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もしも盆踊りの作詞を頼まれたら。

たとえばある日、札幌市役所の観光振興課みたいな部署の人に呼び出されたとする。

「私はどんな用件で呼ばれたのでしょうか?」と尋ねると「はい、ここに新しい盆踊りの曲がありまして」と言われる。

「え、あ、はい?」といぶかしげに返事をすると観光振興課の人はおもむろにスマホを取り出し曲を流す。スマホから聴こえてくるのはいかにも盆踊りな曲なのだが、肝心の歌詞がない。

流れるのは日本的な風流を感じる盆メロディーのみである。そこで観光振興課の人は重い口を開く。

「イトーさんにこの新しい盆踊りの曲の作詞をお願いしたいのです」

「え? 盆踊りの歌詞ですか?」

「そうです。盆踊りの」

「なんで私なんかに」

「なぜってそりゃ......」

「札幌といえばイトーさんですから」

「やりましょう」

というわけで、空想の世界の札幌。私は街独自の盆踊りの制作発注を受けた。札幌市の人曰く「イトーさんのセンスに任せます。今のものをぶち壊すくらいに変えちゃってください」とのことである。不安になるので確認する。


「え、あの、この曲ってどこで使われるやつですか?」

「はい、札幌全土で使われます。今後50年はお盆シーズンに使われる予定です」

「……てことはこれ、責任重大ってやつですか」

「そうです。責任重大です」

「なるほど」

「これを頼めるのは、イトーさんをおいて他にいないと思いまして」

「もっといると思うんですが」

「いえ。イトーさん”が”いいんです」

「やりましょう」


というわけで、もしも私が札幌市に盆踊りの作詞を頼まれたら。

私はきっとこんな盆踊りを納品する。


曲名:「札幌NEWボーンなんちゃら音頭」


<一番>
じいさんばあさん アネゴにアニキ
なんちゃらかんちゃら あすの風
今日がきたなら きみの風
あらきみの風
なんでん かんでん 手稲山ていねやま
なんちゃら かんちゃら さようなら

<二番>
かあさんとうさん イナゴにバッタ
なんちゃらかんちゃら あすの波
今日はこないが きみの波
でもきみの波
なんでん かんでん 支笏湖畔しこつこはん
なんちゃら かんちゃら また来週

<三番>
あんただれなの 夜鳴らし氷
かくかくしかじか 凪の鈴
みんなどこいく 帰れない
でも大文字
それからどうした あんただれ
はためによって またくるね

<四番>
聞いておくれや 昨日のなんちゃら
ちんぷんかんぷん 傘の雨
とんちんかんちん 困り果て
あら輪になって
潮風運んだ 藻岩山もいわやま
どこきたここきた 遠すぎる

<五番>
月も見守る 夢のあと 
札幌音頭の 盆盆盆ぼんぼんぼん
なんとかかんとか 犬も鳴く
ああ猫も鳴く
なんちゃら かんちゃら 百年花火
なんちゃら かんちゃら なんだっけ



……

..
.


札幌市役所の人「イトーさん、いいですね〜」


ありがとうございます〜。


〈あとがき〉
今日は何をしていたんだっけ、と思いながら今これを書いているわけです。「あ、そうだ、盆踊りを作詞しよう」と思ったはいいのですが、いかんせん考える時間がなく、こんな時間になってしまいました。考えていること、書きたいことは山ほどあるのですが、事情があり記事化できな日々が続いています。とてもフラストレーションが溜まっているのです。今日も最後までありがとうございました。

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