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【起業アイデアに役立つ海外最新ビジネスニュース #71】ToB向けソフトウェア企業は2021年も好調!?

●パンデミックによる変化


今年前半はパンデミックが経済を混乱させましたが、2020年は、To B向けソフトウェアへの投資が再度活発になりました。

パンデミックが人々の働き方を変え、ZoomやSlackのようなツールの必要性が高まり、企業のクラウド採用を加速させ、何百万人もの従業員が自宅で仕事をするようになったため、IT部門は今までよりも様々な取り組みをしようと奔走しました。

Snowflake、C3.ai、などのIPO大ヒットは、To B市場への投資家の関心の高さを物語っています。
しかし資金調達に目を向けると、市場の動きは鈍化しています。

SaaSやTo B向けソフトウェアやアプリケーションへの投資は、2019年の3兆4500億円と比較して、世界全体で2兆9800億円にまで落ち込みました。
米国のSaaSおよびTo B向けソフトウェアとアプリケーション企業への投資は、2019年の2兆4500億円から2兆2700億円に減少しています。

2021年の予測は難しいですが、ベンチャーキャピタリストは、2020年の終わりに近づくにつれ、特定の部門に目を向け始めています。

●コラボレーションと在宅ワーク


世界中の多くの人々がリモートワークしながら、今までのオフィス経験を取り戻そうとしている中で、多くの人々がコラボレーション・プラットフォームを投資先として見ています。



ジェイ・ダス氏(Sapphire Ventures創業者)は以下のように述べています。

「在宅勤務が当たり前になり、今後は在宅勤務とオフィス勤務のハイブリッドなスタイルで仕事をするようになるでしょう。
コラボレーション、セキュリティ、生産性など、在宅ワークに起因する多くの問題を解決できる企業は、今後も魅力的な存在であり続けるでしょう。
また、ZoomやMicrosoft Teamsのような人気のあるプラットフォームを中心に構築されるアプリケーションが増えていくと予想しています。
さらにZoomはプラットフォームになりつつあります。そのためActivTrak、monday.com、Verbitなどのワーク・エンタープライズ・ツールに投資しています。」



マット・ギャラット氏(Salesforce Venturesのマネージング・パートナー)
「業界ではコミュニケーションとコラボレーションのプラットフォーム上でのサービスの積み重ねが見られるでしょう。また特定業界では、その業界に特化したクラウドネイティブ・プラットフォームを探すことも考えられます

これらのプラットフォームには、コラボレーションが必要です。」


●記録システム


データは貴重ですが、データ移動もますます重要になってきています。それを物語るのは、今月初めに発表されたセールスフォースによる2兆7700億円でのSlackの買収です。

マーク・シャーマン氏(Telstra Venturesマネージング・ディレクター)
「非常に興味深いのは、今まで価値の多くはデータ記録システムにありました。
Slackや他の企業が示しているのは、移動中のデータが非常に重要であることです。
記録システムは今後も非常に価値のあるものであり続けることは明らかですが、データをより迅速に移動させることができることと比べると、参入が増えてコモディティ化が進んでいます。
データを移動させて素早く移動させることの価値は、上昇傾向にあると思います。」

SalesforceがSlackに2兆7700億円を支払うという事実は、その価値観の変化を示唆しているのかもしれません。

ギャラット氏:
「データ記録システムからシステム・オブ・エンゲージメントへのシフトを『デジタル・トランスフォーメーション2.0』と見ています。
データの価値が高まっているだけでなく、これだけ自動化が進んだことで、人々がデータを使い、移動することが容易になってきています。」

Snowflakeのような企業が管理レイヤーとして機能し、データはAlationのようなデータを管理・カタログ化するツールやBigIDのようなプラットフォームに流れ、企業がデータコンプライアンスを維持するのに役立つデータ構造を指摘しています。

Tableau(2019年に1兆5300億円でSalesforceが買収)のようなツールも、データを公開するためのものです。

ギャラット氏:
「企業内のデータ量は決して多くはありません。
そのデータを使って戦略的な意思決定ができるようにしなければなりません。」

●クラウドとコンテナ


企業がクラウドの柔軟性に適応し、コンテナがアプリケーション構築方法を変える中で、より広範なTo B向けテクノロジー・スタックは変革を続けています。

ウバイド・ディヤン氏(ユニオン・スクエア・アドバイザーズのディレクター)は以下のように語ります。

「企業がコンテナに移行するのを助けるものは何でも面白い。
コンテナ、特にKubernetes(コンテナのデプロイと管理を可能にするオープンソースのソフトウェアプラットフォーム)への関心は、企業の技術分野で顕著になってきています。
7月には、To B向けソフトウェアの大手SUSEがKubernetesのStraup Rancher Labsを600億円で買収しました。
その後、Pure Storageは9月に370億円を投じて、Kubernetesのデータストレージと管理を行うPortworxを買収しました。

コンテナと仮想化技術は、企業アプリケーションや資産を1つのプロバイダに固定するのではなく、他のクラウドサービスへの移植性を高めることができるため、この分野の投資家にとって魅力的な技術であり続けています。

IBMやHewlett Packard Enterpriseなどのハイブリッド・クラウド・プレーヤーは、クラウドの構築を続ける中で、コンテナ技術に注目する可能性があります。」

IBMは2019年は1件でしたが、今年は6件の買収を行っており、ここ数年で買収の動きが活発化しています。


●2021年の投資家の動き


パンデミック前の水準で資金調達が行われており、公開市場では初日に大規模な資金調達が行われているにもかかわらず、すべての投資家が今後も好調な市場であると確信しているわけではありません。

トムベスト・ベンチャーズのマネージング・ディレクターであるドン・バトラーは以下のように述べています。

バトラー氏:
「高額企業のバリュエーションには注意が必要だと思います。高い失業率やバックレントの蓄積などのパンデミックがもたらした問題と、価値が急上昇するのを見てきたセクターが組み合わさって、市場は弱気になる可能性があります。
現在のベンチャーキャピタルは質へ逃避しており、2021年は投資家が企業のファンダメンタルズをより詳細に見るようになる可能性があります。
しかし金利や債券利回りが低水準にとどまっているため、民間市場と公共市場の両方で、企業のソフトウェアにリターンを求める動きが続く可能性があります。
私たちが見ているような旺盛な需要があるので、どちらに転ぶかはわかりません。」


出典:Crunchbase



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