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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(第二期)(8)


キチママ、ついに発狂


「いつになったらこっちに移ってくるの?」


そんなチャットが未だにくる。もう何度も断っているのに。


親戚の子供を何も相談せずに育て始めたり、自分が嫌いな犬を買いだしてそれに反対したら「じゃぁ出て行く」と言って家を借りて子供を連れて出て行ったキチママ。


「子供が産まれたら一人で大変だよ」って何度も引き止めたけど聞き入れなかった。一度こうと決めたら頑固に考えを変えないキチママなのだが、こうなることは目に見えていた。


娘一人でもきついのに、息子が産まれてから、さらにストレスを感じ精神的におかしくなり始めていた。夜泣きする子供に腹を立てて、SNSに「もうこんな生活やだ!」と書き込みをするようになったのはこの頃からだ。

今まではヤヤさん(住み込みのお手伝いさん)が上の子を面倒見てくれて、ヤヤさんが休みの日は自分が見ていた。初めはキチママが見ていたが、子供が泣くと怒鳴り散らしたり、叩いたりするので、危なくて常に私が見張っていないといけなくなっていた。

キチママが子供を連れて家を飛び出したあと、ヤヤさんも勤務先が自宅から徒歩圏になったので給料は変わらないが住み込みから通いになっていたので、夜はキチママ一人で子供の世話をしないといけなくなっていた。


「戻ってこいよ。そしたら今まで見たく子育て手伝うからさ」


こんな会話を毎日のように繰り返すのだが、首を縦に降らない。上の子を自分が引き取ることを提案したがそれも断られた。養育費が減るとでも思ってるんだろうか。

そんなこんなでキチママのメンタルはピークに達しかけていた。どうやらこの頃から幻聴を聞くようになったらしい。「子供を56せ」という声が。


そんなキチママを見かねた妹も「お姉ちゃんを助けて!」と頻繁にメッセージをしてくるようになった。

「助けたいけど、うちから遠いから無理だよ。お姉ちゃんにうちに戻ってくるよう説得してよ。そうしたら、俺も手伝えるから」と言って、妹も説得を試みたがやっぱりダメだったらしい。

「お姉ちゃん、昔からプライド高くて一度決めたら絶対変えないんだよね・・」と、妹もあきれているが、キチママのプライドによりこれまで何度も災難を受けてきたので理解してる。


キチママは自分が当然、追っかけてきてくれるだろうと思って出て行ったが、一向にその気配がない。

息子を出産して、ヤヤさんも最近不真面目になってきた。でも「もう戻らない!父親なんて必要ない」と啖呵を切って勢いよく飛び出した手前、自分のところにも戻れない。だから、自分のプライドによって自分を完全に追い詰めてしまったのだろう。


そしてついに、キチママは発狂した。


それから毎晩のように「子供を56して私も死ぬ」と言ったコメントやリストカットした画像をSNSに投稿したり、「苦しいよ、辛いよ」という泣いてうなだれてるボイスメッセージを送るようになった。

「息子が起きるから静かにしろ」と言って娘に手を上げ、寝室ではなくリビングに一人で寝させたとうメッセージをおくってくることもあった。

流石に子供を56すとか尋常じゃないので、キチママと一緒に住んでいる花子にチャットして、キチママの代わりに子供を見てもらうなどフォローをお願いしていたが、私への暴言も日に日に酷くなってきた。

しまいには「全部あんたのせいだぁぁ!あんたがこんなところに私を連れてきたんだ!責任を取れ!」と夜中、怒鳴り声をあげて電話をしてくるようになったので、さすがに私も精神的に限界がきていたのでキチママを精神科医に連れていくことを決意したのだった。


キチママはもともと頭がおかしくかったが、出産後さらに不安定になっていたので、近くにある大学病院の精神科に連れて行ったところ「Depressio(鬱)」と診断書に書いてあった。


通っていた精神科医の先生はかなり年配の男性で、私が行くたびに「あんた誰?」って言われるのでちょっとボケてるおじいちゃんと言った感じだったが、娘が生まれた大学病院で働いているお医者さんだ。


その先生にキチママさんは、家ではどんな感じですか?と聞かれたのだが、正直にいい時と悪い時の差があり過ぎて、いい時は天使のようにやさしいが、悪い時は悪魔のようで攻撃的になる事を説明した。


またいろんな問題があって一緒に暮らしていないことを言うと子供に良くないから一緒に住んだ方がいいとキチママに勧めてくれたのだが、キチママが原因は私にあるとデタラメなことを言っていたが、犬が原因で家を出たことを私が説明した。


それにキチママが私のことをかなり悪く先生に伝えたのだろうが、それを聞いた先生は逆に「あなたは子供なんだ、早く大人になりなさい。旦那さんにきちんと謝りなさい」とキチママに言ってくれて、その場でキチママに謝らせてくれた。


キチママが謝るなんてこと一緒になって初めてだったので、正直嬉しくて泣いてしまった。

それから薬を飲み出したキチママはこれまでとは別人のように穏やかな人間に生まれ変わっていた。私に暴言を吐くことも、子供たちを怒鳴り散らすこともなくなり、このまま一生薬漬けの生活を送ってくれたら良いのに・・と、そんな期待をしていたが、やはり現実はそうならなかった。


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