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(三重県)紀北町地域おこし協力隊・東谷和秀さん/移住定住コーディネーター

前の会社で、今後について考える機会があったんです。

今の仕事は嫌いなわけではないけれど、あと10数年仕事するにあたって「やりたいことはあるのか?」「やり残していることはあるか?」

「このまま終わって満足なのか?」って。

紀北町役場・企画課で働く東谷さん

「きほくらし | 紀北町暮らしナビ」にお越しいただき、ありがとうございます。

今回ご紹介する“紀北町地域おこし協力隊”は「紀北町移住定住コーディネーター」として活動している東谷和秀(ひがしたに かずひで)さんです。

専門学校を卒業後、ずっと建築業界で働いてきた東谷さん。

東谷さんが建築に魅力を感じたきっかけや、どうして地域おこし協力隊になったのか等を、着任して4ヶ月のフレッシュな気持ちで語っていただきました。

■地域おこし協力隊とは
2009年度から総務省がスタートさせた制度。地域おこし協力隊は、1〜3年以下という決まった期間、都市部から地方に移住して地方自治体の委託を受けて、地域の問題解決や発展のための活動を行うもの。
令和4年度は6447名の地域おこし協力隊が活動し、任期終了後、およそ65%の隊員がその地域に定住している。

東谷 和秀(ひがしたに かずひで)さん
〇生まれ年:1969年
〇出身地と直近の居住地:大阪府高槻市・京都府京都市
〇着任年月:2022年12月
〇ミッション(活動テーマ):移住定住コーディネーター
〇所属:紀北町役場・企画課
〇ニックネーム-:ガーシーさん

東谷さんが好きな建物
建築家・藤森照信さんが手掛けた
「ラ コリーナ近江八幡」

1.これまで

ーーこれまでの経緯を教えて下さい。

東谷さん(以下、敬称略) 僕は大阪府高槻市で生まれ育ちました。社会人になってもしばらく高槻市で暮らしていて、結婚を機に京都市に引っ越しました。

ーーどんなお仕事をされてきましたか?

東谷 学生時代に建築を学んだので、これまでの仕事はすべて建築関連でした。

設計事務所や中堅ハウスメーカーでの住宅設計にはじまり、ハウスメーカーのCAD・CGによる支援、ログハウスの設計・卸、工務店での住宅の設計、イベント企画や情報発信などをやってきました。

ーー小さい頃から建物や建築には興味があったのですか?

東谷 いいえ。大学に行くかどうか迷っていたとき、漠然と「手に職をつけたいな」と思って「それなら、車の整備士とかかなぁ」と思っていたんです。

その頃、たまたま観たTV番組でログハウスが取り上げられていました。

それを観た時に「これ、自分でも建てられるんちゃうん?」と思ってしまって(笑)

それがきっかけで建築の専門学校に行くことにしました。

ーー専門学校に行ってみてどうでしたか?

東谷 学校の課外授業で、各地の建築物を見て巡るのが面白かったです。現代建築から神社仏閣まで、いろいろ見せてもらいました。

建築にはいろんな道具が使われていたり、仕事にも繊細な部分とラフな部分があったりして「建築の世界って奥が深いな」と惹かれていったんです。

当時は建築家の安藤忠雄さんが脚光をあびていて、大阪の講演会でご本人に会えたりしたことも影響したかもしれません。

ーー建築の世界に惹かれて、そのまま建築の仕事に?

東谷 はい。建築に興味を持つきっかけとなったログハウスのことはすっかり忘れて、設計事務所に就職しました(笑)。

「こんな雰囲気の地域で暮らせたらいいなぁ」

2.きっかけ

ーー約30年間建築業界で働いた東谷さんが、どうして地域おこし協力隊に?

東谷 前の会社で、今後について考える機会があったんです。

今の仕事は嫌いなわけではないけれど、あと10数年仕事するにあたって「やりたいことはあるのか?」「やり残していることはあるか?」

「このまま終わって満足なのか?」って。

ーーなるほど。

東谷 そして、いろいろと考えて出てきたのが「田舎暮らしをしてみたい」でした。

僕は、小さい頃は父親と釣りに行ったり山登りをしたり、自然と触れ合う機会が多くあったんです。

それが、大人になるとそういう機会は減ってしまって…

「やりたいことはあるか?」「やり残したことはあるか?」と自問したときに出てきたのが「田舎暮らしをしてみたい」でした。

ーー地域おこし協力隊との出合いは?

東谷 5年ぐらい前だったかな。

京都の美山(みやま)町のイベントに参加した時に和束(わづか)町の地域おこし協力隊も参加していて、その時に初めて地域おこし協力隊の存在を知りました。

ーーなるほど。

東谷 自分が田舎に移住したいと思った時に、まずそこに仕事があるかどうかが心配ですよね。

移住を考え始めて「仕事どうしよかな?」と思った時に、「そういえば、地域おこし協力隊という選択肢があると思い出したんです。

ーーそこで、地域おこし協力隊に注目したんですね。

東谷 はい。両親が高齢なので近畿圏での募集を調べました。

そして、紀北町の「移住定住コーディネーター(空き家バンク運営)」を見つけた時に「これ、いいんちゃうん!」って。

建築業界で働いてきた自分のスキルを使って何か出来そうだし、それが地域貢献にもなるなら、いいやん!と思ったんです。

紀北町長島(魚まち)のまちなみを眺めて…

3.活動

ーー地域おこし協力隊としてどんな活動をおこなっていますか?

東谷 紀北町の移住定住コーディネーターとして、空き家バンクの管理・運営移住相談窓口で相談を受け付けたりしています。

ーー着任されて4ヶ月ほどですが、どうですか?

東谷 行政で働くのは初めてなので新鮮ですね。ようやく空き家バンクの業務に慣れてきたところです。

ーー紀北町の空き家についてはどうですか?

東谷 全国的に同じ状況だとは思いますが、空き家はめっちゃ多いのに、空き家バンクへの登録が少ないですね。

移住に関しては「セカンドライフを田舎で」という人が多い感触で、若い人たちの相談が少ないように感じます。

ーー今後やっていきたいことは?

東谷 コロナ禍も落ち着いてきたので、オフラインのイベントをやりたいです。

テストケース(モデルケース)となる地区を絞って仕掛けていけたらいいかもと思っているので、どこの地区が最適かなどを考えたりしています。

紀北町・島勝(しまかつ)浦のまちなみ

ーーあなたにとって、仕事とは?

東谷 自分を成長させる学びの場であり、貢献の場かな。

そして、自分の仕事を通じて、誰かを喜ばせたり感動させたりできたら嬉しいです。その対価としてお金をいただき、生活できるって有り難いですね。

東谷さんのランニングコースのひとつ・長島港

4.好きなところ・好きな言葉

ーー紀北町の好きなところは?

東谷 時間の流れかな。ゆったりしているところです。

この感覚は観光で訪れるだけではわからないかもしれません。暮らしてみて初めて味わえるような気がします。

そして、このゆったりした感じが自分には合っているかもしれないと感じています。

城(じょう)ノ浜展望台からの眺め

東谷 他に好きなところは、自然豊かなところですね。

自宅や職場などの建物を出るといつでも自然に触れることができる。

潮の香り、山の風、川のせせらぎ、鳥のさえずり、地元の食材、自然を五感で感じられるのがいいですね。

紀北町は海も川も身近にあって、釣り好きの僕には最高の環境なんです!

ーー好きな言葉は?

東谷「反省はしても後悔はするな!」です。

後悔は後悔するだけ。反省は未来に向けて改善して次の行動につなげること。

これは、元男子プロテニス選手の松岡修造さんの日めくりカレンダーの一言なんです。

東谷さんが愛用している日めくり
(写真は「ほめくり修造!」)

ーーそうなんですね!

東谷 この言葉と出合うまで私の人生は後悔だらけでした。

それが、この言葉をきっかけにして私の行動パターンが変わったように思います。

ーー行動が変わるってすごいですね!

東谷 はい。それまでの私は、考えに考えてから行動していました。考え過ぎて動けないことも多かった。

それが「とりあえず行動してみよう!」と思うようになりました。

そして、行動するからこそ分かることも多いのだと気づいたんです。

行動して反省して改善していけばよいのだと思うと「考えている時間がもったいなかった」と思う時も多くて…

そうやって、自分の行動パターンが変わっていきました。

紀北町の町のさかな・マンボウ

5.地域おこし協力隊に興味をもっている人へ


ーー最後に、地域おこし協力隊に興味をもっている人へメッセージをどうぞ。

東谷 地域おこし協力隊は、知らなければ(学ばなければ)いけないことも多いし、面白いことも多い。

「やってみんとわからへん」というのが絶対的にあります。

行政の仕事ということもあって、経験したことのないこと(仕事の仕方や物事の考え方)がすごく多い。(ミッション内容にもよりますが…)

だから「地域おこし協力隊という働き方ともっと早く出合ってたら、僕の仕事人生は大きく変わってたんじゃないかな」とも感じています。

地域おこし協力隊に興味がある人には「暮らしてみたい地域や取り組んでみたいミッションがあるなら、若いうちに挑戦してみたら?」という気持ちですね。

あとは、雇用形態や行政の雰囲気などが自分に合っているどうかのリサーチもしっかりとしておいた方がいいと思います。

ーー東谷さんの今後の活動を楽しみにしています。今日はありがとうございました!

●東谷さんが担当するマガジン「空き家利活用への道」

どんな風に道が開けていくのか、今後が気になります😉ぜひご覧下さい👇

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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取材時期:2023年4月
文:豊川(紀北町地域おこし協力隊/2023年4月30日任期満了)
写真:東谷・前川・紀北町役場広報係

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