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自分のため13

16時、もっちーからLINEで送られてきた住所へ向かうと、芸人なら全員が知っている場所に着いた。
それこそ俺たちEXITが爆売れ中、M-1でやるネタを試したくてこっそり兼近と出たという思い出もある場所だ。

なちぃ。

「さすがにここ見ただけでは泣かないですか?」

兼近がニヤニヤしながら言ってくるから、頭を軽く小突く。
泣いてなんかいられないだろ。
せっかくまた兼近と漫才出来るんだから。
楽しまなければ勿体ない。

中に入ると、もっちーと小澤がいて挨拶された。
この二人に会うのも久々で、なんだか少し申し訳なくなる。
きっと俺は色んな人に心配を掛けているんだろう。
テレビでは変わらずに振る舞っていても、近しい人たちの目は誤魔化せていないと思うし。
エゴサした時に出てくるツイートも、やっぱりまだファンの子たちを心配させているなと感じる。

「りんさん、今日なんですけど……」

そんなことをぼーっと考えていたら、もっちーが軽く今日の説明をしてくれた。

「もっちー、ありがとな」

「え?」

「今日、この会場用意してくれたりしたんでしょ?小澤と一緒に」

「いや、そんなそんな!僕らもチームEXITなんで!」

ついさっき泣いてなんかいられないと思ったばかりなのに、やっぱり俺の涙腺はバグっているらしい。
ほんと、俺は周りに恵まれている。

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