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第37回 マンション防災を考えよう

災害時の情報共有システム8

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

今回は、災害時の情報共有システムの必要な機能、要件についての7回目です。これまで居住者同士で情報を共有するための機能、要件を考えてきましたが、情報の共有というのは通信ができて互いに意思疎通が図れるものだけではありません。
災害が発生した時に役立つ知識や、資料などが必要な情報として考えられます。代表的なものでは、そのマンションで作成された防災マニュアルや防災組織表、またその地域のハザードマップや防災マップ(避難所、給水所、拠点病院などの記載がある)などもあるでしょう。

このような形として残っている資料類もそうですし、普段から災害、防災、自マンション独自防災の知識を持っている、居住者同士で共有するということは、災害発生時に互いに助け合うためにもとても大切です。

ですので、災害時の情報共有システムの中に、このようなドキュメントを収録しておき、いつでも閲覧できるような機能があれば、居住者内での情報共有として役立つだけでなく、そのことをきっかけに防災意識を持ってもらう、高めてもらうことにも大きく役立ちます。

ちなみに、資料などの中には、マンション全体、個人(各住戸)で備蓄している食料や資機材などを収録、管理できる仕組みがあればさらに便利です。
特に管理組合全体で所有している備蓄資機材は、管理組合の役員理事、防災委員会メンバーが入れ替わり制の場合には、どうしても何年も続けて管理していくことが困難になるので、よほどしっかり管理しないと、消費期限、耐用年数などを超えてしまうものが出てきてしまうことになりますので、注意が必要です。
対して、個人(各住戸)での備蓄資機材は家庭単位での管理で済みますし、原則として日常備蓄(ローリングストック)なのでそれほどきっちり管理しなくても続けられる可能性があります。

後は、前に防災訓練についてお話しをしましたが、このような災害時の情報共有システムを訓練で使うことができるのか、訓練時にはすべての機能が使えるのかなども重要なポイントになります。
どんなに優れたシステムでも、事前に訓練などで使っておく、実践しておくことが必要だからです。これは、防災の根本は想像してみる事の必要性であるということと同じです。

ただし、訓練の際には全く災害時と同じか、個人情報など平時には知られたくない方もいらっしゃる情報などに配慮がされているかも検討材料として必要です。

このようなことも、互いに助け合うために必要な機能、要件の一つとして考慮しましょう。

今回は以上です。次回はこのような情報共有システムを利用した防災訓練について考えます。
今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

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