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「怖いから、あえて居心地の悪い場所に」ハリウッドで輝く吉田理恵さんの多動力

「背が低いわたしだからこそ、伝えられることがある」

そんなメッセージを掲げ、2012年に日本代表としてミスアジア世界大会に出場し、当時日本人最高となる4位を受賞した女性がいる。現在、ハリウッドで女優やモデル、ダンサーなどマルチに活動している吉田理恵さんだ。

18歳で日本を離れ、アメリカの大学を卒業。エンターテインメントの世界へ乗り込んだ。さまざまな職種でプロとして渡り歩く「マルチ・ポテンシャライト」として、走り続けてきた。そんな彼女に、飽くなき挑戦心の背景や、人生を前向きに生きる秘訣を聞いた。

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写真提供:吉田理恵

吉田理恵(よしだりえ)
千葉県出身。18歳で渡米し、カリフォルニア州立大学でダンス、歌、演技、デザイン、映像翻訳を専攻する。2012年、2014年に日本代表としてミスコンの世界大会に出場したほか、HBOのテレビドラマ『ウエストワールド』やNetflix『フラーハウス』などにも出演。現在はSony Pictures社員専用ダンスクラスでダンス指導を行っている。多いときで月に約30冊の本を読む読書家でもある。2021年、アメリカ永住権を取得。

外見は完璧じゃなくてもいい。それよりも自分が何を伝えられるか

ーーーー理恵さんは女優、モデル、ダンサー、英語講師、翻訳、スタントウーマンなど、5足、6足ものわらじを履き、アメリカで働いています。職種をひとつに縛らずに活動したきっかけを教えてください。

もともとダンスをしていたのですが、表現力を養いたくて、演技の勉強を始めました。そしたら今度は、女優のお仕事もおもしろいなと思うようになったんです。で、女優のお仕事をするなら英語が必要だな、じゃあ発音を徹底的に学ぼう…といった流れで、そこから大学で英語を教えるなど、さまざまなお仕事に繋がっていきました。

趣味から始めたことが趣味で終わらなくなって、どんどん追求していくうちに気付けばそれぞれ仕事になっていた、という状況です。

ーー点と点が線になっていく感覚ですね。

そうですね。その都度、興味があるものや与えてもらったチャンスには、一生懸命取り組むようにしています。

だから、ミスコンもそうです。まわりにミスコンに関わっている人がいて、「おもしろそうだな」と思って挑戦しました。

ーー「おもしろそうだな」でミス日本代表になれるものですか!?(笑)

ミスコンでは、順位などよりも「自分が一番伝えたいことは何か」にフォーカスして挑んでいました。

わたしは、特に飛び抜けた才能があるわけではありません。それに、背も低いし体型も細くなくどちらかといえば、ずんぐりむっくりで…。

ミスコンに出る人とかモデルって、背が高くないといけないイメージがあるじゃないですか?でもわたしは158cm。背が低いのはどうしようもないですよね。努力して伸ばせるものではないし。

大会には170cm以上の方ばかりでした。それでもあえてミスコンに挑戦したのは、「そんなわたしだから伝えられるメッセージがあるんじゃないか」と思ったからなんです。

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ミスコンの世界大会にて。写真提供:吉田理恵

ーー吉田さんがミスコンで伝えたかったメッセージとは何ですか?

「みんなそれぞれに美しい」ってことです。

例えば、「モデルは背が高くて細くて」とか、「女性は色白がいい」とか、社会が決めた美の観念に縛られて、縮こまってしまう女性は多いと思います。

世間からのプレッシャーによって自信を持てずにいる女性に対して、「あなたはあなたのままでも美しいんだよ」と伝えたかった。

その想いが審査員に評価されたのかなって思います。

ーーその後に出場したミスアジア世界大会では英語でのアピールが必須になりますが、不安はなかったですか?

怖かったですよ。アメリカに来て2年目で、英語もそんなに上手ではなかったですし、特に人前で話すのが怖かった。

だからあえて参加したのもあります。怖さを克服するために、居心地の悪い場所に乗り込んで、慣れようと思いました(笑)

怖いものがあると逃げたくなるじゃないですか。けど、一時的に逃げられたとしても、「怖い」はずっと追いかけてくる。だったら、先にその怖さをなくしてしまえばいいやって。なので、あえて怖かった「人前で英語を話す」ことに挑戦したんです。

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国内外問わずいくつかのコンテストに参加した。写真提供:吉田理恵


人と比べないためにも、あえて比べられる舞台に立った

ーー周りと比べて萎縮してしまうことはないですか?

人と比べることって自分の幸せを小さくしてしまうことだと思っています。わたしは、あえて「ミスコン」という人と比べられる場所に出ることで、比べられても気にしないメンタルの強さを身につけたかった。

エンタメ界やモデルの世界ってどうしても人と比べられてしまうので……。

ーー比べられる環境で、どのようにメンタルを強化したのですか?

わたしは、比べる対象を「他人」ではなく「過去の自分」に設定しています。昨日よりも今日成長できていたらそれでよし。過去の自分ができなかったことができていればオッケーといった感じで。

以前は、他人からどう見られているかが気になっていました。

「人が求める自分にならなければいけない」
「世間が求める枠に収まらなければならない」

周りも「もっと日本人っぽくしたほうがいい」とか、「外国人っぽいからハーフのふりしたほうがいい」とか、「英語のアクセントがイマイチだね」とか、みんな好き勝手いうんです(笑)

ーーそこでどうやって自分を強く維持できていたのですか?周囲の要望に答えようとしてしまいそうですが…

他人は自分の人生に責任をとってくれない。なので、自分を大切にするのが一番だなって。

人をうまく使おうとする人ってどこの世界にもいて、わたしも騙されちゃったことがあります。そういう経験があったからこそ、自分の意見をしっかり持とうと思えました。

人って「I’m not enough.(わたしはまだまだ)」って思いがちじゃないですか?

わたしもそう思っていた時期がありました。でもそういうときって、自信がないし自分自身を大切にできない。それに、人の意見ばかり気になるんです。なので、少しでもできた自分を褒めてあげて、自分自身を受け入れるようにしました。

そうすると、自然と余裕ができて、人にも優しくできるんです。

成功の定義を外に求めてしまうと、どんなことをやっていても辛いんだろうなと思います。

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お仕事の様子。写真提供:吉田理恵

目標は至ってシンプルに今は具体的な目標よりも、毎日を大切に過ごす

ーー2021年の今年、アメリカの永住ビザを取得されました。今後の目標はありますか?

目標は、周りの人を大切にして、フレキシブルに目の前のことに一生懸命取り組んで、毎日わくわくしながら過ごすことです。

人生何があるかわからないから。特に2020年をアメリカで過ごしてそう思いました。今はコロナの影響でハリウッド業界も状況が変わってしまいましたし。

ーー毎日を大切に過ごすって、シンプルだけど一番大事なことかもしれませんね。

今までは目標も立てていたんですけど、振り返ってみると、自分が目指していた未来より良い結果が与えられているなあ、と思っています。

「ここまでが目標」と決めるより、目指す場所に向かって日々コツコツと努力する。そうすると、自分が掲げていた目標の遙か上のものを得られることを発見したんです。

「神様のプラン」と言ったらいいのかな? そのほうが、自分が設定する目標プランよりも大きくて良いものを与えてくれます。

ーーそれには日々の努力が必要ですよね。吉田さんは、何事も全力で取り組んでいるイメージがあります。

大学受験のときに、1日18時間くらい鼻血出しながら勉強していました(笑)。ひとつに集中すると、やり過ぎなくらいがんばってしまいます。

与えられたお仕事とか、目の前で起こることに感謝して行動していると、どこかで見てくれている人がいるんですよね。それで、新しいお仕事に繋がっています。

目の前のものに一生懸命なときって、ちょうど良いタイミングで、また違う挑戦ができる新しい何かがやってくるんです。

--思ったようにうまくいかないときはどうしていますか?

うまくいかなくても、これはきっと失敗ではなくて、「この道じゃないんだ」「他にいい道があるんだ」と思うようにしています。

目標を設定しても、途中で考えが変わるときはあるじゃないですか。そういうのは逆らわずに、他のことに興味が移ったらそれもよしです。

「社会的にこうだから」とか、「自分がこう言ってしまったから」とか、そういうことは考えず、そのときの自分の心に従っています。

ーー「自分の心に従って、わくわくして生きる」肝に銘じます。

今までも、コツコツと目の前にあることをがんばっていると、気付けば色んなことができるようになっていました。それが、今のお仕事にすべて繋がっている。なので、これからも興味があることに挑戦して、楽しんでいきたいですね。

おばあちゃんになったときに、おもしろい思い出話ができるような、そんな人生を歩めたらいいなって思うんです。 

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写真提供:吉田理恵

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