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「これビジネスになる?」を解消する3つの視点

やりたいことが見つかったのに、「これビジネスになるのかな?」とわからなくなってしまうことは無いだろうか?

それは、起業アイデアの発見や、やりたいことに集中しすぎてしまい、アイデアをビジネスにする、つまりどうお金を生み出すかに目を向けられていないからかもしれない。

アイデアからどうやってお金を生み出すかを考えることは、ビジネスを継続し成長をさせていくためには欠かせない。

しかし、単にこの起業アイデアはお金になるのか?と考えても思考が足踏みしてしまう。そこで役に立つのが、お金を生み出す手がかりを探る3つの視点だ。

それが「顧客」「理由」「金額」の3つだ。

この3つの視点を起業のアイデアや、やりたいことと照らし合わせながら考えることで、「これビジネスになるのかな?」の答えが見えやすくなってくる。

3つの視点は、「顧客」「理由「金額」に分けられるが、それぞれ言い換えることができる。

「顧客」→「だれがお金を払うのか」
「理由」→「なぜお金を払うのか」
「金額」→「いくらお金を払うのか」

顧客

顧客とは、誰がお金を払ってくれるのかを考えることだ。

ビジネスの種がなんであれ、お金を払う人がいれば、それはビジネスとして成り立つ。一見して、本当にビジネスになるのだろうか、というアイデアも、立派な事業になるのだ。

徳島県には、「葉っぱビジネス」と名づけられた事業が存在する。主な商材は、なんと、落ち葉だ。

どこにでもある落ち葉を拾い集め、「日本料理などを彩る季節の添え物」として販売し、年間数億円の売上を誇る。

海外では、ジャガイモにメッセージを書いて送るサービスが存在する。

思いの丈をジャガイモに乗せ、相手に伝える。そのユニークさが好評で、アメリカのニュースメディアでは「Man makes $10K a month sending potatoes in the mail(ジャガイモを送付して月100万円を稼ぐ男)」と紹介されている。

初見では、ただの奇抜なアイデアに見えるかも知れない。だが、こうしたビジネスの種に価値を感じ、お金を払うお客さんが存在する。

単純だが、「添え物としての葉っぱ」や「ジャガイモにメッセージ」といったビジネスの種と、「そこにお金を払う誰か」を結びつけることが、ビジネスの第一歩になる。

・自分のアイデアに共感してくれるのは誰か
・想いを共有してくれるのは誰か
・そのうえで、財布からお金をだして払ってくれるのは誰か

それを追究する。

契約の要件や決済のシステムなんかは後回しでいい。まずは、お客さんになってくれそうな人を考えてみよう。探してみよう。会いに行ってみよう。

これが、やりたいことからお金を生み出す、ビジネスの第一歩になる。

理由

理由とは、なぜお金を払うのかを考えることだ。

これは、「お客さんは、お金を払うことで、どのようなニーズを満たしているのか」とも言える。売り手の視点ではなく、買い手であるお客さんの視点で考えることが大切だ。

有名な話だが、「ドリルを買いにきた人が欲しいのは、ドリルそのものではなく、穴である」というマーケティングの格言がある。

ホームセンターへ買い物に来たお客さんが店員にたずねる。

お客さん「ドリルはありますか?」
店員「すみません、品切れなんです」
お客さん「そうですか、わかりました」

日常的なやりとりかも知れないが、せっかく来店してくれたお客さんをみすみす帰してしまった。

売り手の説明は、どうしてもドリルの在庫や価格、性能などに偏りがちだ。
だが、ビジネスを展開していくうえで、大切なのは買い手の視点だ。お客さんが必要としているのは「ドリルを使ってあける穴」だ。

時を戻そう。

買い手の視点、お客さんのニーズを心得た店員さんであれば、次のように対応できたかも知れない。

店員「すみません、ドリルは品切れなのですが、どのような用途でご使用ですか?」
お客さん「いや、実は、家の壁に○○を据え付けたくて」
店員「それなら、こちらの道具でも代用はできますよ」
お客さん「なるほど、これでもいいかな」

2つの例の違いは、お客さんのニーズをつかんでいるかどうかだ。お客さんは製品やサービスそのものではなく、自分のニーズのためにお金を払うんだ。「なぜお金を払うのか」その本質はここに尽きると言っても過言ではない。

自分のビジネスの種に興味・関心を持ってくれた人たちの、真のニーズは何だろうと考えてみるとよいだろう。

金額

「金額」とは、いくらお客さんが支払ってくれるかを考えることだ。

値決めは経営であると言われるように、お客さんがいくらなら支払ってもいいと思ってもらえるかは、ビジネスが成り立つかどうかを左右する。

価格想定や設定はとても深く本当にさまざまな考え方がある。ここでは、1つだけ、価格を決めるに当たって有効かつ実践的な方法を紹介したい。

それは、「同業・類似事業者の価格設定を調査すること」だ。

・・なんだ、そんなことか、と思うだろう。考えてみれば当たり前のことかも知れない。だが、その当たり前をやらない起業者は驚くほど多い。

起業相談の現場での感覚だが、ビジネスで経験を積み上げているはずのシニア起業家であっても、同業・類似事業者について調査している方は少ない。これが、リアルだ。

やり方は、細かく解説しなくてもよいだろう。インターネットで検索する、ただ、それだけだ。

自分のやりたいビジネスと同種のビジネスをしているホームページをできるだけたくさん調査しよう。10件、20件、30件と確認していくうちに、大枠での相場観が把握できる。

そして、ここで大切なのは、ただ価格を見るだけでなく、その根拠を確認することだ。

価格そのものも十分に参考になるが、価格はさまざまな要素が組み合わさった最終的な結果だ。大切なのは価格の根拠、つまり、価格を支えている品質や付帯サービスにある。

同じような原価(小売業や卸売業であれば商品を仕入れるのにかかった費用等)でも、付帯サービスによって価格設定は変わる。

同じ生活雑貨でも、単品で付帯サービスが無ければ500円のものが、ギフトラッピングやアフターサービス、クレーム対応などの付帯サービスがつくことで、800円でも購入してくれるお客さんがいるかも知れない。

それどころか、お客さんの個別ニーズにより添い、生活雑貨の使用シーンに合わせた提案や、インテリアを含む提案ができれば、3,000円でも購入してくれるかも知れない。

こうした価格と付帯サービスの「バランス」をつかむ事が重要だ。

まずは、同業・類似事業者を参考に、自分が思い描く売り上げのビジネスが成り立つか、お客さんはその価格で購入してくれそうなのかを考えてみよう。

おさらいしておこう。起業アイデアや、やりたいことが見つかり、それがビジネスになるか分からい時はまずこの3つの視点で考えてみよう。

①「顧客」→「だれがお金を払うのか」
②「理由」→「なぜお金を払うのか」
③「金額」→「いくらお金を払うのか」

おまけ

最後に、もう一つおまけの視点を紹介しておく。

それは、そのビジネスで「お互いがハッピーになったか」だ。

ビジネスが一人で完結することは少ないだろう。お客さんのニーズに応えることができれば、お客さんは嬉しい。そして、一緒にビジネスする関係者もハッピーになれば、こんなに素敵なことはない。

たとえば、「株式会社いろどり」は、「葉っぱビジネス」を通じて、過疎化が進んでいた徳島県上勝町を大きく変えた。お客さんだけでなく、ビジネスを行う人や、その家族や、家族が住む町などを、ハッピーにした。

儲かるかどうかという視点だけでなく「お互いにハッピーになったか」を自問自答してみることで、より堅実に、自信をもって、次の一歩が踏み出せるはずだ。