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丸穴を活かしたデザインが所有感を高める:お年始タオル用ケース

こんにちは!
北海道石狩にある小さな印刷工場の北海紙工社が、箱と印刷と加工のあれこれを見つめ直し思いを巡らせるプロジェクト「キホンのハコ」。

今回はいよいよ箱についてのお話、弊社のお年始用タオルケースです。

ポップで心地よいデザインに目を奪われますが、紙や仕様にも実はさりげないこだわりがあるんです。

初代から三代目へと進化する道のりも含めて、よろしくお付き合いくださいませ!

粗品の定番としてのタオル(初代)

弊社では長年ご挨拶のお供としてタオルをお年始にしてきました。ご挨拶に行く会社さまは工場も多く、タオルならなんぼあっても困らないですからね。

ですが、お渡しする時にイマイチ盛り上がらない。むしろ喜んでもらえるどころか、タオルには目もくれない状態でした。

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初代お年始タオル用ケース。改めて見ると、古き良き"御年始"という感じですね。

形式は「キャラメル箱」という、上下に差込があり、側面の青い部分1箇所で糊付けするもっとも一般的でシンプルな形です。組立コストも安価。

20181127-年始タオルケース2019年-01

この状態を展開図と言います。この展開図のおかげで平面の紙を立体に組み上げることが可能に。点線は折スジ、実線はカットラインです。打抜(うちぬき)という加工で紙から展開図を切り取ります。
大きなクッキーの型抜きのようなイメージです。この辺りはまたいつか別途詳細を。

せっかく予算をかけて作成するものですから、少しでも喜んでいただけるようなものにしたい。2年前の当時は今までの下請けという受け身の状態から、自分たちでも面白いものを発信していきたいと感じていた頃でした。

デザインのチカラを借りて、リニューアル(二代目)

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二代目お年始タオル用ケース。

ただのタオルなのですが、もらった時に「何か良いものをもらったぞ!」と感じて欲しい、そしてお渡しした時にその話題で盛り上がれると理想だなと考えました。

弊社のオリジナル文具ブランド「ほっかいしこう社」やホームページなどのデザインでご協力をいただいているデザ院株式会社川尻竜一さんにご相談。

その時に「穴をあけることはできますか?」とご提案をいただきました。
流通させる場合は異物混入の可能性が高まり、中身の個包装などを検討する場合があります。ですが、自分たちで管理して手渡しするものはもっと自由でも良い。業界の常識に縛られると思いつけないアイディアでした。(同じ展開図に穴を追加)

20181127-年始タオルケース2019年-型穴追加面付け [更新済み]-01

そして、丸穴を効果的に活かしたグラフィックデザインの持つパワーに衝撃を受けました。穴から見える柔らかなタオルのパイル生地と、光沢のある紙のコントラストがなんとも目に心地よい。そのまま部屋に飾りたくなるような佇まいです。

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「お正月の定番アイテムを表現しているのですが、何だと思いますか?」
少し考えてもらい答えがわかった時、とても会話が盛り上がりました。正解してもしなくても、「なるほど!」と喜んでもらえて反応も上々。当初の目的も無事に達成することができました。

紙はパッケージ用紙の新定番品としてリニューアルされたOKフレースPRO。その印刷テストを兼ねて作成。パッケージで必須のベタ印刷の適性も高く、発色も申し分ないということが確認でき、弊社の加工の定番品に加えることができました。

OKフレースPRO
フレッシュパルプを100%使用して、蛍光増白剤を使用せずに作られた森林認証(FSC)対応紙。剛性が高く紙器加工適性が向上。

サイズ:W130*H230*D35mm
紙:耐水OKフレースPRO 31kg
仕様:特色1c/0c

さらに、90周年記念仕様にアップデート(三代目)

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初代のタオル用ケースを作成してから、少しづつ北海紙工社は何か面白いことをしたいようだ、というイメージがついてきたような気がします。そして挑戦をいくつか経験して迎える90周年。

「キホンのハコ」を始めるにあたり、その第一弾としてタオル用ケースのリニューアルをすることに。引き続きデザインは川尻さんに依頼。

ただし、小さな工場なので予算が潤沢にあるわけではありません。1枚の紙から展開図を切り取る"抜型"は節約とエコのために活かして、紙とデザインのみ変更。

出来上がったグラフィックは、大きな力がかかって凝縮された8つの円が上に向かって解放され、おめでたい正円の朝日がポンっと飛び出してくるイメージ、とのことでした。リズミカルで見た目にも心地よさを感じます。

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末広がりの八段に、90周年とかかった9番目の正円が、これからの新しいご縁と発展も予感させてくれます。富士山と初日の出のモチーフは、意味合いも含めとても気に入りました。そして、同じ抜型を使ってこうも雰囲気の違うデザインになるのかと驚きました。

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意外な丸穴の効果

二代目のタオル用ケースの紙は一般的な光沢のあるコート紙に近い質感の紙でしたが、今回はスノーブル-FSという手触りも質感も雰囲気のある特殊紙を選択。

スノーブル-FS
雪のように白く、ふわっとした手触りのパッケージ用紙です。スムースな肌合いに、印刷適性を備えています。7種類の厚さを取り揃え、幅広くご愛用いただける汎用性の高さが魅力です。※環境に配慮したFSC®森林認証紙です。引用:竹尾HP

スノーブル-FSという紙の柔らかな雪原に上品な光沢を持つ印刷がコントラストを作り、穴の奥から真っ赤なタオルのパイル生地が覗いている。シンプルな構成ですが、二代目よりもさらに手に取った時の驚きが大きく、反応も良くなりました。

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実際に
「え!これもらって良いんですか!?」
「こんな素敵なものを頂けるなんて、感動しました!」
という嬉しい反応もいただきました。

素材の繊細なニュアンスと、穴が作る立体的なグラフィック表現が掛け合わされ、紙と言うアナログなものだからこそ伝わる驚き。そして、手触りから伝わる満足感が「これが私のものになった」という所有感の高い状態で受け入れて頂けているポイントだと感じました。

初代では話題にもならなかったお年始タオル用ケースですが、同じサイズながらもグラフィックデザインのチカラと穴をあけるちょっとした工夫、そして紙の質感にこだわることで、物としての魅力も、そこから生まれる会話にも大きな変化を起こすことができました。

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サイズ:W130*H230*D35mm
紙:スノーブル-FS #310g L判 273kg
仕様:特色1c/0c

オマケ:最後まで読んでくれた方にプレゼント

ということで、今回も長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?

そして、突然ですが特別企画。
最後まで読んでいただいた方に、クイズに正解すると当たる特別プレゼントのお知らせです。プレゼントは90周年特別お年始タオル用ケース(三代目)です。抽選で3名様です!

問題:北海紙工社二代目タオル用ケースのデザインモチーフは何でしょうか?

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下記、問い合わせフォームURLのリンクから【お名前、メールアドレス、発送先住所、クイズの答え】をご記入の上、2/5(金)までにお申し込みください。
※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。


【お問い合わせ先】
◎パッケージや印刷加工のこと、お気軽にお問い合わせください:問い合わせフォームURLへのリンク◎
株式会社北海紙工社 担当:梅田
〒061-3244 石狩市新港南2丁目3722-4
Tel: 0133-64-5633 Mail: info@sikoh.co.jp

www.sikoh.co.jp



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