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編集者2つのタイプ

ちいさな出版社をやるってことは、自分が編集者になるということだ。いままで基本デザイナーとして関わってきて、その後、企画そのものから全責任をおうようになって、編集者とかディレクターっていわれるようになった。
とはいえ、あくまでもデジタルメディアやウェブの編集者で、紙の本の編集をしたことはない。でも、お客さんも元妻もほぼみんな紙の編集者だったので、憧れもあったし、門前の小僧なんとかで何をやってるのかはなんとなくしってた。

編集者は著者でも作家でもない。自分で書くのではなく、書いてもらうのが仕事だ。著者を発掘し、方向性を相談しながら決めていき、著者のモチベーションを維持するのを支えながら出版というゴールまで導くのが仕事だ。だから著者からすると、最初の読者でもある。
書籍や辞書、マンガ編集者は、特にこの傾向が高く、雑誌編集者はすこし著者よりでもあるかもしれない。そのかわり、雑誌編集には広告との兼ね合いというまた難しい仕事がある。

出版社をあっちこっち覗いてると、この編集者に大きくわけて2つのタイプがいることに気がついた。
ひとりは、自分には、著者になる才能なんかなくって、それでも大好きな本の著者に会いたくって、最初の読者になるべく出版社にはいった、基本、黒子に徹するタイプ。

ひとりは、この著者が本を出せるのは、わたしが発掘して世にだしたからであって、本当の才能は、この著者を見つけた自分にあると思ってるタイプ。こういう人は奥付にしっかり編集者の名前を書く。
前者は、小さな出版社の編集者に多く、その割にはとても高学歴な方で、しずかでものごしの柔らかい人が多い。
後者は、大きな出版社の編集者に多く、早慶な人がほとんどで、多弁で、人に厳しく、でも、物議を起こした書籍や雑誌の名物編集者だったりする人が多い。

実際、マンガ編集なんてものは、口は悪いけど、マンガ家希望の人の多くは絵は描けるけど、ストーリーはボロボロで、ストーリーまでしっかり世界観を描ける人は極々わずかだ。
だから、某有名マンガ雑誌なんて、ほとんどストーリーは編集者が黒子になって編集会議で決めて、それにそってマンガ家が描いてる事がままある。なにせ編集者は、早慶トップクラスの成績で、大手出版社にはいってるわけだから、地頭がとてもいい。ほんと、話しててついて行けない。
ちいさな出版社を作るに当たって、わたしがなりたい編集者像を考えたとき、モデルになるのは、前者のタイプだ。わたしは黒子になりたい。

そんなベストセラーを生み出すような、地頭も、企画力も、著者とであう馬力もない。ただ、日々の生活でであった、魅力的な人に、その話、本にしてみない?って聞くのが精一杯だ。

でも、本はそんな甘えたこといってちゃだめだ。本は売れなきゃだめ。売れないってことは、人に伝わってないってコトだし、経費が回収できなかったってことは、次ぎの本が出せないってことだからだ。

だといって、売れるからって、怪しい健康食品の本や、陰謀論の本は出したくない。良心の範囲で売れる本をだす。それが仕事だ。

著者に寄り添い、メンタルをサポートし、モチベーションがさがらないように、ほめて育てて、最後までゴールさせる。ゴールしてから、手売り、セミナー、書店まわりと、次ぎのランが待ってる。そこまで2人3脚できてはじめて編集者なんだとおもう。

わたしにはこの経験はない。いままでは、最初は編プロのデザイナーだったわけだし、その後はデジタル編集者だったわけなので、販促はお客様である大手出版社のお仕事だったからだ。

さて、キゴウラボ出版部門、具体的に稼働させますか!
まずは、出版企画書をきちんと書いて、著者、流通代行会社にその気になってもらうことからだ。


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