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今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(第二期)(9)

2回目の引っ越し

「ね、いっしょにまた暮らしたいんだけど・・。」

キチママが精神科医に通い2カ月ほどたったころ、そんなことを唐突に言ってきた。

今までさんざん、私からお願いしてもそれを拒んできたキチママが今になってなぜ?と疑問だった。はじめは精神科で性格も変えてもらったのかな?と冗談でも思っていたが、初めはその理由がわからず謎だった。


その理由はあとになって知ることになるのだが、そのときは子供たちとまたいっしょに暮らせると、正直うれしかった。ただ、それほど現実はあまくなかった。

私は二つ返事で、いっしょに住むことを了承したのだが、その数日後にキチママがからLineがきて、その内容を読み私は「やっぱりな・・」という納得がいった。その内容というのが、
「この前戻ってもあげてもいいって言ったけど条件がある」と言ってきたのだった。


自分から勝手に出て行って、戻りたいと言っているのに、条件をつけてくるというのもおかしい限りだが、その条件というのがひとつは新しい家を探して、そこに移り住むということ。もう一つは今私が払っている養育費は今後も全額払い続けるというものだった。

・・それはおかしい話だと思った。

これまでいっしょに住んでいた頃、生活費や光熱費、ヤヤさんの給料などはもちろん私が全て払ってきたし、いっしょにすんだら当然そうなるだろう。ただ家賃は会社の住宅手当があるのでかからない。それなのに衣食住混みで今私が払っている養育費を全額、いっしょに住んでもキチママに払い続けるという理屈が全く通らない。


この家に戻りたくないというのは、キチママが家を飛び出したとき、ここのオーナーや近所の人たちにお別れをしたので、キチママにとってお金より大事なプライド(面子)を考えると、戻りたくないというのもわからなくはないが・・。

それでも、条件付きだったら、結局今までと何一つかわらない。

養育費を今の金額払う理由ということで、子供たちにもっとお金を使ってあげたいというキチママの言っていることに全く信用ができないということもあり、少し考えたが、その条件は飲めなかった。

「もう家見つかった?」その日から毎週のようにキチママはその答えを出すことに催促をしてくる。いったい、何でそんなに急いでいるんだろう?と思ってしまうほどに。


娘にも、「ダディが新しいおうち探してくれるから、またいっしょに住めるよ」と勝手にそんなことを話している。これで自分が家を探せなかったら、また全部私が悪いということを娘に信じ込ませるに違いないので、正直に話した。

「家はすぐには見つからないよ。こればかりは、会社に払ってもらっているもんだから、自分が引っ越したいからひっこせるわけじゃない。お金もいっしょに住んだら、結局俺が払うわけなのに、家賃とか食費、光熱費とか生活費を別にお前に払うのはおかしいよな?うちにそんなお金の余裕ないって何度も言ってるだろ?もし払えても、前と同じようにお小遣いは払ってあげるよ。でも今の金額そのままは払えないよ」

そう言うと、「子供たちにもっとお金を使ってあげたい」という話はどこにいったのか?と思うほど、360度話が変わり、「実はわたし、サリサリストアを出したいの!そしたら、あなたを経済的に助けてあげられるし、子供たちの将来も安心でしょ?だから、お金出してほしいの!」・・とそんなことを言い出した。


サリサリストアとは、フィリピンによくあるなんでも売っているキオスクのような小売店のことで、叔母が同じことをやっていた。いずれ叔母がやっていたお店は私が継ぐというような話をしていたが、叔母が文太おじさんを浮気して、キチママが文太おじさん側についたことで関係が悪化して以来、その夢はもう実現しないだろう。だから、私に頼ってきたのだが、

やはりキチママは何も変わっていなかった。

精神科医に通院して、安定剤を服用しても、もちろんわかっていたことではあるが、彼女の性格や考え方までは変えられなかった。

「だから、そんなお金ないよって言ってるじゃん」と、言うと

「だったら、お父さんにお金借りてよ!どうせあんた、家族の何の役にも立たないんだから、それくらいできるでしょ?それがいやだっていうなら、あなたが日本に言ってお金を稼げばいいでしょう!」と、そんなことをいう。それまでの改善がウソだったかのように、キチママは今までのキチママに戻っていた。


もちろん、キチママのわがままのためにリタイヤしている父にお金を借りるようなことはしたくないし、今やっている仕事をやめて日本で働くのだって望んでいない。

何よりそんなことしたら、子供たちにあえなくなってしまう。なので、それは無理だよとバッサリ断った。すると

「お父さんにお金も借りたくない?日本で働きたくない?はぁ?じゃ、いいわ。子供たちを実家のボホールに預けて、私は出稼ぎでも、体でも売って稼ぐから。あと、子供たちには二度と合わせないからね」と、最後はまた、いつもの意味の分からない駄々をこね始めたのだった。


結局それっきり、いっしょに住むという話はもうしなくなった。いっしょに住むというのはお金をもっともらうための口実に過ぎなかったのだとそのときにわかった。

その後、キチママは何事もなかったかのような素振りに戻っていたが、いつもお金がないと言って「金、金」と言ってくるのキチママだが、なぜそんなにお金がないんだろう・・。毎月かなりのお金を払っているのに?

しかし、その答えはすぐわかった。


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