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第58回 マンション防災を考えよう

冬の災害時の寒さ対策とマンション生活

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回は本年1月1日に発生した石川県能登半島地震について考えました。
その後、余震活動が続く中で発見、救助された方や、残念にも犠牲となってしまった方の報告も続いています。また、当初考えられていたよりも沿岸部の津波被害が大きい事、また地殻変動による地盤の隆起なども観測されているなど、改めて今回の地震の大きさと影響力の大きさ、半島での災害に対する救助救援、支援活動の難しさを感じています。

その中で、災害が冬の日本海側、石川県での災害であったことから、報道でも特に寒さと雪に対する対応が懸念されています。
今回は、冬の寒さと雪に対する対策をマンション防災に立場で考えてみましょう。

そもそも現在のマンションは非常に密閉性が高く、歌に出てくる昔の木造アパートのようなすきま風などはあまり入ってきません。
寒さ対策の基本としての冷たい風を入れないということはある程度クリアできるかと思います。ただしこれは窓ガラスの破損や窓枠のゆがみなどが無かった場合ですので、災害の規模やマンションごとの環境で違います。
また現在のマンションでは灯油を使ったストーブの使用を禁止しているところもありますので、暖房は電気かガスを利用する器具を使用している家庭も多くあります。そうなると、災害直後から電気やガスが止まってしまい復旧しない間は使用できません。
そんな時でも直火で段を取る事は避けてください。
災害発生後、被災生活においてはまわりに燃えるものが散乱するなど火の扱いには非常に注意しなければなりません。水を沸かすなどのために用意するべきカセットコンロも使用には十分な注意が必要です。(もちろんカセットコンロで暖を取るのは燃料の無駄になるのでやめてください。)

マンションでは、建物が無事であることを前提に、窓を閉め、重ね着などで過ごすことを考えてください。ただし、管理組合において集会室などで発電機を使った電気ストーブを利用して皆さんで暖を取る事は都度の判断でしていただけると思います。
ちなみに、重ね着の基本は「空気の層」です。
毛糸のセーターは一番上に着るのは無駄です。風をそのまま通すので、全く暖気をキープできません。内側からインナー、セーター、アウターという順番で着ることで、セーターの部分に空気を層を創り、アウターでその空気をキープし、外気の寒さが体に伝わらないようにするのがコツです。
したがって、アウターは100均の雨カッパなどで風を通さないものならいいのです。
このあたりはアウトドアの知識がある方はよく知っているかと思います。

また雪への対策ですが、雪というのは降雪量が莫大なものになると、それだけで災害になる事前現象ですので注意が必要なのですが、マンションの場合は屋根に積もった雪の対策はよほどのことが無ければ重くても大丈夫だろうと思います。

ただし、エントランスを含めた建物周辺や各住戸のバルコニーなどは除雪をするようにしましょう。
建物まわりは余震の際の出入り口の確保、通常時の転倒防止などのためです。バルコニーは災害用トイレの使用やゴミの保管など、スペースの確保が主な理由です。
また各居住者が所有している自動車などは、通常の通りの対策をしていただくことでよろしいかとおもいます。あまり雪深い地方で機械式駐車場は見かけませんが、平時はそれほど降らない地域で大雪の予報が出た場合などは、皆さんで協力して除雪作業をするなどの対策は必要になりますので、状況で判断しましょう。

きれいな雪の場合は集めて沸騰させると飲料水の確保につながります。ただしこの場合でも必ず沸騰させ、コーヒー用などのフィルターでろ過するようにしましょう。

さて、今回はここまでです。

本日は以上です。
次回はマンションの管理組合と自治会、自主防災組織の関係性や実例などについて考えていきたいと思います。

また次回以降も引き続きご覧いただければ幸いです。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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