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突然の入院

それは突然のことだった。

塾で受験勉強をしていたときに襲ってきた腹痛。
講義中も痛みは消えなかったがなんとか乗り切り、家に帰ろうとする。

背筋をのばして歩くと痛みが増すので、リュックでごまかしながらなるべく腰を丸めてやっとのことで帰宅した。

温かいお風呂に入ったらきっとよくなるだろう…

そう思っていたが、その期待が裏切られることをそのときのわたしはまだ知らない。

帰宅後、すぐにお風呂に入り体を温めた。

がしかし、

痛みは消えるどころかむしろどんどん悪化していった。
それはもう立つことができず、移動は這っていかないといけないほど痛かったのだ。
おなかもすいているはずなのに、みそ汁以外うけつけず。

そのまま寝ることにしたのだが…

寝れない!痛すぎて寝れないのだ!

毎日の勉強で疲れていて眠いはずなのに、おなかの痛みが勝ってしまい、寝ようにも寝れない。

時間がたてばたつほど痛くなっていき、しまいには吐き気までもよおしてきて、地獄のような時間だった。

異常な痛みで止まらない腹痛、吐き気を訴えた私は母と兄の付き添いで近くの病院に行った。

診断結果は急性胃炎。

腹痛の痛みを解消する点滴をうってもらい、腹痛は少しマシになった。
しかし、吐き気が止まらず、点滴をしている間もずっと吐いていた。
何も吐くものがないのに吐き続けるのがしんどくて、辛かった。

その後、吐き気止めの点滴をうってもらい、様子見で一日入院することに。

これが私の人生初めての入院だ。(赤ちゃんの時は除いて)

正直言うと、しんどくてどうやって移動したのかとか、どうやって入院服に着替えたのかあまり記憶がない。

翌朝目が覚めると昼の12時を過ぎたころだった。

先生からとりあえず一日安静にするようにと言われた。
その日は点滴で過ごし、飲めそうであればなるべく水を飲むようにと。

コロナのため面会ができず、荷物を届けてくれた親とも会えず…
一人病室で過ごすのは思ったより暇だった。
と同時に価値あるものでもあった。

窓からの景色は妙に自分の中に響いてきて、感慨深い気持ちになった。
一人だからだろうか。じわーっと広がっていったのをおぼえている。

何かに追われるのではなく、静かにおだやかに過ごす。
深い思考、自然、周囲の音…
そんなものに意識を向けられ、貴重な時間を過ごせたのではないかと今になって感じた。

家族には迷惑をかけたが、今となってはそれも思い出である。




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