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第57回 マンション防災を考えよう

石川県能登半島地震

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は、令和6年の1回目として新年のご挨拶から始める予定でしたが、元日から3日続けて大きな災害、事故などが発生しましたので、その件について触れていこうと思います。

この度の石川県能登半島地震の発生により亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方へお見舞いを申し上げます。
一刻も早く平穏な生活を取り戻すことができますようお祈り申し上げます。

元日、1月1日16:10頃に石川県能登半島周辺を震源とした最大震度7の地震が発生しました。
この震度7は16:10頃でしたが、その4分ほど前、16;06頃に最大震度5強の地震が発生していました。緊急地震速報やテレビ報道などは、この16:06の地震発生をきっかけに始まったのですが、その直後に震度7が発生したのです。

また、この震度7の地震は地震の規模を示すマグニチュードが7.6と、1995年1月17日に阪神淡路大震災を起こした兵庫県南部地震の7.3、2016年4月16日の熊本地震2回目の震度7の7.3をも上回る大きな規模の地震でした。

能登半島では、2007年、202年なども大きな地震が発生しており、地震活動が活発になっていました。専門家の間では、さらなる大地震発生の可能性も指摘されていたようです。

さて、今回の地震ですが、もちろん地震発生のメカニズムを知ってこれからの防災に役立てることは必要なのですが、もう一つ防災活動、生活者の防災という立場では、大きなポイントがあります。

能登半島という、半島での災害発生においては、現地へ支援に向かうルートが限られる場合が多いということです。
能登半島でも半島の先端に向かうための少ないルートが、道路の陥没、地割れ、土砂崩れその他で寸断され、支援のためのトラックなどが通れない、数少なく残っているルートも車両が集中して渋滞を引き起こし、時間がかかるなどが起こっています。

政府は個人での輸送などは控えるように呼び掛けています。現在はまだ安否確認、救出などの活動フェーズで、自衛隊や救急・医療関係者が緊急を要する活動をしていますので、支援物資自体は必要ではありますが、個人で現地に向かうなどは控えましょう。
また、ボランティアについても、まだ現地のボランティアセンターも受け入れ準備ができていませんし、ばらばらに行っても混乱するだけで、組織的、効率的な支援にはなりません。
求められる時期になり、往復のルートや交通の確保ができるようになってから行くようにしましょう。

津波被害や家屋倒壊の棟数など、思ったより被害の規模が大きいことが日に日に伝わってきます。
現地の人の状況、環境などを想像し、適したかつ同をするようにしていければと思います。

ちなみに、マンション防災という見地で言いますと、特に大都市圏以外の場合は俗に言うマンションという集合住宅そのものが少ない傾向にあり、どちらかというと戸建て、1~2階建てのアパートが多く、そのための防災を考えるべきと思います。

現地の3~4階建ての鉄筋コンクリート(RC)造りの建物が倒れている映像がありましたが、津波の被害なのか地震振動なのか、液状化の影響なのかわからないのであまり無責任なことは言えませんが、一般的に1981年(昭和56年)の建築基準法改正後に建築確認を取得した建物は、震度7でも倒壊しない程度の基準で建てられています。マンションに限らず、高層建物の防災については、このマンション防災のシリーズでも参考になるところがあるかと思いますので、ぜひ読み返していただければと思います。

本日は以上です。
次回は、この能登半島地震について進展や考察があればそれを書いていこうと思います。
その後、マンションの管理組合と自治会、自主防災組織の関係性や実例などについて考えていきたいと思います。

また次回以降も引き続きご覧いただければ幸いです。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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