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コロナ時間にeBayでよみがえる音楽その4:ルーシー・パールの『Dance Tonight』

母の日用のプレゼントとしてこのCDをバーチャルに手に取ってくれたのは、イリノイ州に住むザイオンという名のお客さんだった。彼が購入してくれた5月2日の時点では、翌週日曜に間に合う時間が十分にあった。

このアルバムの三曲目にある2000年にリリースされたヒット曲『Dance Tonight』がザイオンのお母さんのお気に入りソングだとしたら、彼のお姉さんに見間違えてもおかしくない30代くらいの結構若めの母親なのではと想像した。


『ルーシー・パール』に所属するひとりであるラファエル・サディークとは、元々80年後半から90年代にかけてブレイクしたカリフォルニア州オークランド出身の兄弟いとこR&B3人組『トニー・トニー・トニー』のメンバーでボーカルとベース担当だった。

1990年にリリースされた『It Never Rains (In Southern California)』は私のお気に入りの一曲で、せつないバラード。ニュー・ジャック・スイング系やクワイエット・ストームに付随する音楽をこよなく愛するアナタなら、その名曲が6番目に入っているアルバム『The Revival』をぜひお勧めする。

一度聞いたら忘れられない彼の高く甘い少年のような声に惹かれる自分も含めたファンは根強く、いろんなアーティストともコラボしながら、バリバリ現役で活躍しているアーティストなのだ。


話を戻して、郵便局の追跡番号で経過を見守っている限り全てはスムーズにみえ、他の音楽CDを送った時と同様、頑丈に梱包してあるし、無事に届くモノと思い込んでいたら、彼の住む地域を担当する局へ小包が入った途端に事態は一転した。

金曜の午前10時半前後に「住所不明」と表示され、配達を試みたが届けられなかったということだった。ザイオンに記載されている住所に間違いが無いことを確認した後、金曜の夜にUSPSのウェブサイトから土曜に再配達希望のリクエストを送信した。

だが二日目の土曜にもまた同時刻辺りに「住所不明」で配達されていない事を知りこれには困った。と言うのも、二度配達をトライした後、「取りに行く為、局留めを希望」等の連絡事項をタイミングよく郵便局側が既読する以外は、ファースト・クラス・メールの場合、無料のサービスではあるものの差出人へ戻ってきてしまうからだ。ザイオンに即座お願いして月曜に最寄りの郵便局へ取りに行ってもらたった。彼が午後に訪れた時点では、もうその午前中に私へと送り返されてしまった後だったと聞かされた。

そこで再び、今度はその彼のイリノイ州の局へ直接のクレームと捜査願いを申し込んだ。そうこうしている最中、こちらへ戻ってくるはずの小包がザイオン宅の郵便番号と共に「配達されました」と追跡情報に突如現れたではないか。まずは私自身の郵便受けを確認しに行ったが何も届いて無く、ザイオンの方の郵便受けを確認してもらったが、やはり何も受け取らなかったそうだ。配達員が間違って他のアパートへ配達し、後で誰かが持って来てくれるのかもと笑い用のネットスラング文字の付いた返事で、彼は笑わせようとしてくれたのかもしれないが、私には全くおもしろくない冗談だった。


ウチの近所の局のマネージャーは、親身になってお詫びのことばを私の携帯の留守電に残してくれていたが、明らかにニューヨーク側の郵便局に否は見当たらない。


ebayに相談したところ、出荷した私の手をすでに離れ、郵便局が介入し、「配達済み」と追跡記録には出ていても届いていない場合も実際にあり、そうバイヤーが証言しているのなら、セラーである私からでなく、ebayの「マネー・バック・ギャランティー(返金保証)」が適応され、お客さんへ直接返金されると教わったので、一部始終をザイオンへと説明し、謝る必要はなかったのだろうが、届かなかったお詫びと返金手続きの是非をお願いした。


全体的にとても低い物腰で、CDが届く迄、そして私が局とやり取りしている間も忍耐強く待っていてくれた彼。今回の問題解決に関してもこちらが指示を出す以外、「どうして良いのか分からない。」とメッセージの最後に書き残してくる、これ一般的アメリカ人の印象と比べたら珍しいほど主導権を取ろうとしない、至って謙虚で受け身なザイオン君。その時点で私が今回対応しているのは、ティーネージャー、もしかしたらローティーンなのだと悟った。

結局商品は届かなかったハズ。なのに「販売者の評価」として、私の心遣いと対応の良さについてわざわざお褒めの言葉を残してくれてあった。そんなスウィートで母想いな彼であるのだが、なぜ届かない小包のクレーム申請を未だにしないのか。ebayを通してすでに処理済みであることを、単に私が知らされていないだけなのだろうか。

局員のしわざだったのか。

本当は届いていたのか。

誰がウソをついているのか私には分からない。

ネガティブ思考に時間とエネルギーを費やしガチだった過去の自分なら即座スパイラルに陥るのだろうが、ぶっちゃけそこからの追求にはもう全く興味が沸かない。


でも例えば

そんな感情のはざまで

人々は日々揺れ動き

コロナ以前のオフィスで働く人が

仕事場での悩みを抱えながら

気分転換でアフターファイブ踊りに行った先で

このパーティー・ソングがかかった瞬間

そのハマり曲に弾けるのは間違いナシだろう。


そして、今回のミネアポリス州で起こったジョージ・フロイド氏の死。

それに憤りを感じた若い世代が中心となって各都市でデモ行進し訴え、警察官である殺人者と共謀者達が起訴されたアメリカに、今、大きな変化を生み出している。

臆病になりがちな先入観ナシで、あくまでも善悪に基づき大胆に行動したこの新しい力の団結とは、サンラおばさん個人にも影響を及ぼし、感動も与えた。

その『正義』を祝福する日、公正な判決がくだる時

この『Dance Tonight』の歌詞

人々の純粋な喜びの表現として

はじめて腑に落ちるのだと思うし

心から強くそう願ってやまない。




ラファエル・サディークのオフィシャルサイト

探していた逸品や好きなものがみつかるかも。
サンラおばさんのeBayストア
ぜひ覗いてみてください。
日本語・英語で対応可!


48歳から人生の本編スタート。「生きる」記録の断片を書く活動みならず、ポエム、版画、パフォーマンス、ビデオ編集、家政婦業、ねこシッター、モデル、そして新しくDJや巨匠とのコラボ等、トライ&エラーしつつ多動中。応援の方どうぞ宜しくお願いいたします。