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異年齢クラスでマウント合戦が起きたら。

こどもパソコン教室では異年齢の子たちが一緒にクラスをしています。
一斉授業ではなく、一人ひとりのカリキュラムで進むので、異年齢でも特に問題はなく、かといって個別にやっているわけではなく、円座になるような配置なので、なんとなく会話したり刺激しあったり。

今日は年下の子の方が得意で進んでいるもの、入ったばかりの年上の子がまだ進んでいないものがありました。
歳の小さい方から仮に、
ひーちゃん
ふーちゃん
みーちゃん
よっちゃん
いっちゃん
の5人と呼びましょう。

ひーちゃんが「ここまで進んでるんだよ」と自慢。
私は「すごいね!」とこれまでの毎週の取り組みを褒めます。

ふーちゃん「なんか、馬鹿にしてくる!」とちょっと怒ります。
私は「馬鹿にしてるんじゃないよ、先に始めたんだもの、実際進んでるんだよ。ふーちゃんのその着実に取り組むところ、すごくいいところだよ、確実にできることが増えているよ。」と答えました。

ふーちゃんとみーちゃんは同じ歳。二人でごにょごにょとひーちゃんが生意気だというようなことを言っている様子。
私には言葉までは聞き取れませんでした。

一番年長のいっちゃんが「聞こえてるよ!なんか文句言ってるね!」と軽い調子でつっこみ。
私は「なんて言ったのか聞こえなかったけど、してほしいことややめてほしいことがあるならふーちゃんはひーちゃんに直接話してよ。話し合いだよ。ふーちゃんとみーちゃんで話しても、ひーちゃんはどうしたらいいかわからないよ。」

するとふーちゃんは「馬鹿にすんなよな!算数のこの問題わかるのかよ」
と乱暴な口調でクレーム、そしてマウント。
私は「優しく話して。それに歳がちがうんだから、その問題はできるわけないじゃん。当たり前のことで強く言わないで。もっと愛が必要!」

すると今まで黙って自分のことをしていたよっちゃんが「いま愛の話なの?」と参加。
私「そうだよ。愛の話だよ。自分の作品も他の人の作品も大事って私いつも言うよね。相手のやっていることも大事にする、他の人が好きなものも尊重する、自分の思ったことは優しく話す、相手の思っていることを聞いてみる。それは愛の話だよ。」

この時点でふーちゃんは(あ、自分は優しくないこと言っちゃった)とわかっているような様子。
わりと平穏な感じにひーちゃんに
「(どこまで進んでるとか自慢するようなことを自分に対して)そういうこと言わないで」と言い直しました。

事が収まりかけた雰囲気でしたが、一番年下でも口の達者なひーちゃんが「ばかにしたいんだもーん!」
すかさず私が「馬鹿にしたくて話すのは愛がないからダメー!」
その言い方に、
よっちゃんがふふふと笑い声を出し、全体が面白い出来事だった雰囲気で収まりました。

異年齢、始めてからの年月も違う、得意不得意も違うので進むスピードも違うなか、このような自慢やマウント合戦が始まってしまうこともあります。

タイピングゲームやドリル形式の教材、絵を描く課題、プログラミングしていく作品づくりなど、複数の教材を組み合わせているので、いろんな得意パートが出てきます。

タイピングが速い
漢字が得意
音読が上手
ゲームが上手
面白いYouTubeを知っている
絵が上手
見本と同じ絵が描ける
プログラミングが速い
英語が得意
見た通りに作れる
オリジナルに変更して作れる
論理思考が速い
何ヶ月もじっくり作品に取り組める
1回のクラスで1作品仕上げる
何度も実験する
色の組み合わせがきれい
音を組み立てられる

などなど。

だからこそ、他の人のやっていることは尊重するし、自分の良いところも尊重する。
他人の作品には勝手に手を出さないで大切にする。
自分の作品もどんな出来でも大切にして必ず保存する。

いちばん年上のいっちゃんは自分の作品にいつも自信がなく、保存せずに消してしまう子だったけれど、いまはしっかり保存して、ここをこういうふうにしたいんだけど、と相談してくれるようになりました。

よっちゃんは他の人の発言や作品に「愛だよ、愛」というのが不思議そうだってけれど、今日は最後まで残って自分の作品を仕上げました。その作品の大切さ、自分でも大切に思う気持ち、私がその作品を大切に思う気持ちが少し伝わったでしょうか。

みーちゃんは自分がたくさん進んでいるけれど、自慢はしません。作りたい作品にたくさん時間をかけています。でもちょっと面倒でなかなか得意にならないタイピング、少し頑張って練習するようになってきました。

ふーちゃん、年下の子にマウントしても仕方ないとわかってくれたかな。着実に進められる性格なので、周りの声に振り回されず、自分のしていることに自信を持って歩めばきちんと頭が良くなるタイプ。

いちばん年下のひーちゃん。どうしたって年齢的に届かない高さがあるし、それでもひーちゃんが得意な言語力はどんどん伸ばせる。歳上をばかにしたいという気持ちは持っていてもあまりいいことはないし、愛がないから、最後「ダメー!」と言ってしまった。もっとよい伝え方があったかもしれないな。

こんなふうに、異年齢クラスはいろんな会話が巻き起こります。
私はそれぞれの得意なところを伸ばせるよう、お互いを大切にできるよう、気をつけてクラス運営をしています。

★こどもパソコン教室
http://kidspc.jp/

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