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君はしつこいか?

成功している人はみんなしつこい。センスでやっているように見える人も、よくよく見てみるとしつこい。

仕事にしてもスポーツにしても趣味にしても、何事かの成果を出す人は総じてしつこい。

優れた営業マンは決めた営業目標をなんとしても達成しようとしてくるし、スポーツ選手は負けず嫌いで「あと1回」を100回繰り返し、負ければ大泣きする。

逆にいえば成果を出せない人はしつこさが足りない。

ある経営者がイベントをやったが、集客目標を達成できなかったと言ってしょぼくれていた。

どうやって告知したの? と聞くと「インスタで告知した」と言う。何回くらい告知したの? と聞くと「3回くらい」と言う。友だちに「来てよ」と直接連絡した? と聞くと「それは何人かにしかしてない」と言う。それで「ダメだった」としょぼしょぼしている。要はしつこさが足りない。

しつこさを濃縮したテキーラを飲むべきだ。名付けてシツコイテキーラ。


札幌市内でバーを経営している女性がいる。あと10名のお客さんが来店すれば売上目標を達成できるという月があった。残りあと1日。

彼女はインスタグラムで告知をしまくり、いまの店の様子を宣伝し、さらにはとなりのお店や同じ雑居ビル内の居酒屋に行き、そこにいるお客さんたちに「このあとうちの店に来てください」とお願いしていた。何軒も何軒も。彼女は毎月目標を達成し続けている。シツコイテキーラ1杯。


甲子園に出場した2人が私の近くにいる。1人はプロに、もう1人はプロになれなかった。「なぜ自分はプロになれなかったと思うか?」とぶしつけに聞いてみると「僕にはしつこさがなかったから。プロになったあいつは、夢中で楽しみながらしつこくやってた。そこが違う」と言っていた。シツコイテキーラ。


生命保険外交員だったときに衝撃だったのは、そういう連中がうじゃうじゃいたことである。彼らは妥協しない。自分で決めた目標を必ず達成しようとあの手この手を使ってくる。楽しみながらゲームのようにやっている。そこに言い訳がない。数字にこだわるという意味でとにかくしつこく、そのくせシツコイテキーラを飲んでいるのか楽しそうだ。


宮崎駿は「めんどくさい」と言ってタバコを吸いながら絵を描き映画を作る。途中で「やっぱやめた」と言わない。後ろにはプロデューサーの鈴木敏夫がいるからという理由もあろうが、宮崎駿もしつこい。絵を描いている宮崎駿は楽しそうでもある。あの人はシツコイウォッカを飲んでそう。


アップルのジョブズがいなければ『トイ・ストーリー』も生まれなかった。あいつもしつこい。先日の夜トイ・ストーリーを見たけど、物語の構成、CGの質感、キャラの表情、セリフ、全てに妥協がない。1995年公開だぞ? できることを全てやり切ってから世界に公開しました感がある。ピクサーもしつこい。「シツコイMAX」という作品はまだか?


太宰治のしつこさは陰湿だ。太宰治に対して「しつこい」というイメージはないかもしれないが、あの人はしつこい。なぜなら第2回芥川賞をなんとしても受賞したくて選考委員に手紙を書いて送りつけているからだ。太宰は手紙になんと書いたか。

「第2回の賞は私にくださいますよう伏して懇願申し上げます」

「何卒私に与えてください」

「私を忘れないで下さい。私を見殺しにしないで下さい」

なんてしつこい野郎だ。ずばりシツコイテキーラを飲みすぎたんだと思われる。人間失格。



大企業が採用の際に「体育会系」を欲しがるのは、ひとつにはストレス耐性などがあるかと思うが「しつこさ」も見ているように思う。どこの誰かわからない学生の「しつこさ」を担保するためには体育会系の人間を採用したいと考える構造があるのだろう。


つまりなにか事をなすには狂気的な執念がなければならない。加えてそれは楽しんで続けられるものである必要がある。


その「しつこい」の頂点を決める世界大会がパリで開催されている。

すごい人はしつこいだけのことで、失敗を失敗だと思っていない。むしろ失敗を「成功に向かうまでの事例サンプル」程度にしか思っていない。


しつこさが足りない人はしつこさを恥ずべきものだと思っている。パリでダメだった人のことを「ほらやっぱりダメだった」と批評している。そういう人は失敗の姿を誰にも見せたくないと思っている。でもちがう。

恥ずべきは妥協しながら物事に向き合う姿勢そのものだ。シツコイテキーラを飲むことは恥ずかしくもなんともない。


成功している人でしつこくない人を見たことがない。センスでやっているように見える人も、よくよく見てみるとしつこいことが多い。



ところで私は事情があってお酒を一生飲めない。なのでシツコイテキーラが飲めない。だからしつこくない。そこがダメなトコロ。

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〈あとがき〉
物事の成否、作品の優劣、仕事の出来、ぜんぶしつこさで明暗が分かれますよね。作業を終わらせることが目標になるといい作品も仕事もできない気がします。ベストを尽くし切った日々を送ってみたいですよね。今日も最後までありがとうございました。

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