Jackie McLeanインタビュー(2000)2/3
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SL: なんかの記事であなたがSonnyとの出会いを語っているのを読んだよ。学校で一緒だったってことと彼はすでに演奏していたと。
JM: Oh yeah, 彼はおれより前に既に楽器を演奏していた。SonnyがBudと「Wail」「Dance of the Infidels」をレコーディングしたときは彼が17,8歳にも満たないときだと思う。
でもそれくらい彼はすごかったんだ。彼はいろんな人間に影響を与えた。Andy Kirk Jr. などの腕のあるテナーサックス奏者とかね。Sonnyの存在で彼は引退したんだ。Sonnyは恐怖すら感じるほどすごいやつだ。彼と仕事をした人間なら全員そう言うぜ。BirdでさえSonnyのことをその時代のキャットのひとりだと話していたよ。
SL: 自分の記事であなたが世に出てきた環境の重要性について話したよ。あなたがConnecticutで育ったとかそんな感じのことをね。高い生活水準で育ったわけじゃないこととかさ。
JM: そんなかんじだね。
SL: Yeah, あなたがやったぐらいすぐにね。
JM: 間違いない。
SL: でも他の人には無い、突出することになる別の側面もあると思うんだ。僕はAndy Kirk Jr.のことが気になるんだ。
JM: Oh man, 彼は素晴らしい男だよ。BirdはAndyのバンドで練習したりもしていた。Andyはマジですごい。Sonny Stittさえ後ずさりして彼に譲っちまうぜ。なぜならSonny Stittはかなりバッドだったから。少し軽いトーンなんだ。わかるか?Sonny Stittはとあるレコーディングの日、当時のColeman Hawkinsみたいなサウンドだった。
このインタビュー中にJackie McLeanはバッド(bad)という言葉を複数回使っていますが、文字通り「悪い」という意味と
それが転じて生まれた「最高」という意味、
この両方の意味を織り交ぜて使っているので読み取っていただければと思います。(どっちにも取れるような文脈だったので無理に当てはめるのをやめました)
SL: それって彼がアルトを演奏してたとき?
JM: いいや、彼はテナーに変えたばっかりだったし彼のアルトの演奏もColeman Hawkinsみたいだね。彼は良い演奏ができるんだけどさ、わかるだろ?おれはあのスタイルに疑念を持ってる。自分のパートのダメなところだとはわかっていたんだけど。
だっておれはColeman Hawkinsが素晴らしいプレイヤーだってことがわかるからさ、サックスを演奏する人間は全員影響を受けてるってこともわかってるからこそ余計にね。
SL: その通り。
JM: いろんな理由があっておれはPrezととても関係があった。おれが自分のアンテナに引っかからなかったプレイヤーを聴いてたときだね。
Sonnyはヘロイン中毒になっていた。そしておれも、Kirkもみんなヘロインを使ってた。おれがヘロインをやっていなくて彼らはやってる頃のことを思い出すぜ。
おれはその界隈のアウトサイダーみたいなかんじだった。そのころおれは仕事で彼らと一緒にステージに立つことは無かった。じきに彼らはヘロインを使うようになったけどおれはまだ使ってなかった。
おれはドラッグをやらない優等生ぶったガキだった。(甲高い声で)"Hey みんな、なにやってんの?" とおれが言うと、彼らは頭を抱えて "Aw, man..." って感じさ(笑)おれにとって最悪な時期さ、わかるか?おれがヘロインをやってた瞬間だけは気持ちいいんだ。おれを待ってるクラブみたいにだった。
SL: 機械的に感じてたの?
JM: Oh, おれは彼らと一緒だった。わかるか?おれにはこんな牙があった....
SL: (笑)
JM: おれの言ってることがわかるか?Draculasのクラブにみたいだった。
SL: あなたは彼らとそこの夜のステージに上がってたじゃん!
JM: Yeah(笑)確かに。
SL: そのことを聞かせてよ。
JM: あれはすごかったな...あの時期は。Kirkはかなりのワルで有名だった。みんな彼のことを知ってたよ。Sonnyでさえ知ってたんだから。これはBirdとMilesが「Sippin' at Bells」をレコーディングしていた時期だよ。「Milestones」とかのすべてだよね。Birdがテナーを演奏してるやつね。
SL: Oh, 「Collector's Items」だよね。
JM: Well, 当時はリリースされたばっかりだよね... Charlie ParkerのテナーとMiles Davisがプレイする曲わかる?おれら、いや皆にとって最初にBirdのテナーのプレイを聴いたのがそれだよ。いやSonny RollinsとKirkとかおれの周りの人間はね。でもKirkはすでにCharlie ParkerやPrezらとたくさん演奏していた。彼はすでにそこにいた。
SonnyはColeman Hawkinsみたいな演奏をしていた。Sonnyの演奏スタイルにはそこまでレパートリーが無かった。これは当時のジャズシーンのことさ... 彼らはヘロインを使ったり使ってなかったりするシーンさ。そうやってこのレコードがリリースされたんだ。その後Sonnyは消えた。9,10か月ぐらい彼を見る者はいなかったよ。
SL: Wow. Man.
JM: それから "Oh, man, SonnyがChicagoにいるぞ。" みたいな感じになったんだ。New YorkにはSonnyの居所の憶測が飛び交った。みんな彼のことを忘れてたのさ。特におれはね。
Andy Kirkはおれのアイドルさ。いつも彼に会いに行って可能な限り吸収しようとしていたよ。おれにとって彼は大きな助けだ。ある日家にいたら彼が来た。おれがドアを開けると彼が立ってるんだぜ? "何してんすか?入ってよ。" って言ったよ。
彼は家の中に入った。
"What's up?"
そういうと彼はこう言った "Oh, man. Sonnyが帰ってきた。"
"Sonnyって誰?"って言っちゃったんだ。おれはKirkのことを尊敬しまくっていたから、この話を思い出すんだよね。
"Sonny Rollnsだよ。"ってKirkは言ったな。
"まじかよ、やつが帰ってきたの?まじ?" って言ったよ。
SL: (笑)
JM: わかるか?Kirkは "Man, 昨夜彼のプレイを聴いたぜ、Milesと演奏するRollinsをな。" って言った。"Miles Davis?" って聞いちゃった。おれがどれくらい衝撃を受けたのかってことだよ。Kirkから"そうだとも。彼らはBrooklynでやってた。Sonnyを聴きに行かなきゃいけないぜ。チェックしろよ。" って言われた。
おれは "Aw, man" って感じだったよ。Kirkはめっちゃ演奏していたからね。その後の晩におれはクラブに行ったら仲間のひとりに会ったから "Brooklynに行こうぜ" と言ったんだ。一緒に地下鉄に乗ってクラブへ向かった。暑い8月の夜だったな。このさきも忘れることは無いだろう。蒸し暑くて.... 焼けるように暑かった..... 地下鉄を降りてクラブまでの道を歩くんだ。クラブのドアは空いていた。中から音が聞こえてきていたな。
"おいおいまじかよ、Birdが彼らと一緒に演奏してるぜ!" とおれは言った。音を聴いてるだけだけどわかるのさ... "行くぞ、急げ。" って感じでさ、おれが耳にした演奏は本当にすごかった。Sonnyの演奏だとは思えなかった。なぜなら最後に聴いたSonnyの演奏はもろにColeman Hawkinsから影響を受けていたサウンドだったからな。ほんとにColeman Hawkinsみたいな感じだったよ。
SL: Yeah.
JM: ドアを抜けるとSonnyがいた。マイクの前に立って演奏していた。おれは演奏する彼の横から突っ立って見ていたよ。"Oh, God." って漏らしたよ。Sonnyは演奏でみんなの認識を変えたんだ。
それは1948年とかそれくらい。おれらのネイバーフッドから彼が姿を消したのもそのころだった。でもSonnyがChicago行ったって聞いたけど... Chicagoの退屈していた人間のはけ口だったけど、初め、長い間New Yorkに出てきていたんだ。
「Milestonnes」「Sippin' at Bells」がリリースしたときで、Sonnyがそれらのレコードを持って行ったみたいな感じさ。そうやってどこかに隠遁していたのかもしれないね。.... J.R. Montroseが住んでる小さな町に行った。彼はおそらくはJ.R.と住んだりしていたんだろうね。J.R. はSonnyをアイドル視していたからね。わかるか?Sonnyは静かな場所で1人練習して、サウンドを変えたんだ。
Andyがそれに触発されて。演奏をやめてホームレスみたいになった。わかるか?自分のことを大切にしなかったのさ。彼の親や親族はボロボロの恰好で道を歩くAndyのことを見ていたんだ。おれは音楽をやり続けた。"おれはSonnyのバンドに入らなきゃ。" ってなったよ。SonnyはGily Cogginsらとバンドを始めたばっかりだったからね。
SL: あなたのネイバーフッドSuger Hillのキャッツだね。
JM: Yeah, Kenny Drewらだね。後にPercy Health, Arthur Taylorとかね。わかるか?トランぺッターのLowell Lewisとかね。
SL: 前にあなたが彼のことを言及したのを読まなきゃいけない。
JM: 彼の名前はおれらのなかで知られていた。彼はレコーディングはしていなかった。
おれはドラッグをガンガンやるようになって、Sonnyも同じくドラッグに溺れていた。ある日Sonnyは "なぜ今夜West Indianクラブに行かないんだ? スーツを着ろ。おれらと一緒に演奏しようぜ。" ってね。おれは "Oh,man. 今夜おれと演奏したいってか?" って言ったら
彼は "Yeah." って答えた。
夢見心地だったよ。おれはそこにいってヒット曲をプレイした。そこからおれはSonnyのバンドのレギュラーでやるようになったんだ。
おれが最初に演奏を始めたとき、Budのとこにいなかったらできるものもできなかっただろうな。なぜならおれがBudに会ったとき自分のホーンを持ってから1年くらいだった。「Buzzy」はすでに演奏することができた、わかる?(「Buzzy」の始まりを歌う)景気良く演奏してたっけな。
Budが最初におれの演奏を聴いたとき、気に入ってくれて "Hey,man. 何歳なの?" って感じだった。おれは若く見えたんだよ。14歳の時のおれは12歳とかに見えたんだ。
SL: いまでも若く見えるよ。あなたとRene... "Oh, 兄弟じゃん!"
JM: Yeah, right. なんかわかんないけどね。
SL: まだ聞きたいことがある。あなたがクラスで僕たちに話してくれたことを覚えてるよ。あなたとRichie Powellが「Groovin' High」を演奏してるテープを持ってたね。(「Groovin' High」のオープニングのメインのメロディ以外を口ずさむ)
JM: Yeah, right. あれ聴かせるよ。
SL: Cool. Yeah. 本当にあれを聴きたいんだ。これはとても大事だし... たくさんの情報を知りたい。今すぐあなたに質問したいことが2つある。1つ目はあなたがやったBen SidranとのインタビューでアルトサックスプレイヤーのRudy Williamsを足掛かりのような存在として言及してたよね。Rudy WilliamsはBirdのようなものを持ってるとも言ってたね。
JM: Right. 彼はレジェンドの1人さ。BirdがNew Yorkに来る前、彼はNew Yorkで一番バッドなアルトサックスプレイヤーだったんだ。
彼はSavoy Sultansっていうバンドで演奏してた。ただただ最高な9ピースバンドさ。そのバンドはSavoyでずっと演奏していた。あるゲストバンドが来た時、彼らは出番を明け渡すんだけど、そのゲストバンドがきちんとしたショーをやらなかったらSavoy Sultansがチャレンジするんだ。週末にはバンドたちのバトルがそこにあった、Savoy Sultansは他のバンドを蹴散らしていたな。彼らが何故そこまでのバンドだったかは、Rudy Williamsがアルトをプレイしてたことが要因の1つさ、彼はとてもハードな演奏ができたからね。彼のスタイルはまるでWillie Smithのようだった。たくさんのテクニックとナイスなサウンドをRudy Williamsは有していた。
だけどBirdがNew Yorkに来て、Rudy WilliamsはCharlie Parkerの演奏を聴くことになるんだ。だってSavoy Ballroomでバンドのバトルが繰り広げられていたからね。BirdがSavoyでJay McShannバンドと共にその腕前を見せつけたんだ。Jay McShannがバンドをやっているとき、Birdは立って演奏してたんじゃないかな。おれが思うにRudy Williamsは光明を得ていたんじゃないかな?彼はWillie Smithらよりずっと若かったから。今やってることよりも、もっと前進する準備が整ってたんだよ。
SL: 自分のやり方に凝り固まるような男じゃなかったってことだね。
JM: ええと, おれはそうは思わない。RudyがBirdのプレイを聴いてすぐに彼のスタイルは変わった。わかる?RudyはSavoy Sultansと彼自身のレコーディングを行った。次来るときはおれに連絡してよ。また一緒に話そう、幾つかの曲を演奏したい。おれはSavoy SultansのRudy Williamsとやるし、Babs GonzalesとRudyとおれでもやる。彼の特異な音世界があるんだ。
おれがBirdみたいな演奏にトライしてたとき、最初に「Ko-Ko」とかを演奏するBirdを聴いたんだけど何が何だかわからなかったよ。「Buzzy」「Now's The Time」みたいないくつかのメロディーは演奏できたんだけど、Birdが彼の楽器で演奏しだしたころ、man, かなりハードだったんだよ。
Rudy WilliamsがBabのグループにいたころ、彼はBirdみたいな演奏をしようとしていたし... いや、今言うべきことじゃないな。彼はただBirdから影響を受けていただけなのさ。
SL: 彼はいくつかの要素を体得してたよね。
JM: Yeah, 彼自身のフレージングを変えて、他のノートをそこに加えた。前までそこまで浸透してなかったプレイの中にね。フラットフィフスとかをさ、わかるだろ?当時それはフレッシュだったのさ。
Yeah, 彼はおれに影響を与えてくれた。彼のアルトが大好きなんだ。トーンとかね。わかるだろ... あのトーンだよ。