第43回 マンション防災を考えよう
マンション防災の全体像1
皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという共同住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。
今日からは、これまで考えてきましたマンション防災の考え方を整理するとともに、いくつかの内容を掘り下げていこうと思います。
最初に考えたのは「マンション居住者の在宅避難」でした。
マンションは新耐震基準により躯体が丈夫であることを前提に、災害発生時(特に地震)避難所へ行かずに在宅避難をすることが必要であることを考えました。
災害として事前の対策を考えなければならないのは地震(2次災害としての津波も)、台風などの風水害(内水氾濫を含む洪水も)が中心となります。
マンションでは、水害についてはその立地や建物の構造により低層階浸水の被害に遭う可能性がある他、地下ピット・機械室などの被害によりマンション全体の被災対策を考える必要があります。
その場合でも台風の接近や降雨量の推移、河川の増水レベルの推移など数日から数時間前に状況がわかることもあり、平時の対策、準備、タイムラインの構築により対応が可能です。
一方、地震は突然発生する為、数日前からの準備ができないので、平時からの準備と意識の重要性が言われます。
どちらの災害の場合も、自治体で設定されている避難所にはいかない、在宅避難を前提として準備を進めなければなりません。
なぜなら、避難所は以下のような問題もあり、家屋が被災により居住できなくなった市民が行くところだといい前提で設定されているからです。
・収容人数に限りがある。一人分のスペースが少ない、プライバシーが保てない。
・食料、飲料水を含む備蓄資機材が圧倒的に不足している。
・衛生問題・防犯問題など、環境的な悪さに心配がある。
・避難所は学校などの施設が中心であり、その場所が災害に対して強いとは限らない。
したがって、マンションの居住者は必然的にマンション内で、発災直後から助け合い(共助)の体制の下で避難生活をする必要があるのです。
そのために、平時からのコミュニティの形成、災害に対する準備(物理的、体制的、ツールなど)をしていくことが重要なのです。
今回はまとめの1として以上とし、在宅避難については次回以降にまとめていこうと思います。
また、その前に少し日本の災害についても考えていきたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
マンション防災研究所 所長 城戸 学
マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。
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