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第88回 マンション防災を考えよう

日向灘地震と東南海地震

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は数日前、8月8日(木)16:43に発生した日向灘を震源としたM7.1の地震から少し考えてみたいと思います。この地震の震源地は南海トラフ巨大地震の想定震源域であったために、初めての「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。
内閣府によると、これは巨大地震の発生可能性が高まっているので、発表から最短2時間程度は地震が発生したらすぐに避難できる準備を確認する、1週間から2週間程度は巨大地震発生の可能性がなくなったわけではないことに留意しつつ、注意品から通常の生活を行うこととされています。

一部の会見では巨大地震の発生確率が数倍程度上がっている状態であるというコメントもありました。現在、巨大南海地震の発生確率は今後30年の間に80%と言われていることを考えると、相当程度は高まっていると考えられます。もちろん必ず発生するというものではないので、普段の生活をしながらですが、それでもこの機会にご自身や家族、マンションなどでの備えをもう一度確認、見直しをしておくことはとても重要です。

南海地震は広範囲での連動性があることも知られています。例えば江戸時代、1854年の安政東海地震(M8.6)が発生した際は、その32時間後に安政南海地震(M8.7)が発生しました。また、1703年の元禄地震(相模トラフ)発生の3年後、1707年には宝永地震(M9.3)が発生し、さらにその49日後には富士山が宝永大噴火をしています。

これは関東の南側から九州までつながった広範囲な南海トラフ巨大地震想定区域で、地震が発生するとその他の場所でも連動してプレートが崩れ、連動した巨大地震が発生するからです。したがって、今回は巨大地震注意ですが、巨大地震警戒と同じと捉え、備えを怠らないようにしましょう。

特にマンションでは、備蓄資器材の購入予算も限られ、またその支出には管理組合の決議が必要です。しかし災害時は急に、今すぐ必要なものも出てきますので、事前に防災に関する予算を計上しておく、または管理者(理事長)権限での管理組合の予算使用を認めておくことなどが必要になります。
そのためには管理規約とよく照らし合わせ、規約改定も視野に入れた活動を事前から整備しておくことも検討してください。

また、現在の資機材等を使用してみる、点検しておくことも必要です。9月10月の防災訓練を待たず、お盆休みを利用して、ぜひ行ってみてください。よろしくお願いいたします。

今日はここまでです。次回以降も状況を見ながら話題を考えていきたいと思います。またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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