲエを育てようとする気持ちにさせると思う?

MR: Buju Bantonは偶然の産物だ。そしてノスタルジックだね。あのコンサートからどう影響が生まれるのかはわからない。レゲエが今でも勢いがあるってことに気づかせれるかどうかはわからないな。連中は何年も後になってこう言っている、おれらはレゲエのポテンシャルに気づいていたってな。なぜならBujuは刑務所から出てきてスタジアムを3万人の人で埋めたんだからな。

イ: Mr.Romeo, Chris BlackwellとIsland RecordsがThird WorldやToots HibbertなどのIslandと契約した有名なレゲエアーティストやあなたを盛り立てたことはあった?IslandがBob Marleyにとても手厚く投資をする中、あなたには全く手をかけなかったとかはある?

MR: Chris BlackwellがMax RomeoにもたらしたものはWar Ina Babylonが売れたっていう事実。それは彼にとってもそうだ。
おれが「writer for hire」というバカな契約をしたっていうストーリーの代わりに彼が金を手にしたんだ。七歳のガキンチョが「writer for hire」がヤバい契約なんて知らないだろ。Chris Blackwellは1976年から今日までの間おれをこき使ったんだよ。おれは単なる「writer for hire」でしかなかったから、Island Recordsが全ての作品の権利を持ってるんだ。

イ: その問題を追求する弁護士を雇ってる?

MR: 法律家と一緒にどうデビルと闘うんだ?おれは時間を無駄にしないぜ。おれはそれを聖域と呼んでる。

イ: Bob Marleyのことなんだけど、僕たちは2月の生誕74年祝ったよね。世界中を見渡してもあなたはBobを知っている数少ないひとりだよね。彼とサッカーしたり、曲をやってるし。Bob Marleyのことを考えたとき何を思い浮かべる?

MR: 彼は読めない男だった。残酷なほど独特だったね。Bobは人にやらなきゃいけないことを語りかけるんだ。物事を見る三つ目を持ってたよ。Bobのことを説明するのは難しい。それくらい彼は素晴らしい男。彼の成功を見ればわかるっしょ。それに尽きる。bobが死の谷に囚われていたのかはわからない。

イ: Mr. Romeo、他に言いたいことはある?Max Romeoの音楽ひいてはレゲエと言うジャンルを世界中に聴いてもらうために。

MR: おれがレゲエにハマったとき、自分が何をしたいのかがわからなかった。当時はみんなが卑猥だとか下品だとか考えるようことをやってたね。

イ: 「Wet Dream」みたいに?

MR: 「Wet Dream」や「Play with Your Pussycat」とかみたいにね。そのころラスタファリを目にしたんだ。自分の孫にはこれを説明することができないからそこは省略しようと思う。おれはラスタファリと名乗り始め、Jahに信仰を誓ったんだ。報いを受けている。常に行動するんだ、それは必ずポジティブなものだし、常にラスタファリを意識している。今日までそれに傾倒してる。これがおれの信仰。ラスタファリ以外のもので金儲けしても意味がない。人は金を稼ぎつつ、その傍らで神に尽くさなければいけない。神無しでは金は意味をなさないんだ。神を蔑ろにした金だと?それは最悪だね。わかるか?これがおれのすべてのコンセプト。


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