No.002 井草 亜季子 (特別支援学校/教員)
【もっと自分の意思を表せれば…。何とも言えない気持ちになる】
1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか)
将来、人と関わる仕事がしたいと考えていました。大学受験の時、先輩に進路の相談をしたら「そういう仕事がしたいなら心理がいい」と心理学部を勧められました。
ただ、心理は統計など数字が多い学問。理系科目が苦手な私には受験は難しいと思いました。調べていくうちに自分のやりたいことができるのは福祉の学部だと思い、現福に入学します。
入学前は医療ソーシャルワーカーに憧れていました。入院している人を治療とは違う立場から支援する仕事をしてみたかった。
あとは医療現場に文系が関わることができるんだという感動もありました。おそらく理系に対する憧れもあったんだと思います。(笑)
今の職場を選んだのは、社会福祉士実習に行ったことが決め手です。実習先では知的障害者の生活介護をさせてもらいました。
そこで、身体的にも知的にも能力がある40代の利用者さんが、職員の指示を待たないと次の行動ができない。例えばトイレにも行くことができないといった姿を目の当たりにしました。
その方が、自分から意思を伝える手段を獲得できる機会に遭遇していたら、もっと自分でできることを増やせていたら…と、もったいなさというか、何とも言えない気持ちになりました。
しかし、その利用者さんは年齢も高く「職員の指示→行動する」生活が当たり前になっていたので、長年持ち続けていた習慣をこれから変えていくことは難しいことだろうなと。
それならば、その方の持っている力を引き出すお手伝いができるような時期に関わる仕事に就きたいと思うようになりました。そして大学卒業後、特別支援学校の教育免許が取れる大学に入学。
現在は都内で特別支援学校の教員をしています
【一人一人の力を最大限に引き出し、次の場へつなげる。】
2.あなたの仕事について教えてください
知的障害者の特別支援学校(高等部)で教員をしています。主に日常生活(身支度など生活をする上で必要なもの)、教科、作業能力(陶芸、紙すきなど仕事のスキル向上)の指導をします。
15~18歳が対象の高等部なので、就労だとか、次の場所につなげていく教育が多いです。
当たり前ですが、やっぱり自分で出来ることは多ければ多いほどいい。
一人一人が自分の力を最大限に発揮することができるような支援や指導をしていけたらと思いながら仕事をしています。
【専門知識、受容の姿勢、卒業してから気付いた現福生のあたたかさ】
3.大学の学びが仕事で生きていると感じる時はどんなときですか
仕事で福祉の専門用語が出てきてもビックリしないこと(笑)
生徒の就労先として福祉施設、例えば就労支援A型やB型などに繋げることも多いのですが、その用語を知らないという初任の教員は多いです。
教員の中には福祉分野を知らずに配属させる人たちもいるので、福祉の制度や施設を把握していくのが大変そう。
その部分は現福で学んでいたことが仕事に直接生きています。
ただ、なんとなく勉強していた気になっていた部分が私は強かったので、もう少ししっかり施設や制度のことを細かく学習して自分の知識にすることが出来ていれば良かったなと思います。
あと、いま思えば、現福生のコミュニケーション能力って半端なかった。
もし自分と意見が違っても、相手の話をしっかりと受け止めてから言葉を返していた。
自分の意見を通そうとするのではなく、相手の話から内容を広げていく能力が高かった。
大学時代、いろんな授業で“受容”の姿勢が大事ってよく言われていました。現福はまさに受容の人ばかりで、そんな人たちに囲まれているのが当たり前の環境でした。
卒業してからその当たり前がどれほど素敵なことで、あたたかいものだったかということを実感させられます。
いろんな学校に通いましたが、私の母校は法政だと思っています。
【福祉や職場内の考え方だけでなく、いろいろなものにアンテナを向けたい】
4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。
まだ社会人4か月目なので、いまは仕事で精いっぱいで…(笑)。
でも、福祉の考え方だけではなくてたくさんの分野にアンテナを向けられるようにしたいとは思っています。
自分の視野を狭めることなく、どんどん広げていきたいです。
【1人1人を見つめられる人でありたい】
5.今後の目標を教えてください。
仕事をしていて、当たり前ではあるんですが、その子を知らないと何もできないんだなって思います。
だから、こちらから「~するべきだ」とか「これはできないだろう」と決めつけるようなことはしたくないです。
そのときのその人を見つめて、自分に何ができるのかを考えて判断できるように。
大学の時に学んだ受容の姿勢を大切に、これからも子どもたちに向き合っていきたいです。
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