シニアパートの見ると聞くとは大違い。
9月に入り二十四節気では白露にあたる。
白露とは、
夏から秋へと移ろうこの季節のことを
あらわしているそうだ。
秋かぁ〜〜
などと優雅な気分どころか、、、、
めちゃくちゃ、暑い毎日が続いている。
その暑いさなか、仕事が決まった(笑)
あらら、、、また?働く?どうした?
ある私立大学の留学生宿舎の管理である。
「いやぁ、
即戦力としてお仕事していただけますね」と
採用担当の若い男性は、履歴書を見ながら
ガハ、ハ、ハ、、と笑いながら言った。
おばあさんは戦力になんかなれないわ、と
思ったが、後になって、この戦力と言う言葉が
現実味を帯びてくるのである。
サスペンス的要素を含みつつ
とにもかくにも、働くことになった。
緑の樹々に囲まれた
コンクリート打ちっぱなしのおしゃれな外観。
もしや、名のあるアーキテクトによる設計なのだろうか、、、。
そのビルが勤務場所である。
「大丈夫ですよ、最初から出来る人なんて
いないっすよ。徐々にね」
白髪の老人、、、いや先輩スタッフが
柔らかい笑顔で言った。
スタッフは5人。
私を含め全員が高齢者である(笑)
おしゃれな外観とは、対照的に事務室は
古臭く、ダサく、小汚い。
PCは立ち上げに10分もかかる。
なにもかも手書き。
古いエアコンは、音だけで快適な涼しさを送りこむ力もなさそうである。
イスの上に置いてあるボロボロ座布団。
ダッサ。ふるっ。
さらに、仕事内容は過酷を極めた。
面接時に聞いていた話とは、まったく違った。
留学生対応から掃除、洗濯、落ち葉拾いまで
オールラウンダーなの?
何でも屋?
ちょっとだけ掃除じゃなかったんかーい。
新手の詐欺ではないか!
「普通にね、家庭の主婦の仕事と考えれば
いいんですよ。ねっ」
と、別の後期高齢者が優しい笑顔で言いながら、
まるでハムスターが、回し車を回すがごとく
働かされてしまった。
カラカラカラカラカラカラカラ🎵
所変われば品変わる、、とは良く言ったものだ。
私は以前にも、
同じ仕事を別の大学で経験している。
カタコト英語を必死で使い、、それはそれで
楽しかった、、が、、、。
「ここは、日本じゃ。
日本語を勉強しに来てるんだろう、、、
英語など、話さんでいい」と
また、別の高齢者がおっしゃってるらしい。
たしかに一理あるけどね。
「アタラシイ、ヒトデスカ?」と
語りかけてきた留学生を目の前にすると、
思わず
Nice to meet you
What should I call you、、、と言ってしまってから慌てて口を手でおさえた。
大学近くに、老人ホームがある。
やはり濃い緑の樹々に囲まれた
瀟洒な佇まいである。
気になって調べてみると
入居時3000万。
月額費用40万、、、とある。 うわっ。
そして、私は同じように
緑深い樹々に囲まれてはいるものの
汗だくで、月額8万円を手にする。
あは、は、は、は、、、。
「僕ぁね、80歳までは、
ここで働くつもりですよぉ」と
後期高齢者の方がニコニコ笑顔で言いながら
「どっこいしょ」とイスに座られた。
彼の背中越しの窓から見える緑の葉が
大きく頷くように風に揺れた。
健康で働くのも悪くないわね。
だけどね。
私は、
チーム高齢者のハムスターにはなれないのよ。
明日、出勤するの辞めようかなぁ〜
もういやっ(笑)