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自分のため8

「そういえば兼近、なんで俺が毎晩酒飲んでるって知ってたの?」

俺のスマホを使ってゲームしている兼近を横目に、1年振りくらいの自炊をしながら聞く。
ゲームするならソファーでやれば良いのにって思うけど、姿が見えるだけで安心してしまう自分もいる。

「あー、俺3日前からここに居るんすよ」

「3日前!?え、3日前からずっとここにいたの!?」

「はい、そうですよ?」

何でもないことを言うように、寧ろそれがどうした?とでも言いたげな表情の兼近。

「聞きたいことは沢山あるんだけど、なんで4日目にして姿見せてくれたの?」

「りんたろーさんが毎晩まともな食事もせずに酒ばっか飲んでっから、さすがにまた太るぞって言おうと思って。3日間そうってことは、この1年ずっとそうなわけでしょ?よく体型維持出来てますね」

兼近の言葉全てが図星で返す言葉に困る。
体型を維持出来ているのはたぶん、ほとんど食事をしなくなったからだろう。
でもそんなこと言えない。

「今日は飲まないし、ちゃんと自炊してるだろ…」

そんな言葉しか出てこなかった自分に少し呆れつつも、兼近という存在が側にいてくれるだけで、食事どころか自炊までしている自分自身にもはや感心する。

兼近が生き返ったわけでもないのに、姿が見れて話せているだけでこんなに心が安定するなんて。
つくづく俺には兼近が居ないとダメなんだと思わされた。
このまま一緒に仕事出来たら最高なんだけどなぁなんて、無理だと分かっていることを考えてしまう。

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