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風の男の時代がやってきた!?


夏至から、新月の部分日食を迎えるころ、

私の心を通り過ぎたのは

「風の男」白洲次郎・・。


その存在を初めて知ったのは、

公開されたばかりの旧白洲邸・武相荘を訪れたとき。

私の中の「日本」への想いが目覚めていた頃だ。

その時はまだ、白洲正子さんの旦那さん・・という捉え方をしていた。


それが「白洲次郎 占領を背負った男」北康利著(講談社)を読んで

そのとてつもないスケール、人としての魅力に改めて圧倒された。

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「葬式無用」

「戒名無用」と

83歳でこの世を去るまで、

世界を舞台に1人の人間として生き切った鮮やかな人生。


次郎の生まれた明治末期から戦後までの

時代の息吹、世界や日本の情勢も詳細に書かれており、

特に敗戦後に日本国憲法を制定し、

サンフランシスコ条約を締結するまでのGHQと対峙する部分は

人間次郎と、今に通じる日本の歴史を考えさせられて熱くなった。

 

著者がこの本を書いたのは

兵庫県三田市の郷土史家として

次郎の祖父・白洲退蔵について研究したのがきっかけだという。

この本は、山本七平賞を受賞し、ドラマ化されて、

白洲次郎の存在を世の中に知らしめることになった。


次郎が社会の表舞台に登場したのは、敗戦というわが国の始まって以来未曾有の危機の真っ只中であり、それまでに営々と築いてきた精神世界が一気に否定され、国民全体が虚脱状態に陥っていた時期であった。
三島由紀夫がかつて嘆いたように、敗戦を境にして、武士道の国として民族的誇りを胸に生きてきたはずの日本人が、一転して卑屈な精神の民族に堕してしまった。・・・・
白洲次郎という男は、そうした人間の本能に敢然と挑戦して行った。GHQの前で卑屈になることもおもねることもせず、自らの信念を真っ向から主張し、それはしばしば常人からすれば常軌を逸した蛮勇であるような印象さえ抱かせた。

GHQは本国に、”従順ならざる唯一の日本人”と報告している。


「プリンシプルを持って生きていれば、人生に迷うことはない。

プリンシプルに沿って突き進んでいけばいいからだ。

そこには後悔もないだろう」



               





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