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きぼう薬局、はじまりのストーリー

これまで、このnoteを通して“きぼう”のことをたくさん伝えてきました。

特にスタッフインタビューや会社の取り組み、円市さんの想いなどをメインにお届けしてきました。

そこで今回は、原点回帰をテーマに、“きぼう”のはじまり…つまり1店舗目のことや、当時のビジョンなどを中心に、円市さんにお伺いしたいと思います。

[取材・執筆・校正]
株式会社ストーリーテラーズ 栗田加奈子


経験から学ぶ、「人を大切にする経営」

円市:まずはじめに、私が会社経営を行う上で心がけている大切なことをお伝えします。

それは、「人」の価値です。

組織内の人間関係の重要性、メンタルヘルスに対する配慮、そして個人の成長と組織全体の発展をどのように調和させるか…これらは、経営の数字とは異なる軸で考えるべき、重要なポイントです。

そして、これは私が今年特に重点を置いて考え、取り組むことになる分野になります。この考えに至ったのは、最初の店舗をオープンしてから今に至るまで、様々な経験を積み重ねてきたからです。

過去を振り返ることはあまりない性格ですが、この機会に、最初の店舗からの歩みを振り返りながらお話ししたいと思います。

一人の薬剤師から経営者へ、「きぼうとの出会い」

円市:今では会社の代表として自由に動いている私ですが、会社員時代はそうではありませんでした。

新卒で入社した会社では、「お前は言われたことだけをやっていればいい」と言われ、そこで自分にできることは限られていると感じ、独立を考えるようになりました。

ちょうどその頃、“つるはら駅前薬局”の売上が伸び悩んでいるという話を耳にし、薬剤師会の会長から「その薬局を引き継いでみないか?」と提案されます。

私は数字周りは得意でしたが、その時点では経営のことは素人でした。

そんな私でもメリットがなさそうな物件だと感じ、最初は断りました。しかし、詳しく話を聞くと、その店には未来の可能性があることがわかりました。そこはもともと内科の先生のお店だったのですが、その先生の娘さんが帰ってきて耳鼻科を開業する予定だったのです。

その計画が現実のものとなれば、店には未来があるかもしれないと感じ、最終的に薬局を引き継ぐ決断をしました。

前の会社を辞めた直後、“きぼう薬局”の本店に関する話が出ていて、それは、“つるはら駅前薬局”の話と並行して進められていました。

具体的には、2007年10月に別の店舗で管理薬剤師として働きつつ、“きぼう”の計画を進め、2008年4月に薬局を引き継ぎました。その翌月の5月には“きぼう”の本店を開業し、同年の11月には“つるはら駅前薬局”の娘さんが加わり、耳鼻科の運営もスタートした、という流れです。

売上は好調で順風満帆のスタートを切りました。
しかし、その勢いは途中で止まってしまいます。

3店舗目は処方箋を出している病院の隣に新しく薬局をつくったのですが、そこで売上とは別の問題が起こります。

あとからわかったことなのですが、先生は地域の薬局との連携を強く望み、新しい薬局を必要としていなかったそうなのです。もちろん先生の許可を得た上でお店をつくっていますが、先生の真意まで聞くことができなかった…これは、完全に私たちのヒアリング不足です。

最初から、向こうの思いとこちらの思いが大きくずれていたことが、根本的な失敗でした。

結果として、事業の姿勢と自分の考えが浅はかだったということに気づき、深く反省しました。そして、自分にとっての区切りとして、わずか3日で店舗を閉めることにし、約2000万円の損失を出しました。

私はこの経験から多くの教訓を得ました。

どのような場面においても、「密なコミュニケーションが大切だ」ということです。

そして、決して一人では経営は成り立たないことを理解しました。現場のスタッフや同じ志を持つ仲間がいてこそ、会社は成長し続けるのです。

最近では店舗数の増加と共に、福利厚生の充実に力を入れることができるようになりましたが、振り返ってみれば、売上やコスト削減だけでなく、スタッフが満足して働ける環境をもっと整えてあげればよかったと感じています。

離職率を完全にゼロにすることは難しいかもしれません。しかし、スタッフが「安心して働ける」と感じる「自分の居場所」を提供できるよう、これからも努力していきたいと思っています。

より良い会社をめざす、「経営者の決意」

円市:3店舗目での失敗があったからこそ、現在、スタッフの待遇向上や新しいプロジェクトに取り組むことができています。

私が今年掲げるテーマは「人」です。

上司や管理職のマインドセットを変えることはもちろんのこと、スタッフ一人ひとりが安心して、そして楽しく働ける環境を実現するために、より良い会社を目指してさらに努力を重ねていきます。

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栗田:今回は円市さんにきぼう薬局の1店舗目のこと、そして当時の出来事などを語って頂きました。当たり前のことですが、どんなに規模の大きい組織にも最初の一歩があるのですよね。きぼうのはじまりのストーリーを聞けて良かったです。

今後も定期的に、円市さんの深い想いや「きぼう」を身近に感じて頂けるようなストーリーをお届けしてまいります。次回は、9ヶ月間続けてきたnoteを振り返り、noteの効果や感想などをお話ししていただきます。

ぜひ、次回の更新もお楽しみに!

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