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早い段階できづいて、みんなにつながるといいな

立春も過ぎましたがまだ寒い日が続きます。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

さて、久しぶりの投稿となりましたが
鳥取市の吉田さんの次は境港市在住の松本さんのお話をしたいと思います。

松本さんは仕事中に「あれ?」「覚えてないな、おかしいな」という事が続き不安のなかで生活されていました。自分が認知症ではないかと不安になり、境港市地域包括支援センターに相談へ来てくださいました。
松本さんは「人とのつながりを作りたい」と積極的に取り組み、通い始めた体操教室で良い出会いがあり、卓球バレーのボランティアに誘われ、その後活動メンバーに加わることになりました。

そして認知症の本人さんに出会ってみようということで本人ミーティングに参加されました。松本さんは後に「本当は連れて行かれたという感覚だった(笑)でもこういうところ(本人ミーティング)があることも知らなかった。認知症を前向きに捉えるきっかけとなったし、本当に大きな出会いがあった」と話されていました。
そこでの出会いをきっかけに米子市の認知症本人さんたちとつながり、松本さんは認知症本人グループ「山陰ど真ん中」の活動に加わることになりました。

その頃、境港市は鳥取市認知症本人大使の藤田和子さんと認知症地域支援推進員の金谷佳寿子さんと一緒に講演会を行うため何度もwebで打ち合わせをさせて頂いていました。
その中で、藤田さんから「境港市のことは境港市の人たちで創っていかなきゃ、何かある度に私が行くわけにもならないし!」と率直な意見をいただき、ごもっともと早速松本さんにお声をかけました。

松本さんが参加してくださることになりましたが「画面(web会議)越しで少し話しただけではよくわからないよ、藤田さんがどういう人かもわからないし。会って話したい!」と松本さんの提案で鳥取市へ行き、藤田さんや金谷さんと顔を合わせて話し合いをしました。
その時、「松本さん!伝えたいことがあるなら大丈夫!!」と藤田さんに背中を押してもらい、「一緒に住んでいる家族の猫ちゃんたちの紹介もしたら?」などアドバイスをたくさんもらいました。

講演会で家族の猫ちゃん達の紹介シーン

また、その話し合いの中で、松本さんから「『包括』って荷物を包むところだと思って恐る恐る相談へ行ったんだよ」と告白を受け、地域包括支援センターで働いている自分としては目からうろこの御意見でした。そのことも講演会のトークセッションで紹介することにしました。


講演会で 包括支援センターの話をしている松本さん

松本さんとどんなことを伝えたいか、どの写真を使おうか一緒に案を練りながら、きっかけとなった時計や一緒に住んでいる猫たちの写真も選んでいきました。
松本さんは猫たちの写真を選ぶときにどの写真が可愛いかな~とすごく迷っていました(笑)

「きっかけの時計」

この「きっかけの時計」とは、すでに着けている腕時計の上にさらにもう一つ腕時計を着けてしまったというエピソードです。松本さんにとって「それまでも認知症への不安はあったけれど、とうとうきたんだ。なんでこんなことになってしまったんだ」という感覚だったそうです。もの凄くショックな出来事であり、そしてその時計が『相談のきっかけ』となりました。
松本さんはこのような自分の体験をユーモアのあるトークで語ってくれました。松本さんはすごく緊張していましたがとても楽しそうでした。会場のみなさんにも伝わりたくさんの笑顔でいっぱいでした。

アンケートからは「松本さんの経験が勉強になった」「認知症にならないようにではなく、なったらこういう風に考えよう」「藤田さんの前向きな姿勢に感動です。何事もNOよりYESの理論。だめと思わない!」「出会いを大切にしようと思った」「地域包括支援センターの意味がわかったことが良かった」とたくさんのご意見をいただきました。


松本さんの日常の一コマ

最後に、松本さんから一言。
「早い段階での気付きが大切」「早い段階での相談が大事」

松本さんは「『認知症になったら何もわからなくなる』と間違った認識で怖がり、相談せず、あのまま殻に閉じこもったままだったら、早い段階でチャレンジするチャンスを失ってしまっていただろう。チャレンジすれば認知症の発症を遅らせることができる。自分は今にも認知症のドアを叩く寸前だった。
今は、そのドアを遠ざけることができたと思う。できるだけ早く相談をすることが大事だとみんなに知ってほしい

と熱く語ってくれました。

松本さんは自分の体験をたくさんの方に知ってほしい、これからたくさんの方へ伝えていきたいと話してくださいました。

最後に、私からも一言。
本人ミーティングで画面越しに会った藤田さんと松本さんが、一緒にトークセッションができたこと、「出会い」って素敵だなと感じる体験でした。

今回の記事は、認知症地域支援推進員「さかいみなこ」が担当しました。

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