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ブックカバーチャレンジ1日目 「浮浪児1945ー 戦争が生んだ子供たち」

ブックカバーチャレンジ1日目
浮浪児1945ー 戦争が生んだ子供たち
石井光太著 新潮社発行 平成29年8月1日発行

昔から歴史は好きでしたが、スペース・シンタックスという都市解析系を学んでいた私にとって歴史研究は縁遠く、敷居の高い世界でした。博士後期課程に進学し、直接の指導教官ではなかったのですが、偶然、石田潤一郎先生のソウルの近代都市史研究のお手伝いをすることになり、近代都市史の発見の面白さ、物語が体験とともに読み取れることにすっかりはまりました。それをきっかけに、都市史と解析を組み合わせた研究手法で近代都市計画を研究して来ました。その恩がある石田先生からブックカバーチャレンジが回って来ましたので、本を紹介します。

石井光太さんの「浮浪児ー」。これはブックカバーにあるように、壮絶な人生をまとめた本です。物語は一人の浮浪児の遺書から始まります。疎開で命は助かれども、東京に住む家族は全滅。たった一人で生きていった浮浪児たち。名も知れぬことなく、多くが亡くなった時代があったのです。

そんなどん底でも仲間が見つかります。愛情をかけてくれる人たちがいます。しかし、それをもってしても、よかったね、と言えない難しい人生をこの本は伝えます。 

現代からその時代を振り返り、ただただ生き残ることの意味を問う本でした。人の息吹がありました。最後のページの写真を見たときに沸き起こる感情が、この本の大切なメッセージであろうと思います。 

この本を知ったから。この時代を想像したから。今、横須賀1953を撮っています。

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