通勤にもエルメスのスカーフを!

前回の記事、

に続いて、今日もファッションに関するお話をしたいと思います。

年齢を重ねると、身の回りに、良い物ばかりが残るようになります。
なぜかと言えば、もったいないから、と大切に取っておき、あまり出番もないので、それらは痛むこともなく、ずっと引き出しの中にいるからです。

カシミアのセーター

たとえば、カシミアのセーター。
ラムズウールのセーターは、どこへ行くのにも着て、家の中でも着て、洗濯もしょっちゅうして、ほつれたら繕って、何枚も色を揃えて、冬の間中着ていました。
ところが、カシミアのセーターは、今ほど安く手に入らなかったこともあり、大切に大切にして、特別な時にしか着ませんでした。

結果、どうなったか、と言うと、今、私の引き出しの中には、カシミアのセーターしか入っていません。
他のセーター達は、とっくにお別れして、カシミアだけが残っているのです。

エルメスのスカーフ

タイトルに書いたように、スカーフも同じことで、他のブランドのスカーフは、何枚も使ってはお別れしてきましたが、エルメスだけはなくなりません。
おまけにいつまでたっても新しいまま。
使用頻度が、他のブランドのスカーフやショールと比べると、段違いに少ないのですね。

その頃は、エルメスのスカーフと言えば、キラキラした特別感があったものです。
バブルの頃には、もう子供も生まれていて、世の中の狂騒を横目で見ていた私ですが、少しくらいは世間の流れに乗ってみたい気持ちがありました。

学生時代、卒業旅行でパリに行った時、初めてエルメスの路面店に行き、スカーフを一枚だけ買った、ささやかな思い出がありました。
そこで、下の子供も二歳近くになり、家族旅行にハワイに行こうか、となった時、それを思い出して、旅行の記念に、またエルメスのスカーフを買おう、と思ったのです。
その後も海外旅行の度に、エルメスのスカーフを買いました。

エルメスのスカーフよりチョコレート？

ところが、そのうちに、私の本能がまたもや目覚めました。
「このスカーフ一枚に払うお金で、どれだけのチョコレートが買えるかしら」

その頃、私は、夫がロサンゼルスからの出張帰りに買ってきてくれる、シーズ・キャンディーズのチョコレートに魅了されていました。
まだ日本では、シーズ・キャンディーズのチョコレートが気軽に買えなかった時代です。
到頭、私は、ハワイで、エルメスのスカーフの代わりに、シーズ・キャンディーズのチョコレートを買う、という魅惑的な考えを実行に移したのです。

それからは、旅先で、エルメスのスカーフを買うことはなくなりました。
私の手許には、旅の記念の数枚のエルメスのスカーフだけが残ったのでした。
それらは丁寧に折り畳まれ、箪笥の引き出しの中で、眠りについたのです。

今年の目標と反省

私は、2021年の目標は、＜自分が今持っているものを、大切にしよう！＞

の記事の中で、今年の目標として、「自分が今持っている物を、取り出しては眺め、使ってみることで、心を喜ばせたいのです」と書きました。

ところが、今の状態では、使う前に自分の人生が終わってしまいます。
前回のワンピースと同じですね。
もったいないから、と着ないでいるうちに、季節はどんどん切り替わっていってしまうのです。
エルメスのスカーフも、畳まれて眠っているのでは、かわいそうです。

通勤時にもエルメスのスカーフを

そこで、ワンピースと同じく、エルメスのスカーフも、通勤に使ってみることにしました。
真冬の間は、コートに祖母のお下がりの毛皮の襟巻き（これも謎の現象ですが、私の母や祖母の年代の女性は、やたらと毛皮のショールや襟巻きを持っていて、それらがすべて私の所にやって来たため、引き出しの一段分を彼らが占めています）を巻いていました。

コートが春物になった今、スカーフの出番がやって来たのです。
今こそエルメス！と思って、朝、出勤前に、鏡の前で、スカーフを巻いています。
そこでわかったことが一つ。
格好良く巻こう、と思っていると、会社に着けません。
練習はした上で、遅刻したくなければ、ある程度の妥協は必要だ、ということです。

まとめます。

ある程度の年齢になったら、ここぞという時のためにしまっておいた物を、日常の生活の中で、使うようにして行きましょう。
でないと、物の寿命が尽きる前に、自分の寿命が尽きることになりかねません。

初めにパリで買った、エルメスのスカーフは、柄が派手になったので、娘にやりました。
お下がりですが、娘は喜んで、結び方も工夫しています。
カシミアのセーターもワンピースも、どんどん着て、いずれ私の手で、「今までありがとう」と言って、お別れしてあげなくては、と思っています。