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「投げちゃう子」には感覚的に伝えよう。 #特別支援メモ

今日は
「投げちゃう子」に「渡す」を伝えるお話です。

「後ろに投げちゃう子」の場合


そもそも、持ってるものを「離す」動きは「開く」動きだから腕と手が同時に開くと「後ろに投げる」ということになっちゃう。
つまり、前に渡すと言う動きは
腕は前に(閉じる)動き+手は開く動き
と言うとっても複雑で難しい行動

と言うことをわかっておくのが大事。目の前にいる子が、その複雑な動きが出来るかどうかをよく観察します。

Step 1 持ったまま「前に」を伝える 
感覚的に持ってるものを目の前のターゲットに近づけることを伝えます。この時ワタシがよく使うのはパクパク人形。(あの、口がパクパクするタイプの。) 子どもの目を惹きつけるのですよ。

Step 2 前に持ってきたら、助けて受け取る
「渡す」=握っている手を開く がなかなか難しいので、前に持ってきてくれたら手を開くことを助けます。介助して、「渡せた」と言う体験を作ります。

Step 3 「ありがとう!」と伝えて印象づけ。あとは、1〜3を繰り返す。
大袈裟に喜んで見せたり、人形が大きくリアクションしたり、音が鳴ったり…と、とにかく「コレが成功」と印象づけて、子どもが「もっとやりたいな」と感じたらもうパーフェクトです。

「バシッと投げちゃう」子の場合

そもそも、「バシッ」と投げちゃうとか、机にダンっとぶつけちゃうこの場合、力の微調整が難しいか、「そぉ〜っと」の力加減を知らない可能性があります。感覚の問題に由来する可能性が大きいです。
つまり、どんだけ「優しく渡してね」と言葉で伝えても、
「優しいってなんじゃ?」
となってる可能性が高い。

Step 1 まず受け取る側の体験を。
「柔らかく触れられる・優しく渡される」感覚を体験させる
大人の方から子どもの手や腕などを手の平を広く使って包み込むように握ります。子どもの手のひらに積み木などを優しく乗せて「どうぞ」と渡す。

Step 2 「しー」や「そぉ〜っと」など効果音を添えて「特別感」を伝える
元気よく投げる時は「えいっ!」とか「それーっ!」とか「ポーン!」て元気な掛け声を添えますよね?
優しく渡して欲しい時も同じです。子どもが渡そうとしたとき、ちょっと食い気味のタイミングで「そぉ〜〜〜〜〜っと」とか、「やさし〜〜〜く」と、あえて小声で、ナイショ声で効果音的に添えます。
子どもたちって、ナイショ声によく反応するんですよね。「え?なになに?」みたいな。ないか特別感を感じるようです。まぁ、大人もですが。

Step 3 子どもの手を包み込んで受け取る「ありがとう」もナイショ声で
子どもがそぉっと渡すことができたら、それはそれは大層に「ありがとう」とナイショ声で伝えます。「大事に渡してくれてありがとう」という意味を聴覚と触覚で伝えます。

注意事項・・・これはあんまり言いたくないけれど・・・。


これはあんまり言いたくないんだけど、やっぱり書いときます。子どもが投げちゃった場合に大人がリアクションしちゃうと、それが印象付けられて行動が強化(要するにそっちの行動が増えちゃう)する可能性が高まります。
例えば何度も「優しくどーぞしてね」と伝えてるけどこどもが「ぽい」とか「ばしっ」としちゃった場合、ついつい大人が「あー、もう」とリアクションすると、子どもにしてみたら「お、なんか反応があったぞ」となるわけです。その反応を求めて繰り返してしまう場合ももちろんあります。
でもね、そもそも「渡す」という行動は「投げる」行動よりもずっと難しいんですよ。子どもたちにとって。
なのですが、大人の中で「この子、わざと(困らせることを)やってる」と勘違いが生まれてしまったりする。実際、現場でも「この子、こうやって困らせて楽しんでるんですよねー」という残念な言葉を耳にしたことがあります。特別支援教育のとても悲しい風景です。これは本当に減らしていきたい。

気がつけば20年近く、細長ーく療育や発達支援の現場にいるワタシ。たくさんの子どもたちとの出会いとふれあいの中で試行錯誤を重ねてきました。わたしなりに「お、これはうまくいったぜ。」というネタをここに残して行けたらなと思っています♪

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