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よくばり

新しいものを買ってくると
部屋が物で溢れていく
元々物は少ない方だ

子供の頃の僕の部屋は
テレビ ステレオ ゲーム 机 漫画
それしかなかった

いや
それだけで十分だろう

しかし何もない部屋と言われた

確かにカレンダーやクッションや観葉植物
その他置き物小物といったものは一切なかった

絨毯に転がってるものといえば
テレビのリモコンくらいだろう

テーブルなんてない

そもそも机も親が学習用に買ったもので
僕としては必要ない

しかし困ったことを言われた

物がない=冷たい人
という印象だ

更に僕はすぐに物を捨てる

物を捨てる=人も捨てる
という風に思われることも気になった

実際
友達も少なく
人の集まるところは苦手だった

興味のある人なんてそんなにいないし
何故付き合わなきゃいけないのかも分からなかった

やはり自分は冷たいのかなと思った出来事もあった

祖父が倒れる前日
普段計算の得意な祖父が暗算を間違えた

その瞬間
何故か直感的に「死ぬだろうな」と思った

その後半日ほどして祖父は倒れた

そこからは早かった

お葬式の日
あまりにも平然としていた僕は叔母に泣かれた

祖父に一番可愛がってもらっていたのは僕なのに
何も感じてないのかということだと思う

それから数年間は感情が少ないことを悩んでいた

今思えば本来の僕は甘えたがりで構ってほしくて寂しがりだっただろう

ただ環境的に人の顔色を伺い自分の感情を押し殺し
他人に期待しない方が都合が良かったのかもしれない

祖父のことも直感的に悟ってしまったとき
同時に覚悟もしてしまったのだと思う

話は戻るが
物が少ない=冷たい人
なのだろうか?

今も物は少ない

ただ昔より欲張りになったと思う

気まぐれ