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SNS作品投稿への葛藤

今回は、SNSでの作品発表についての葛藤と、私なりの解答について、書いていきます。

なおこの文章はあくまで私見であり、他の考え方を批判・否定するつもりは全くありません。

私の結論~誰よりも早く傑作を撮れ!

「この作品、SNSに投稿するべきか、秘蔵の1枚として温存しておくべきか…」フォトグラファーならば、この問題に、多くの人が悩むと思います。数年間様々に考えてたどり着いた現時点での私の結論は、「誰よりも早く傑作を撮れ!」ということです。どういったことなのか、詳しく書いていきますね。

その場所で撮れる最高の1枚を、誰よりも先に撮影完了する(2015)


SNSに作品を出す→撮影地を破壊するというリスク

SNSの発達により、たった数年前と比べても、写真の拡散性は飛躍的に向上しました。さらには、マップツールの発達やキャプションの記載(撮影地記載を作品フィーチャーの条件にしているハブは多い)、ジオタグの登場により、撮影地の特定も容易になりました。ウケのいい作品はすぐに広まる一方、作品からは簡単に撮影地を割り出され、すぐに一般化し消費されてしまう状況です。撮影地拡散による弊害は叫ばれて久しく、人が集まることによってマナー違反や事故などが起こる可能性が高まります。その結果、撮影地の閉鎖や地主等による風景自体の破壊といった悲しい結末を迎えた場所も増えてきました。SNSに作品を出すことによって、元々その風景を撮っていた自分ですら撮影ができなくなってしまうリスクがあるのです。

マナーの悪さや地主ご厚意の駐車場閉鎖など、典型的な撮影地問題をたびたび聞くスポット(2015)


SNSに作品を出す意味~やっぱり見てもらいたいし、バズりたいのが本音

人々がSNSに作品を投稿する目的は、多くの人に写真を見てもらいたいからです。気持ちの大きさに違いはあれど、みなそれは同じだと思います。「Twitterは鮮度が命」なんて一時期言われた通り、速報性のある絶景はインプレッションが高く、バズる可能性も高くなります。何より、たとえ即時でなかったとしても、作品を発表しなければそもそもだれにも見てもらえません。しかも、できればよりインパクトのある作品で、となれば、あまり知られていない要素(場所・被写体・シチュエーションなど)の強い作品を選びます。しかしインパクトが強ければ強いほど、その作品・撮影地は、一般化し消費されてしまうリスクも高いのかもしれません。

特定の場所からのダイヤモンド富士は、インパクトの強さから一般化・消費されやすい。この場所も、いつしか数百人が押し寄せる定番スポットになっ(ってしまっ)た(2017)


マイスポットは隠し通せば守れる、という幻想

ここまでの流れを見て、「それならば、自分だけの撮影地は、SNSに出さなければよい」と考えるのが自然な思考でしょう。私も最近まではそう思っていました。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか

残念ながら、いくら「マイスポット」と言えど、自宅私有地でもない限り、自分以外のだれもその場所で撮ったことがない、という状況は、国内ではほぼありえません。それがフォトグラファーの本気の作品なのか、一般人の散歩先スマホスナップなのかはわかりません。しかし、どれだけ自分が隠そうと思っても、他の誰かにその場所を拡散させられてしまう可能性は十分にあるわけです。むしろ、自分が注目しているなら、他のフォトグラファーだって目を付けている可能性があります。だれもがあっと驚く作品をSNSで発表したいと思うのは、そのフォトグラファーも同じはず。そうなると、自分が撮影地を隠していても、いつまでも拡散・一般化・消費から守り通すことは難しいと考えられるのです。

自分にとっては「秘蔵スポット」でも、他人の投稿によって簡単に「メジャースポット」になってしまう可能性があるということ(2020)


結局は時間の問題!

ならばこそ…「誰よりも早く傑作を撮れ!」

ここまでお読みいただいた通り、

・SNSで活動する以上、だれもがインパクトのある作品を投稿したがっている。
・認知度の低い撮影地の作品であっても、他のSNSフォトグラファーによって拡散される可能性がある。
・一度投稿されれば、その作品・撮影地は拡散・一般化・消費の一途をたどり、最悪破壊のリスクすらはらむ。

ということが考えられます。つまり、自分がどう立ち振る舞おうとも、時間とともにいずれはどんな作品・場所でも広まってしまうということなのです。

そうなると、対策はただ1つ。それは、「誰よりも早く傑作を撮る」ということです。いずれ拡散・一般化・消費の一途をたどってしまうのなら、そうなる前に、自分が納得する作品を撮影してしまえばいいのです。

まさに言葉通り「早い者勝ち」、これが個人的な結論(2021)

味方は時間。もし自分が狙っている作品(撮影地・シチュエーションなど)があるのなら、他の誰かに撮られる前に、理想の作品を手に入れるのです。そうすれば、自分がその作品を発表しようとも、他の誰かが同じような作品を発表しようとも、自分の中でその作品が完成していれば、拡散・一般化・消費といった現象に踊らされることはないのです。


おわりに

このように、「SNSでの作品発表をすべきかどうかという葛藤」は、実は「出す・出さない」とは違うところに答えがあるように思うのです。本当に自分だけの作品を目指すのならば、その狙いの優先度を最大限に高め、誰よりも早くその狙いを撮り終えてしまうことが大切だ、と考えています。

みなさんはこの問題についてどのように考えますか?

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