優しい人になりたい。
「いつか、優しい人になりたいです」
私が大好きなアニメに登場する、ある女の子の言葉だ。
いつからか、私は「優しい人になること」をひとつのなりたい姿として持っていた。
でも、私はその時点で、自分が人に与えられる優しさの量の限界まで達していた。
私は、人一倍周りの感情に敏感で、自分自身も感情豊かなのだと最近気がついたのだが、
今思えば、自分が限界に近くても困っている人がいたら助けたり、自分の中にある残り少ない優しさをなんとか人にあげていたのだと思う。
良くも悪くも、人をよく見ていたから。
でも、相手の気持ちを汲み取りやすい分、わざと相手が嫌な顔をしそうなことを言うことだってあったし、よく知らない相手のことは、適当に扱うこともあった。
今も時々してしまうことがある。
自分の身をすり減らしてまで優しさを誰かに分ける癖に、本当に性格の悪い奴だ。
そんなとき、ふと気がついた。
自分が自分のことを認められていたら、その瞬間を幸せに生きていたら、
他人にネガティブな感情を持ったり、他人で遊ぶ余裕なんてないことに。
自分自身が幸せや優しさのような暖かい光に包まれている感覚になることに。
私が本当に優しくあるためには、根本的に自分に優しくあることが必要だった。
人に優しくするのが当たり前だった私。
相手と自分の境界線が分からなかった私。
自分のことを後回しにすることを無意識にこなしていた私。
自分を大切にする方法を知った私。
人のために、そして何より「自分のために」、自分自身を大切にして、心と体の声を聞いて生きようと、そう決めた。
でも、「自分」を自分とは別の人として認識して、その対象のために頑張った感覚があって。
逆に私の中の私が疲れてしまったみたい。
自分を大切にしよう、優しくなろう、抱きしめてあげようとすればするほど、感覚が分からなくなって、ぐちゃぐちゃになって。
社会はなんて生きづらく出来ているんだろう、なんて思ったりもする。
けど、多分、また私はどうにか立ち上がって、突拍子もないことを始めるんだろう。
そう思うと、少しだけ自分を信じられるようになった。
だから、逃げるものは逃げて、追いかけるものは追いかけて、あるものを見たい。そうしていきたい。
きっと今持っているのは、優しさっていう言葉に括れない、大切な大切なものなんだと思う。
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