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木戸雄一
2022年5月10日 15:15
1890年代の地方における文芸と言論の混淆 少しさかのぼって1890年代の文芸を扱う地方雑誌を見てみよう。小木曽旭晃『地方文芸史』(教育新聞発行所、1910)は、1900年代の地方で文学活動をしていた当事者による同時代史としてほぼ唯一のものである。旭晃は序で日清戦後を「明治文学の発展第二期」ととらえて「地方文壇」が活動を始めた時期とし、「日清戦役以後現在に至る十五六年間は将に地方文壇の全盛時代」
2022年4月30日 15:37
『田舎教師』による地方文学青年の類型化 日本では19世紀初頭から全国的に読み書き能力を獲得する動きが進み、さらに「学問」による階層的流動性の進行が本格化した。「立身出世主義」の時代の到来にともなって、「学問」の基盤となるリテラシーの向上を目指す若年層が急増した。当初、彼らの多くは没落士族か、都市及び農村の経済的に恵まれた若年男性であったが、公教育の整備と共にリテラシー向上を目指す層は拡大し、『穎才