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第42回 マンション防災を考えよう

災害時の情報共有システム12

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズ、今日はこれまで考えてきました災害時の情報共有システムを使った防災訓練について考えていきます。

前にも書いたように、現在のマンションで義務付けられているのは「消防訓練」です。
通報・避難・消火の3点、そして最近はAEDの操作などを組み込んだ訓練が多くなっています。中にはマンション内の火災発生の箇所を設定し、その近くの階段を使わずに避難、集合場所で点呼を取るなどの簡単なシナリオを作成して行っているところもあるようです。

この消防訓練は、あくまで火災を主眼とした非常時の訓練です。もちろんマンションにとっては一番身近にある危機で、大切なことですが、私はやはり総合防災訓練を行うべきだと考えています。
そしてその時には災害時の情報共有システムも利用して実践的な訓練を行っていくことが、火災だけでなく地震をはじめとした自然災害の発生時にも対応できるマンションになるのではと考えます。

では、実際にはどのような訓練を行うべきなのでしょうか。通常の消防訓練の流れとは少し違いますが、以下のような流れになります。
1. 災害発生を想定した訓練開始の通知
2. 各住戸での家族間安否確認~各フロアや全体、ブロック分けしている場合はブロックごとの安否確認
3. 災害対策本部設置、各係の任命、役割ごとの活動開始訓練
4. 被害箇所発生、けが人の発生を想定した連絡、救助訓練
5. 住民間の連絡(掲示板を含む)など情報共有訓練

以上のような流れです。消防訓練とは、通報・消火の項目が無くなる事、階段を使ったマンション建物外への避難をしないことが大きな違いです。
したがって、可能な限り消防訓練と総合防災訓練は別々の機会に行うことが望ましい姿です。もちろん階段避難行動のあと、集合した時点で再度行うことや、認識合わせのためにグループごとに行動を確認し合うなど、ワークショップ形式、話し合いで知識をつけるということでも結構ですが、できれば実際に動いてみたいところです。

その中で各所、各場面で情報共有システムを活用してみましょう。例えば、マンション内に被害箇所を想定した写真を数カ所に貼り、巡回で確認していた係の方が発見~システムで情報共有(写真も送付)、災対本部で対応を行う、などの訓練です。
このような訓練を行う際に気をつけなければならないこととして、際、前にも言ったようにシステムは完ぺきではありません。必ずアナログの活動と組み合わせて利用することで、互いを補完し、安否確認から救助行動、被災生活までをサポートするものであるということを忘れずにいましょう。

ちなみに、以前は奥様方が集まって炊き出しの訓練なども頻繁に行われていましたが、実際の被災時にはあまり行わないと考えられています。それは、マンション内にいる人がどれだけいるか不明で、マンションでは被災直後から1週間程度の食事は各住戸で準備することが基本になっているからです。ですので、組織的活動の行動や発電機などの機材の使用、集会室の利用などマンション全体に関わる訓練を中心に行うことがよろしいかと思います。
(このような訓練はシステムを使用するので、お仕事や旅行で参加できなかったご家族の方も参加するチャンスが生まれ、参加人数を増やすことにもつながります。)

このような訓練を行うことで、マンション全体で、多くの家族が災害時の対応を中心メンバーとして行っていただく基礎ができ、災害時にいる人だけでの活動が円滑に進む可能性が高くなります。
ぜひ、情報共有システムの導入と併せて検討してみてください。

さて、本日はここまでです。次回以降、少し全体のおさらいと、可能であれば最初に戻って基本的なところを押さえていきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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