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疒日記11 音楽が終わったら
何かが終わるときThe Doorsの「The End」が詩情たっぷりにつかわれたりするのがいやで、だったらまだ同じThe Doorsの「音楽がおわったらで」充分じゃんかと思ってたのだが、最近はその曲でも全然詩情も何も感じない。カラカラと響くただのアメリカン・ロックだ。ホテル・カリフォルニアもいい線いってなくはないけけまど、いまいいちだめだ。すっかり心身ともに乾ききっている。わさかここまで乾くとは思
もっとみる疒日記09 自己否定
この日記の更新の間隔がどんどん広がっているのは、体調の管理に手こずっているせいもあるが、それ以上に、病気を劇的なものだと捉えるような感覚が僕の中でどんどん薄まってきているからだと思う。以前は身に起こることを、こんなことがあった、そんなこともあった、と書いていけばよかったが、今はもう、ずいぶんのっぺりとした生活で、これといって書くことがない。自分の実存と病を患っていることがすっかり重なってしまい、輪
もっとみる疒日記8 | Art for ◯◯
僕のガンに対してアート/アーティストは何ができるか、と問うたところで前回の日記は終わっていた。もちろんこれはある種の皮肉であって、本気で問うているわけではない。しかしその一方で、僕はこの三ヶ月のあいだ、思いのほか「アート」に触れてきた。
気になりだしたのは11月半ばのことだ。診療が進む中でガンであること、しかも肺以外にも転移していることが明らかとなってきて、PET-CTという、全身をチェックする
疒日記7 |デクノボー
思うところあって前回の日記は「寄付受付用」にしたのだが、説明が不十分だったか、危口のイタズラであるかのような誤解を招いてしまったようだ。だから今回の日記ではきちんとした説明と、そもそもの発端である「思うところ」について書いてみようと思う。
ただ、この「思うところ」は、あくまでも先週(昨年末)の僕が思っていたところであり、今はまた違ってきている。だから、ここで書くためには過去のことを思い返すように
疒日記6 | お年玉
支援したい! 有料でも読むよ! という声が届くこともあり、たいへん嬉しく思っています。けど、自分の文章にそこまでの自信はなく、また、値段をつけることで書く内容が変にねじれるのも嫌なので、この日記だけ有料にして寄付など募ってみようと思います。頂いたお金は、主に携帯電話やモバイルWi-Fiの通信料金に充てさせてもらう予定です(病院のベッドでiPhoneを眺めているとあっという間に通信規制に……)。
疒日記3 | 因果とか調和について
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悪いことをしたら罰が当たる、いいことをしたらご利益がある、という単純な因果はあまり好きではない。いや、好き嫌いの問題ではないか。これは、そうあってほしいという素朴な願いであって、別にこの世の摂理ではない。自然はそんな単純な法則で動いてはいない。だからこそだろう、荒ぶる自然の中にあって人は信賞必罰を求める。せめて自分たちの作る社会ではそれが徹底されるよう力を尽くす。そこに、病が、災害が、到来す
疒日記2 | 泣くことと痛みについて
淡々と死を受け容れていたと書いたが、それでも顔色ひとつ変えなかったわけではない。当然のことながら、かなり泣いた。おおいに泣いた。感情がこみ上げる度にベッドに突っ伏して咽び泣いていた。特に11月上旬あたりは。
泣くのは決まって、人に会ったり、電話をしたり、メールのやり取りをしたり、つまり他人と関わりを持ったときだった。人の情に触れるとこちらも動揺し、涙が溢れ出すのだった。協働していた人たちに病のこ
疒日記(やまいだれにっき)
はっきりと異変を自覚したのはふた月と少し前、9月から10月になる頃で、まず声が掠れて出なくなった。咳はもっと以前、夏から続いており、声の出なくなったのもそのせいだろうか、気管支炎などこじらせたかと思っていた。次いで背中が痛くなってきたが、これも数年前、工事現場で働いていた頃に痛めた古傷の再発だと思い込んでいた。
10/15に新宿歌舞伎町でパフォーマンスをやって、その数日後、あれこれ落ち着いたとこ