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西加奈子「あおい」を読んで

本を読むのが好きでたくさん読んでいた頃に、西加奈子さんの本を読んでみたいなぁと思っていたのに、読む機会を逃しまくり、今まで読んだことがなかった。

ひさしぶりにゆっくり本を読む時間が取れるようになったけど、なかなか集中して読むことが出来なくなっていて、ゆっくりゆっくりエッセイ本から読んでいた。エッセイ本を読むのに慣れてきて、小説もそろそろ読めそうと借りてきた西加奈子さんの「あおい」。するすると読み終えた。

2つの物語が入っていた。
この2つの物語に出てくる気持ち。
「あんたのことが、好きすぎるのよ」とか身近な人が亡くなってしまって、その気持ちに折り合いをつけていくこととか。

そういう自分の本当の気持ちに気付くまで、断言出来るほど自分の気持ちに気付くまでは、いろいろな気持ちが行ったり来たりしたり、言葉に出来ない気持ちが溢れたり。

いつもと変わらない日常を過ごす中で、いろいろな想いや気持ちが駆け巡り、ある時ふと本当の気持ちがくっきりと浮かび上がって、断言出来るようになる気がする。

そんなことを読みながら思った。

そして、自分の本当の気持ちにたどり着くのには、いつもと変わらない日常があるからで。

朝の景色とか、いつもの仕事とか、行き交う人の風景とか、ごはんを食べることとか、なんとなく見るテレビとか、誰かのくしゃみとか仕草とか、あたたかいお布団に入ることとか。

すごく悲しいこととか、うれしいこととか、びっくりすることとか、さみしいことがあっても、変わりなく続く日常があるから。
悲しい中でも笑えることがあったり、うれしいことがあっても何かに腹を立てたり、びっくりしててもほっとする出来事があったり、さみしくても安心できる何かがあったりして。

そういう小さな日常の積み重ねで、本当の自分の気持ちがくっきりと浮かび上がってくるのかなぁ…などと思ったりした。

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