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第90回 マンション防災を考えよう

防災の日に向けて

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

もうすぐ9月1日防災の日を迎えます。
防災の日というのは、1960年(昭和35年)に当時の内閣により制定された、「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」ための日で、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんでいます。
またこの防災の日を含む1週間(本年、令和6年は8月30日(金)から9月5日(木)まで)は防災週間として様々な訓練や啓発活動の行事などが行われます。

毎年この時期にはマスコミが防災に関する情報を特集するなどしてお気づきになる方も多いと思います。また、今年は直前の8月に大きな地震が複数個所で発生したこともあり、意識的に災害対策、防災について考える機会が増えたのではないでしょうか。

では、この防災の日に何をするのか。改めて考えてみましょう。
一般的には自治体や町会、自治会を中心に防災訓練を行うことなどがありますが、お住いの地域では行われない場合もあります。それでも、年に何度かはこのような日をきっかけにして防災に取り組んでいただきたいと思います。

例えば家族内では、「ハザードマップや避難所マップなどを確認して再認識する。」「近隣地域を年に一度、散歩がてら回ってみて独自の危険個所マップを制作、更新する。」「備蓄食料などを確認し、入れ替えに合わせて試食してみる。」「緊急用資器材(電気製品など)の稼働確認をしてみる。」「宅内の整理整頓を行い、避難ルートなどを再確認する。」などができます。
最近では「自宅内サバイバル」として数日間、電気を使わず(緊急用資器材だけ使用)、非常用食料で過ごし、災害用トイレを使う生活をしてみるということをしている家庭もあります。アウトドアのキャンプに近いイベントとして子供さんと楽しんで行うことも良いことです。

またマンションではどうでしょうか。火災に対する「消防訓練」以外に総合防災訓練として、大規模地震発生を想定し訓練を行うというのも大切です。管理組合や防災会、自治会等で防災マニュアルや災害時対応計画ができている場合はその運用を試してみるいい機会になりますし、まだ活動を始めていない、これから始めようというマンションの場合でも、「発生したら管理室前に一度集合しましょう。」や「各階で廊下に出て互いに安否確認をしてみましょう。」ということでもいいので、やってみてください。おそらく参加者が少ないと思います。それでも、少しずつ行うことの幅を広げていくことや、毎年続けていくことが大切です。マンションでは毎年役員が交代する場合が多く、防災活動はそれ用の組織がなければ継続しないというケースが多々あり、忘れたころに大地震が発生して苦労し、あとで反省するということを繰り返すことも多いのです。
また、マンションの防災で困ることというのが普段は想像できないものなので、このような機会に皆さんで想像し、困ることに気づき、対処するきっかけにしてほしいと思います。

子供さんは夏休みが終わるころで、宿題に追われ(今はそうでもないのでしょうか)、学校が始まることで一気にイベントがなくなる時期でもあります。
マンションの防災活動を防災祭り、フェスタなどイベント化することで居住者がご家族で楽しめ、コミュニティの活性にも役立つので、ぜひチャレンジしてみてください。

防災というのは普段の地道な活動、努力が必要です。そしていつ来るか分からない災害、来るかどうかも確定していない災害のために行う、とても「気合が入らない」活動ですが、日本に住んでいる限りは、そのレベル、被害規模の大小はあれ必ず災害に遭います。地道な活動や知識が必ず役に立つ時が来るので、ぜひ、ぜひ、9月1日防災の日をきっかけとしてください。

今日はここまでです。次回以降も状況を見ながら話題を考えていきたいと思います。またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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