見出し画像

星飛雄馬になれなかった女

自分が女性を書くのが苦手な理由が、わかった気がする。
自分は長男の代わりとなるべく、きびしく育てられた。人に頼ったり、甘えることは許されなかった。
歯を食いしばってシゴキに耐え、他者を支えて盾になり、すすんで犠牲になることを求められた。
大昔『巨人の星』という野球マンガが大人気だった時代があった。
父はアニメ化されたそれを熱心に録画し、観ることを強制した。
主人公の星飛雄馬を、あるべきロールモデルだと叩き込もうとした。
うーむ、かなり異常だよね。
反発しながらも中途半端にスポ根を刷り込まれた自分の言動は、あまり女性らしいとはいえないものになった。
徹底的に甘えない。←なじられるから。
人に頼らない。←甘えるな! と怒鳴られるから。
他人(特に女性)を最優先する。←母や妹を優先しなければならなかった
その役回りを当時の家族にあてはめれば、私の父は間違いなく悪役になる。
怒るとちゃぶ台をひっくり返す、はた迷惑な星一徹に他ならなかったのだけど。
彼は自分で、それをどう思っていたんだろう。
息子(いや、娘だけどな)の教育が上手くいけば、成功だと思っていたんだろうか。
少年マンガ『巨人の星』も、回が進むとなかなか話は深刻になる。
純粋な野球少年星飛馬雄馬は大人になり、父の思い通りに巨人に入団したものの、挫折して酒をあおったりしていたぞお。
ヤケになって行ったクラブで、女の子たちとゴーゴーを踊っていたぞ(笑)。
そんなヒーローの姿を、父はどう思っていたんだろう。
…謎だ。
まあ、いいか。
無理して女性になることもないか。
なれないものは、なれないんだよ。
今さらである。
女性らしい女性や、かわいい女の子を主人公にできないからと、落ち込むのはやめよう。
星飛雄馬になれなかった女に、そんな曲芸飛行はムリなのである(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?