同じ物が胃袋に入ってる4人組。
きのうの夜おそく、いつものように札幌の狸小路商店街を歩いてた。この商店街は私の通勤路で必ず通らなければならない場所。
商店街には居酒屋や土産物屋、お茶屋、海鮮屋、ゲームセンターなどがまっすぐならんでる。人も多い。きのうは金曜日だったから特に多くて。夜の札幌といえばすすきのが思い浮かぶかもしれないけど、狸小路商店街も悪くない。だから人が多い。
人の波をかきわけかきわけ歩く。私は友だちもいないし、お酒も飲めないし、金曜の夜の開放感も忘れてしまったから、なんだか楽しそうにしている人たちがうらやましい。
いいな、友だちほしいな。
仕事の話ばっかりしてる。新しく会う人会う人みんな真面目な顔して仕事の話ばっかりしてくる。助成金とか補助金とか、ROIとかなんだとか言われても、私はそっち側の人間じゃないから興味がない。お金じゃなくて、お客さんの期待を遥かに超える宇宙最高のものが作りたいだけなのに。
興味がない話のときは「じゃ、私はこれで」と言って席をたつ勇気を持ちたい。でもできない。これが私のダメなところ。
てな具合で「あーあ、みんないいなぁ」と思いながら商店街を歩いていた。で、その中にあるラーメン屋さんの前を通りかかった。
このラーメン屋さんはとても人気で、地元客も観光客もよくきている。週末はお店の前にとても長い列ができていて、それが何年も続いてる。たしかもやしがどっさりのラーメンが人気だ。
ここのラーメンは美味しくない。
何年か前に行って食べたことがある。人気店のラーメン。20代で食べた。美味しくなかった。なにが魅力なのかわからなかった。普通の味噌ラーメンにどっさりともやしがのっかっているだけじゃないか。
私がこのラーメン屋さんの前を通りかかると、ちょうどお店から出てきた女性4人組がいた。私よりもすこし若いかなぁ。
キャピキャピとコンサバを足して2で割ったような綺麗とキュートが同居する4人組だったのだけど、きっと飲み会終わりにみんなでラーメンを食べたんだ。女性たちはなぜかわからないけど、スンとした顔をしている。
ほう、健康的で健全だ、と思った。
二次会、三次会にもいかず、悪い店にもいかず、ただラーメンを食べて出てきた4人の女性。クールな感じで4人がお店の前で立っている。
やけにクールに決まってるからおもしろかったんだけど、彼女たちとすれ違うときに思ったのは、この人たちこんなにクールで健康的な感じだけど、胃袋の中には全員共通でラーメンが入ってるんだよな、ということで。
もしもあの人たちの身体がスケルトンだとしたら、胃袋の中にはぐちゃぐちゃのラーメンがぽつんとあることと思う。でも人間の身体はスケルトンじゃないから、胃袋に何が入ってるかがバレることはない。他人にバレることがないからこそ、スンとしたコンサバな顔ができる。
でもいまこの人たちはラーメン屋さんから出てきた。ということは確実に胃袋の中にはラーメンが入ってる。
すれ違いざまにそんなことを考えた。
この人たちはいま、全員共通で胃袋にラーメンが入ってる。
きのうの夜そう思って、なにかがおもしろくて思わず「ふふっ」となった。だからnoteにタイトルだけ書いておいた。
朝おきて今この記事をここまで書いた。
何がおもしろいのか、自分でもわかるようでわからない。自分でもわからないということは、読んでくれる方はもっとわからないということだから、なんだか申し訳ない。
【告知】最後の一行小説大賞は明日発表です
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