見出し画像

vol.11「やるなら、楽しんでやろう!」みやまや・西村友一さん

僕の生き方として「5分で答えが出せないことは考えない」と決めています。

なぜかと言うと、答えが出せないことは、自分の成長や周りの変化・出来事次第で解決できる時期がやってくることがあるからです。

だから、検討案件として頭の隅には置いておくけれど、考えない。悩む時間って、一番無駄なことだと思っているので。

note用インタビュー風景DSC05261



「きほくる | 紀北町魅力ナビ」にお越しいただき、ありがとうございます。

今回の「しごとカード」インタビューは、みやまや・西村友一さん(にしむら ゆういち)さん。

紀北町矢口浦(きほくちょう・やぐちうら)で、あおさのり養殖や宿泊施設運営など様々な事業を営んでいます。

勉強が特別できるわけではない自分がどうやって勝負してきたか、地元での仕事のやりがい等、笑いを交えながら軽やかに語っていただきました。

この記事は「しごとカード」に登場していただく“紀北町で働くひと達”に、地域おこし協力隊・豊川がインタビューしていくシリーズです。

あなたは、どんな風に働きたいですか?どんなところで、どんな人たちと働きたいですか?

あなたが、自分に問いかけ、自分の中にある答えと出会っていく。そのきっかけに、この note がなれたら嬉しいです。


友一さんインタビュー風景


1.昔のやり方に戻ってみようかな。



ーー西村さんの事業(仕事)を教えて下さい。


西村さん(以下、敬称略) 主なものは、あおさのり養殖、カボチャ栽培、草刈り業務、宿泊施設運営です。他にも細かい仕事がいくつかあります。


ーー様々な方面のお仕事ですね。


西村 そうなんです。あおさのり養殖が9月から4月末なので「あおさ以外の時期に出来る事業は?」と考えていて…

海・山こだわり市のメンバーと話した時に「農業も面白いなぁ」と思っていたこともあり、栽培時期がちょうど合ったカボチャ栽培を始めました。

海・山こだわり市は、紀北町の生産者がこだわりをもって作った産品を、生産者が消費者に直接販売している市場。2013年から引本港を会場として、年3~4回ペースで開催されてきた。海・山こだわり市実行委員会が企画運営。西村さんも海・山こだわり市実行委員会のメンバー。


この地域(矢口浦)は、小規模だけれど農業もあり漁業もあり、昔から半農半漁の生活スタイルがありました。

僕も『昔のやり方に戻ってみようかな』と思って、事業を幾つか組み合わせてやっています。

大白公園received_485549725954478

矢口浦・大白公園


ーー草刈り業務はどうやって始めたのですか?


西村 草刈り事業は、公園や農道の草刈りを町からの請け負いでやっています。

今まで請け負っていた人たちが高齢化し、仕事を出来る人が少なくなってきて、「やってみないか?」と声をかけていただいて始めました。

一次産業だけだと収入が不安定な面があります。請負事業は一定の収入を見込めてるので助かるし、町の役に立っているという感覚にもつながります。


ーー宿泊施設運営は?


西村 僕は、建築系の専門学校を出て27歳まで名古屋で建築業に携わり、地元にUターンしてからも親戚の会社の土木の現場で働いていました。

そこから(あおさのり養殖に)思い切って仕事を変えてみたけれど『自分が好きな分野は、やっぱり建物関係だ』という思いがあって…

『事業が落ち着いてきたら建物に関する仕事をしよう』とずっと思っていました。

段々と事業が落ち着いてきて、良い物件があったので2020年に宿泊施設運営も始めました。

画像14

一棟貸しの海辺の宿・窮楽通楽(きゅうらくつうらく)


2.最終的には、何かしら(事業を)自分でやらないと…



ーー今の事業を始めるまでの経緯を教えて下さい。


西村 昭和54年(1979年)生まれ、紀北町矢口浦(きほくちょう・やぐちうら)出身です。

矢口小学校、潮南(ちょうなん)中学校、尾鷲(おわせ)高校と進みました。

高校卒業後は名古屋の建築系の専門学校で建築を学びました。卒業後は、名古屋の建築系の会社に就職し、名古屋で暮らしました。


ーー名古屋から紀北町にUターンしたきっかけは?


西村 いろんな要因が重なったんです。

土木建築の仕事は日本全国どこにでもあると思って、建築を学んで仕事にしました。

それに加えて、僕が高校生の頃は景気が良く建築業界も潤っていたので『建築業に携われば、いい暮らしができる』とも思っていました。
 
ところが、就職してからバブルが弾けて建築業界も厳しくなり、コスト削減が叫ばれて、朝8時から夜10,11時まで働くのは当たり前。

そんな生活に疑問を感じていた時に、紀北町で土木建築会社をやっていた親戚から「帰ってきてほしい」と言われたのです。

自分は長男だからいつかは帰るし『これがタイミングだな』と思って、27才で紀北町にUターン移住しました。


画像9



ーー紀北町に戻ってからは?


西村 紀北町に帰ってみたら自分が想像していたよりも景気が悪くて、思い描いたような良い生活は出来ませんでした。

『最終的には自分で何かしら(事業を)やらないと、景気や雇用条件に振り回される悩みは一生続くだろうな』と思いながら、親戚の会社で土木の現場を3年間経験しました。


ーー土木の現場から、どうやってあおさのり養殖業へ?!


西村 名古屋では建築の管理業でコスト管理をやり、紀北町に戻ってからは親戚の会社で土木の現場を経験しました。

そして『コスト管理と現場を覚えたら、自分で事業をやれるんじゃないか?』と思ったんです。そんな時に、あおさのり養殖の話が来ました。

業界の景気もよかったので、思い切ってシフトチェンジしました。自営になったら頑張った分が自分に入ってくるし、数字として見えるしね。

画像4

(あおさのり養殖場・矢口浦)



ーー思い切った転職ですね!


西村 そうですね。僕は特別に勉強が出来た訳ではないので、何かひとと違うことをやらないと(勉強が出来る人とは)同じ土俵には立てないなと考えていました。

最初の3年間は自分を追い込み、仕事のリスクになるようなことを自分から遠ざけて仕事に集中すると決めたんです。

1年目は、トンネル工事をやっているゼネコンの下請けで夜12時から朝7時まで火薬を運び、昼12時まで寝る。

起きてから夕方まであおさのり養殖。そして、夜6時から12時まで寝る。起きて朝7時まで火薬を運ぶ。そんな生活スタイルで自分を追い込んでいました。


ーーすごい追い込みっぷりですね!


西村 それには理由があって…あおさのりの養殖は、段階的に育てられる数量が決まっています。

1年目は80枚、2年目は150枚、3年目でやっと一人前の量の260枚を育てることが出来るようになります。
 
1年目の80枚の生産量では、到底生活は出来ない。だから、他の仕事で補てんする必要があるんです。

そんな経緯で昼夜働いて、3年目に260枚を育て、売り上げが目標金額を超えた時は嬉しかったですね。

画像8


3.楽しみながら仕事をする。



ーーまったくの畑違いの転職(起業)でしたが、どうでしたか?


西村 僕は建築業界の経験でコスト計算が出来て目標までの計画が立てられるスキルと現場での作業経験があったので、あおさ養殖にも取り組みやすかったです。

あおさ養殖は、一般的には初期投資が1000~2000万円必要なんです。でも、それを出来るだけ抑えて自分で出来ることをやり、初期投資を抑えました。

その辺りの見積もりを立てたり自分でやりくりする技術は、自分で出来てよかったなと思います。


ーー元々、数字には強かったのですか?


西村 いやいや、苦手だったんですよ。数字は苦手だけど、コストを抑えるために何が出来るかを考えたり、必要なものを探すことが好きなんです。

もの探しのために突然訪問したりね、創意工夫することが好きなんです。

あとは、名古屋時代に最初に勤めたのがリフォーム会社で、飛び込み訪問をしていました。

上司から「断られてからが勝負だ」とか言われて、突然訪問したり声をかけたりするのが、苦じゃなくなったんです。


ーーすごいですね!


西村 正直イヤだったんですけど、上司からの指示だし「やるなら結果を出したい」と思って取り組んでいると「やりかた・仕方」が分かってくるんです。

結局、自分の身に付いていくんです。

画像8



西村 自分の中で「楽しみながら仕事をする」というのが目標でもあったので、何事も楽しんでやるようにしています。


ーー楽しいことをやるというよりも、起きてくる出来事を楽しんでいく姿勢なんですね。


西村 そうですね。ひとと同じやり方をしていたら同じだけ苦労するし経費がかかる。

だったら、ひとと違うやり方をやろう。そして、やるなら楽しんでやろう!
と考えてやっています。


画像8


4.地元で仕事を大切にしていきたい。


ーー西村さんにとって、仕事の魅力は?


西村 必要とされることかな。一般的な就職の形(企業からの求人→応募→採用という流れ)だと、企業から必要とされていることは分かる。

けれど、仕事に追われて社会から必要とされている感が薄いと思うし、仕事をこなすだけになりやすいでしょ?

田舎の仕事は、自分の仕事が地域から必要とされていることが肌身で感じやすいと思います。それが充実感にも繋がっているのでしょうね。


ーー都市部で働くことと地元で働くことの違いは?


西村 人の数ですね。分母の数が違う。何百人分の一なのか、何万人分の一なのか、で違ってくる。

人数(人口)が違うと、必要とされ具合が違ってくるんだなと、改めて感じました。


ーーなるほど。


西村 特に、後継者がいなくなり「やってくれないか?」という流れで請け負った仕事は、本当に必要とされているんだと感じられます。

田舎で仕事を継ぐ人がいないと、仕事が減っていくんですよね。仕事が減ると、町の売り上げが減る。

そこに他所の会社が入ってくると、他所にお金を吸い上げられるだけ。地元で仕事を大事にしていけば、地元でお金が回るんです。


ーー地元で仕事を守っていくって大切なんですね。


西村 僕はそう思います。最初はお金のことを考えて仕事をしていたけれど、まちおこしリーダーをやったり、矢口浦の海であおさを育てているうちに気持ちが変わってきて…

お金はもちろん大事だけど、「この海があるから利益が得られるんだ」と考えるようになり「町のために何か出来たらいいな」と思うようになりました。

画像13


5.ストレスなく仕事するために



ーー仕事において、大切にしていることは?


西村 ストレスなく仕事をすることを大切にしています。

利益面・ひとを使うこと・疲労度・考えること等について『どうしていけば自分にストレスが溜まらないか』を考えています。


ーーそのために気を付けていることは?


西村 僕が思うに、ストレスは身に付いてないことをやる時に感じる。身に付いていることをやる時はストレスを感じない。

だったら、ストレスを感じた時は、どうしたら解決方法が身に付くかを考える。そして、身に付けるようにしています。

まずは身に付けることを意識する。それが、ストレスなく仕事をするということに繋がると思います。


画像9


6.三重県で一番の単価やったら日本一やのう。



ーー自分で仕事を始めてから一番うれしかったことは?


西村 1番テンションが上がったのは、あおさ養殖を始めて2年目のときかな。

『あおさの単価』というのがあおさ業者の1つの指数になっていて、その単価が1番良かったときは嬉しかったですね!

毎年、三重県中のあおさ業者が集まる「市」が松阪市で開かれます。その年の市には、あおさ養殖の立ち上げの時にお世話になった業界の有名な人たちも来ていました。

その人達に「三重県で一番の単価やったら、日本一やのう。」と言ってもらえたのは嬉しかったですね。その時の達成感は格別でした。


画像10


7.すべてが仕事(生きるための業)になっていく。



ーーあなたにとって、仕事とは?


西村 僕にとっての仕事は、生きていくためにおこなうこと。生業(なりわい)です。

僕は何をしていても「これは仕事」と「これは仕事じゃない」という区切りは作らないようにしています。そうすることもストレスを生まない要因。

言い方を変えると、何をしていても仕事になる。

やっていることが全て仕事になるし、だからこそストレスを感じずに楽しんでやりたい。

すべてが仕事(なりわい)になっていくって理想だと、僕は思います。

画像15

窮楽通楽

ーー二十歳の頃の自分に声をかけてあげるとしたら?


西村 二十歳の頃っていろいろと葛藤していたんですけど、あれは間違っていなかったと、乗り越えた今、思います。

だから「そのままいけばいいよ。」と声をかけてあげると思います。


ーー若い世代の人たちへメッセージをどうぞ。


西村 仕事は、その人の気質に合ったものを選ぶといいと思います。

その人の持っている根っこ(気質)にマッチすると、仕事ってなんでも楽しいと思うんです。

僕みたいにガーッと色々やるのが合っている人もいるし、事務仕事のように黙々とやるのが合っている人もいる。

何が自分の気質に合うのかを知るためにも、いろんなことにチャレンジする必要があると思う。

そういう意味で「いろんなことをやってみたらいいんじゃない?」と思います。


ーー西村さんのお話を伺いながら「やるなら楽しんでやろう」という言葉が心に残りました。今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。



【 みやまや・西村友一さんからのメッセージ 】
・「結果を出したい」と思って取り組んでいると『やりかた・しかた』が分かってくる。
・ひとと違うことをやろう!やるなら楽しんでやろう!
・地元で仕事を大切にしていきたい。
・いろんなことをやってみたらいいんじゃない?


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回の みやまや・西村友一さんのお話はいかがでしたか?

あなたの中にある仕事に対する思い大切にしていることを感じるきっかけになったら嬉しいです。

(取材先情報)
みやまや
〒519-3415 三重県北牟婁郡紀北町矢口浦929-4
窮楽通楽(きゅうらくつうらく)
〒519-3415 三重県北牟婁郡紀北町矢口浦1092-3
https://www.kyurakutsuraku.net/

***

noteの更新情報は、公式LINE「きほくる|紀北町魅力ナビ」でお知らせします。

友だち追加していただいた方には、紀北町の人気スポット「奇跡の清流・銚子川」のスマホ用壁紙をプレゼント。

ポチッとしていただけたら嬉しいです↓↓↓

友だち追加ボタン

公式LINE友だち追加QRSサイズ

LINE ID検索  @828azlot








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?