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寒卵

新しい季語を知る時、概ね知っている漢字同士の組み合わせなのに、それらが隣り合うことで持つ壮大な意味に感嘆する。


私は歳の割には、記憶の引き出しが多い方だと思っている。田舎育ち、祖父母同居だった特権である。しかしながら、家で鶏や蚕なんかを飼ってはいなかったし、例えば今朝産みたての卵の暖かさなんていうのは、実際に知りようがなかった。


それでも、文字を通して想像し、
言葉は私の一部になる。


冷蔵庫に残る卵を取り出し、そっと掌に乗せてみる。
それはひやりと冷たく、静かに皮膚の温度を奪いながら窪みに収まっていた。

最近は仕事が忙しく、ほぼ自炊が出来ていない。
その多様な栄養素から、卵万能説を勝手に唱える私は、縋るように卵ばかり食べているのだった。


寒卵(かんたまご)

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