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もう、何を書いたか覚えていない。
記憶力には少しだけ自信があるほうだ。
小学生のときは、日本の都道府県と県庁所在地を1回のお風呂の中で覚えた。何分で覚えたんだろう。子どもの記憶力というか吸収力はすごい。
数の単位も小学生のときに覚えた。無量大数までのやつ。光が1年かけて進む距離、約9兆4,600億kmという1光年の長さも小学生のときに覚えた。徳川15代将軍も小学生のときに覚えた。
音声配信で話したが、小学校・中学校の同級生に会って思い出話をすれば「よくそんなことを覚えているね」と言われる。
記憶力には、ほんの少しだけ自信があるほうだ。
もちろん、フォトメモリーのような、一目見ただけで何かを記憶できる特殊能力はない。
が、note。
これまで書いてきたおよそ500近くにのぼる文章たち。自分で考えて自分で書いてきた。スマホでパタパタ書くときもあれば、パソコンでバチャバチャ書くときもあった。
自分が生み出したものなのだから、記事のタイトルを見れば、内容からオチまで、それこそフォトメモリーのように思い出せる。と思っていたのは割とつい最近までのこと。
ここ最近、過去に自分が書いた記事のタイトルを見ても、それが何についてのことなのか、よく思い出せない日々が続いている。自分で書いたnoteの記事一覧を見て、タイトルを見ても、まるで他人が書いたかのように感じることが増えた。
これはなんだか、とても得をした気分だぞ。
自分が書いている記事なのに、内容を見てもよく思い出せない。他人が書いたかのように見える。読んでみると、私と感覚が似ている。だって自分が書いた文章なのだから。
深夜のラブレター現象という言葉がある。
愛であふれた手紙を想い人に向けて書く。愛であふれているので、一気に書ける。手紙を書き終えて、それを封筒にしまう。封筒を糊付けしてはならない。
翌朝にもう1回読む必要があるから。
翌朝に読んでみると「よくもまぁこんなことを書けるな」と赤面してしまうようなことが書いてある。これが深夜のラブレター現象。
1度書いたものは、寝かせることが重要だ。
名著『思考の整理学』を書いた外山滋比古先生も、その本の中で「発酵させる」という独特の表現を用いて、寝かせることの重要性を説いている。
年がら年中noteを書いていると、発酵させる時間も余裕もない。常に新鮮なラブレターをお届けだ。よく書いているよ。
そういう意味で考えると、とってだしで勢いで書いている私の毎日の記事も、このnoteに公開されて、読んでもらって、ある意味で時の流れという樽に入れて発酵させているのかもしれない。
完全に自分が書いた文章なんだけど、まるで自分と限りなく似た感性を持つ他人が書いた文章を読める不思議。
樽につけずに、棚に飾って誰でも見ることができるように発酵させる、というやり方もあるのだな、と1年が経過して思った。
この醸造過程を楽しめるのは、1年以上何かを世に出している人間だけがもてる不思議な特権なのかもしれない。
そういう意味では、
この記事も発酵を待っていると思う。
いつかを楽しみにしておこう。
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<あとがき>
マジで思い出せません。きっと、思い入れのない記事なのかなぁと思ったりもします。いつか過去記事の人気投票をしてもいいかもしれないですね。思い上がりも甚だしいところですが、思わぬ発見があるかも。……ほら、このアイデアも発酵を待っています。今日も最後までありがとうございました。
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